賃貸管理の付加価値を劇的に高めるコンセプトメイク

「コンセプトメイク」はオーナーのニーズと、賃貸管理から受ける付加価値とをピッタリと合わせるために必要なプロセスです。

賃貸管理に含まれるさまざまなジョブの中から「なにを強調するか」によって、オーナーに対する説得力が変わってきます。

オーナーのニーズと提案する賃貸管理メニューの適合性を検証する、コンセプトメイクについて解説します。

管理メニューの見直し

管理メニューの見直しは基本中の基本ですが、管理メニューのない管理会社も多く、あっても真剣にまとめあげたものとは違い暫定的な内容のものもあります。

管理メニューはオーナーに対して管理会社の価値を伝える大切な役割があり、管理会社の “想い” が伝わるものでなければなりません。

オーナーに提供する付加価値がなんなのか、一目で理解できるメニューである必要があります。

管理メニューには一般的に以下のような内容が記載されます。

1.入居者募集、審査、契約業務、入居確認
2.賃料募集、督促、収入報告と支払い
3.トラブルとクレームの受付と処理
4.更新、再契約の通知と契約業務
5.解約受付、退去立ち会い、敷金精算、原状回復工事手配

この5つの項目が揃っていると主要な管理業務が網羅され、料金設定は「賃料の5%」が標準な範囲と言えるわけです。

上記に加えてオプションとして次の5つのメンテナンスメニューを加えるのもいいでしょう。

料金は標準業務とは別のオプション料金とします。

1.共用部分の日常清掃(月に1~4回)
2.建物設備の定期巡回点検と報告
3.大規模修繕工事の提案と実施
4.法定点検の提案と業者手配
5.長期修繕計画の提案

さらに通常の管理業務の範囲を超えた次のようなサービス提供も考えられます。

・滞納保証
・家賃保証
・満室保証
・サブリース
・原状回復工事費用保証
・24時間受付対応

このようなメニュー構成を工夫し、賃貸管理の特徴をオーナーにアピールできるよう管理メニューの再構築が大切です。

またメニュー構成は “1択” ではなくオーナーが自由に組み合わせてカスタマイズできる、あるいは複数のメニューの組み合わせを可能にするような、よりオーナーにとって選びやすい構成が望ましいでしょう。

そしてできあがったメニュー構成案は、社内でも議論し合い共通するコンセプトとして育てていく姿勢が大切です

では、どのようにコンセプトをつくりあげ、議論できるしくみを用意するのか?それがマインドマップの活用です。

マインドマップを活用してコンセプトを作り上げる

オーナーに提案しようとしている賃貸管理の目的はなにか?

賃貸管理は何をするものなのか?

この問いの答えを導きだすためにマインドマップを描くことをおすすめします。

マインドマップとは自分の考えを視覚化してわかりやすくする手法です。

脳内の情報を解放することにより別の情報へと展開する「放射思考」という仕組みにもとづき考案されたものです。

下図は賃貸管理に関する考えをマインドマップに落とし込んだものです。

賃貸管理のメニューを箇条書きに並べたものを見ていても気づかないことが、賃貸管理の全体像をマインドマップにすると気づくことが多くなります。

たとえば「入居者募集」と「解約・退去処理」は、上から順に並べてしまうと時系列的に離れたものになり、関連性のない業務と捉えてしまいます。

そのため、それぞれの業務を担当するスタッフが異なる例もあると考えられます。

しかしマインドマップでは両者のあいだに密接な関係があり、解約連絡があればその時点で入居者募集が開始され、早期に新規入居者を決めるステップにすすむことができます。

つまり「入居者募集」と「解約・退去処理」はダイレクトにつながるワンセットの業務であることがわかります。

マインドマップの活用により賃貸管理の仕組みを、平面的なものではなく立体的に作りあげると「稼働率の高い賃貸管理」といったコンセプトが生まれます。

「オーナーのリスク管理をする」という重要なテーマも賃貸管理のコンセプトです。

マインドマップでは、申込者の入居審査、賃貸借契約の締結、トラブル・クレーム対応、設備の定期巡回、法定点検の実施などが、直接関係するブランチとして理解できます。

そこから「オーナーのリスク管理ができる賃貸管理」というコンセプトも浮かびあがります。

コンセプトを多元的に変えるマインドマップの活用法

紹介したマインドマップは管理会社視点の賃貸管理です。

賃貸管理に係わる当事者としては他にオーナーと入居者がおり、それぞれの立場から見たあるいは望む「賃貸管理」があり、けっして賃貸管理会社が描くマインドマップにもとづいた賃貸

管理コンセプトが、100%の答えを提供するものではありません。

管理会社は自社が提案する賃貸管理のコンセプトを、次の3つの視点から検証する必要があるでしょう。

1.オーナー視点の賃貸管理
2.入居者視点の賃貸管理
3.アセットマネジメントの視点での賃貸管理

1番目の視点はいうまでもなくオーナーから見た賃貸管理であり、オーナーが描くと考えられる理想的な賃貸管理の姿です。

2番目の視点は入居者の立場から要望したい賃貸管理の在り方です。

賃貸管理は「管理料」の名目で支払われる報酬が対価であり、業務に見合う報酬になるかならないかは、管理会社とオーナーとの関係で決まります。

入居者との間では管理会社が直接業務を依頼され、成果を入居者に納めるといった関係にはなりません。

しかし管理業務の質によっては入居期間が短くなり、結果としてオーナーの収益性に影響を与えてしまいます。

つまり賃貸管理会社の視点だけでの賃貸管理のコンセプト評価は意味のないことであり、賃貸管理業務のステークホルダーであるオーナーと入居者の視点はけっして忘れてはいけない要素です。

アセットマネジメントの視点での賃貸管理

『管理メニューの見直し』で述べたように、満室保証やサブリースなどの提供あるいは提案は、管理会社が「アセットマネジメント」領域の業務に踏み込むことを意味します。

これからの賃貸業界において管理会社の存在価値は、プロパティマネジメントの面から評価を受けるように変化していますが、サブリース新法の施行によりオーナーが懸念するサブリースに対するリスクが低減する可能性があります。

このことを裏返すとサブリースや満室保証・家賃保証は、オーナーにとっては有力な選択肢になってきます。

オーナーに代わって賃貸不動産の運営をおこなうことは、管理会社がアセットマネージャーとしてオーナー資産の運用を代行することにほかなりません。

賃貸管理は “資産形成” の視点からも評価されるものであり、そのような業務のプロとして活躍できる機会が増加すると思います。

マインドマップを充実させ足りない視点を加えることが、よりビジネスを増大させそのチャンスを「視える化」させることにつながっていくのです。

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