
オーナーリストに入ったオーナーが見込みオーナーになっていただくには、しつこく訪問をつづけるのは禁物です。
「しつこい」と感じられてしまうと、二度と訪問できない状態になってしまいオーナーリストが減少していくばかりです。
しつこい訪問ではなく歓迎される訪問でなくてはなりません。
そのためにはオーナーに “与える” ことが重要です。
何を与えるのか?賃貸経営に役立つことすべてです。
それらの賃貸経営に役立つこととは?そしてどのように伝えるかを詳しくみていきましょう。
賃貸経営に必要な知識と情報
賃貸経営に必要な知識や情報には、たとえば次のようなものがあります。
・地域の賃貸事情
・最近のお客様の意識
・建物や設備のメンテナンス知識
・インターネットによる集客方法
・トラブルやクレームの防止と解決方法
などオーナーが知りたい知識や優良な情報はたくさんあります。
これらの知識と情報を与え続けてくれる人に対しては、オーナーばかりか誰でも好意をもつようになります。
それは「返報性の法則」によるものです。
「返報性の法則」とは相手から受けた行為に対し “お返し” をしようとする心理を表現したもので、誰にでもある自然な欲求なのです。
つまりオーナーは知識と情報を与え続けてくれる人に対して、なんらかのお返しをしようとする気持ちが生まれます。
その心理作用によりオーナーは好意を持つ、あるいは好意を増幅させるようになります。
ではオーナーに対して管理会社が与える、役立つ情報を伝える方法とは何か?より有効性の高い3つの方法を紹介します。
①オーナーニュースレター
オーナーにとって役立つ情報は、画像などを効果的に使いポイントを読みやすくしたニュースレターとして毎月送ります。
例を示すと下図のようなものです。
郵送が基本ですが訪問しながらのポストインもいいでしょう。
「わざわざ来てくれたのか?」といった印象を持ってもらえる効果もあります。
偶然オーナーが庭の手入れなどで外にいることもあり、軽いおしゃべりができると人間関係を深めるキッカケづくりにもなります。
毎月ニュースレターを持参しての訪問ですが、オーナーの訪問順を考慮して計画すると効率的な動きもでき、500名のオーナーリストであってもあまり負担に感じることはありません。
郵送の場合はピッタリ同じ日に到着させることは難しいですが、月の初めや第1日曜日までなど “定期的に届く” ことを印象付けるのも重要です。
オーナーは「そろそろニュースレターが届くころ!」などと、心待ちにしてくれるようになると「オーナーニュースレター」の効果ははっきりと出るようになります。
②セミナーの開催
賃貸経営に役立つ知識と情報を提供する2つ目の方法は「セミナーの開催」です。
『賃貸オーナーと接点を持つ秘策【見込みオーナー向けセミナー】』でも説明した重要ポイントですが、リストのオーナーが「見込みオーナー」にランクアップするためには欠かせない方法です。
セミナー開催はやはり “定期的” におこなうのが重要で、繰り返しの開催は “ザイオンス効果” も期待でき、オーナーが前もってスケジュール調整しやすいように計画します。
セミナーはこぢんまりと行うのがよく、多くても5名までと考えたいですし、参加者1名の “マンツーマン” でもまったく問題ありません。
講師はテーマにもよりますが、たとえば法律や税務であれば顧問の先生にお願いするかですが、それ以外のテーマであれば社長やスタッフによる講義もよいと思います。
自信をもってセミナーを開催してみてください。
セミナーを実施して一番勉強になるのは、実は講師を務めた社長やスタッフ自身です。
人になにかを教えることは、その分自分で事前の準備をしますので、それだけ本物の知識が身に付きやすいのです。
セミナーのテーマは賃貸管理に関することです。
日常の経験からいくらでもテーマを見つけることはできるでしょう。
・費用対効果の高いリノベーションの実施事例
・ローコストで行う効果的なリフォーム事例
・原状回復工事にプラスアルファするプチリノベとは?
・オーナー様の空室が確実にお客様に紹介される方法
・失敗しない大規模修繕の実施方法
・事例付きで紹介するトラブル・クレームの上手な対処方法
・満室経営に導く空室対策の事例解説
例をあげるとこのようなテーマが思いつきます。
ここに弁護士さんや税理士さんの専門的なテーマが加わると1年分のセミナーテーマは準備できます。
セミナーを開催するとしてもまず何から準備をするかですが、必ず開催できるコツがあります。
それは「会場を決める」ことです。
参加者は多くて5名と設定し、まず会場を決めてしまうと「場所」と「日時」が決まります。
しかも1年分をまとめて予約してしまいます。
これでスケジュールが決まってしまうので、あとは毎回のセミナーに向けた細かな準備を進めていくのですが、スケジュールと会場が決まっているので自動的にやるべきことが決まってきます。
「セミナーか~?できるかな~?」と考えていないでまず行動を起こすことが重要です。
③困っていることを解決する
オーナーに価値を与える3つ目の方法が「オーナーが困っていることを解決する」です。
これがもっとも効果的な方法であり一気にオーナーとの距離が縮むはずです。
オーナー訪問をしていると会話の中で、滞納や入居者間のトラブル、設備のメンテナンスなど困っていることが話題になります。
そのようなとき、本来なら有料業務になるような管理の仕事を、今回だけは無料で解決してあげましょう。
しかもできるだけ時間をかけずに解決すると「やはり管理のプロは違う!」という印象をオーナーは持つようになります。
すべてのオーナーがこのように、困ったことを打ち明けるとは限りません。
オーナーニュースレターを届ける訪問時や、セミナーでの空き時間などで機会をつくるとよいでしょう。
オーナーの困りごと・・・と考えると、管理会社のスタッフはまず「空室」を思い浮かべるでしょうが、もっと小さなことでもオーナーのなかには困っていることがあるものです。
・家賃の支払いが必ず月遅れになる
・室内がごみ屋敷になっている
・高齢になった連帯保証人の変更を依頼しているがまったく対応してくれない
・隣室などからの騒音クレームが絶えない入居者がいる
など滞納ほどではないですが、悩みの種になっている事柄は賃貸経営の中で意外と多いものなのです。
解決できなくても今すぐそれほど困りませんが、いつまでも放置することもできないといった、入居者に係わることで出来れば解決したいと思っていることです。
“重大事” でないだけにこのような問題解決のために、管理委託を考えることはありません。
しかしこのような問題がいとも簡単に解決してしまうと、管理会社に対するオーナーの認識は大きく変わるキッカケになります。
管理委託のよさを実際に体験することにより、オーナーの心理的なハードルは下がり、管理会社への期待値が高まっていくことでしょう。