
オーナーニュースレターを送り始めてから4か月、この時点になったらオーナーへのアプローチを開始しましょう。
(前回記事:「賃貸オーナーに価値を与える3つの方法」)
オーナーのなかで電話番号をわかっている場合は電話をします。
そのときに話題にするのはオーナーニュースレターの感想を聞いてみるとか、空室対策のために室内の写真を撮影したいなどの依頼をしてみることです。
いくつかのパターンを準備して実際にオーナーに電話し、どのパターンの反響がよいのか社内で確認し、ブラッシュアップするのがよいでしょう。
電話番号がわからないオーナーに対しては訪問しますが、そのさい気をつけるべきポイントがあります。
この記事では次の5つのポイントについて解説します。
2.オーナーから何を聞き出すか?
3.知っておいた方が良い知識
4.オーナーを招待できるイベントを実施
5.オーナーに与えられる付加価値を知る
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賃貸オーナー訪問時に気を付けるべき5つのこと
①コミュニケーション能力を高める
コミュニケーション能力とは簡単に表現すると「聞く力」です。
相手の話をよく聞くためには相手が話したい話題を選ぶことが重要です。
そして相手の話に対して上手に反応することが不可欠です。
人は必ず他人に話を聞いてほしいという話題を持っているものです。
・悲しかった思い出
・自慢したい出来事
・悔しかった出来事
賃貸物件オーナーは毎日のように、物件のことや入居者のことを考えているわけではありません。
日常生活の中でさまざまな体験があり感動があります。
日常のあたり前のなかに1つや2つ他人に話したいことが必ずあるので、そのようなたわいのない話ができるようなキッカケをつくるのです。
②オーナーから何を聞き出すか?
たわいのない話をオーナーから聞き出せるような人間関係ができたら、次はもっと人間関係を深めるために「オーナーの個人情報」を聞き出します。
個人情報とはオーナーの家族や趣味そして仕事や普段の考え方などで、初めて会ったばかりの他人に話すような内容ではありません。
このような情報を話してもらえるのは、オーナーが信頼してくれているからにほかなりません。
ではどのようにオーナーの個人情報を聞き出すのか?
それにはキッカケが必要です。
そのキッカケは、まず自身の個人情報をオーナーに話すことなのです。
趣味のことでもいいです、家族のことでもよいでしょう。
こちらの情報を先に話すことによりオーナーも個人の情報を話しやすくなり、人間関係が深まっていきます。
③知っておいた方が良い知識
オーナーを訪問し会話をする機会が増えていきます。
訪問するたびにオーナーからの信頼がますます深まるようにしたいものです。
そのためにはオーナーにとって “役立つ情報” をどのくらい伝えることができるのか?が重要です。
そのためには役立つ情報や知識をできるだけ身につけることが大切でしょう。
まず得意な知識をさらに磨きあげることに注力します。
最終的には賃貸管理の受託することが目的ですから、やはり賃貸事業に関する知識が優先です。
・部屋を探すお客さまの動向や季節ごとに好まれるタイプの変化
・お客さまタイプごとの希望する部屋タイプ、間取り、設備、家具
・部屋を決定する要因や価値観
このような知識はオーナーも強い関心をもつテーマですし、常に新しい情報をインプットしいつでもアウトプットできる準備が必要でしょう。
そしてオーナーがもっとも関心をもつテーマが「税金」です。
管理会社の担当者は税金について、すくなくとも次のような事項についてオーナーとの会話のなかで、自然な流れで話題にできる知識がなければなりません。
・奥さんは専従者になっているのだろうか
・そろそろ法人化するほうがいいのでは
・先日おこなったリフォーム工事は経費だろうか資本的支出だろうか
・法定相続人は誰なのか相続税の計算はどうなっているのか
・1億で賃貸物件を建てたら相続時にどれだけ評価が下がるか
このような話題を自然に話せる担当者であれば、オーナーは信頼し管理受託の可能性が生まれると言えるでしょう。
とくに「相続税」に関する知識をもっているかは、オーナーの信頼を得るうえでは大きなポイントです。
④オーナーを招待できるイベントを実施
オーナーを招待するイベントの企画があれば訪問する理由が生まれます。
イベントとして望ましいのはこれまでも繰り返し説明している「オーナー向けセミナー」です。
セミナーを開催するだけでオーナーのもとへ5回は訪問できます。
・2回目は「〇月〇日に〇〇セミナーを開催します、ぜひご参加ください」と正式なアナウンスをします
・3回目は「先日お話ししたセミナーですが、ご参加いただけますか」と確認をおこないます
・4回目は「先日のセミナーはとても好評でした、残念ながらご参加いただけませんでしたが、本日はその資料をお持ちしました」とアフターフォローをおこないます
・5回目は「先日のセミナーのビデオが出来ました、ぜひご覧になってください」と、iPad持参でフォローアップします
このようにオーナーが参加できなくても5回の訪問は可能ですし、参加いただけた場合はセミナーの感想や次回のセミナーへの要望を聞きだすなど、訪問の理由はたくさん生まれオーナーとの距離は大きく縮まるでしょう。
セミナー開催による成果は急ぐ必要はありません。
半年後でもいいと思います。
また多くのオーナーを集めようと考える必要もありません。
セミナー開催の対象は管理オーナーではなく見込みオーナーなので、最初から多く集まるはずはありません。
1回目は1人か2人でいいのです、多くても3人とはじめから限定する考え方もあるでしょう。
セミナーの回数が増えていくと「お誘い」の回数が積み重なっていき、迷っていたオーナーも少しずつ参加するようになっていきます。
・講師はどうするか
テーマは、空室対策、大規模修繕、リノベーション、法律改正、トラブル対応、保険、税金だけでも相続税・確定申告・青色申告・法人化 等々いくらでもあります。
講師はテーマによってできるだけ社内でこなすことが重要です。
講師を社内でこなすのは『賃貸オーナーと接点を持つ秘策【見込みオーナー向けセミナー】』で述べたように、講師を務めると社内スタッフのスキルアップにつながるからです。
社内でこなせないテーマについては、税理士、建築士、行政書士、保険会社など、取引先の方にお願いする方法がよいでしょう。
⑤オーナーに与えられる付加価値を知る
オーナーの物件を管理させていただくことは「オーナーに付加価値」を与えることに通じます。
ではどのような付加価値を与えることができるのでしょう。
2.管理会社が与える付加価値
付加価値はうえのように2種類あります。
1つ目の付加価値は担当者個人から発せられるもので、例をあげると次のようなものです。
・正直と誠意
・約束を守る姿勢
・地元出身で地元暮らしのため地元状況に詳しい
・知識欲が旺盛
・勉強熱心
・経験豊富
などなど、担当者と接しているオーナーには無意識のうちに、担当者がもっている素養や性格などから、オーナーに対し好ましい心的エネルギーが伝わっていきます。
それは担当者個人も気づいていないことかもしれません。
しかし担当者が意識してみるときっと気づくことでもあります。
自身がオーナーに対し与えることのできる “付加価値” を、一度紙に書いてリストアップしてみてください。
気づかなかった自分自身の付加価値の多さに驚くことかもしません。
同様に管理会社が与えることのできる付加価値もあります。
これも社内で一度リストアップする作業をおこない、全員で共有することが大切です。
なんとなく理解し意識していることであっても、紙に書いて “視える化” するとより付加価値が具体的されます。
そしてリストアップされた個人の付加価値と会社の付加価値が相乗効果を生み、オーナーに対して魅力あるプレゼンテーションが可能になっていきます。