法人化したいアパートオーナーへ管理会社からのアドバイス

オーナーが複数棟の物件を所有し家賃収入も増えてくると、個人事業から法人事業に転換しようと考える場合があります。

管理会社はオーナーからさまざまな相談を受けることがあり、なかにはこのような「法人化」についてのアドバイスを求められることもあります。

ここでは、このようなときに賃貸会社として最低限知っておきたい、賃貸事業の法人化についてのメリットや手続きなどについてお伝えします。

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個人事業の開業届

賃貸物件を取得し賃貸経営をする場合、法人化の前に個人事業として税務署に届出が必要になる場合があります。

賃貸住宅の貸付は貸家業に該当し「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要です。住宅ではなく店舗や事務所の場合は「不動産賃貸業」に該当します。

ただし事業規模により届出の必要がない場合があり、アパートだと10室未満、一戸建て住宅であれば5棟未満は必要ありません。なお開業届出は開業から1ヵ月以内に提出しなければなりません。

個人事業の届出をおこなうと税制面で次のような違いがあり、届出することで軽減措置を受けられるようになります。

1. 青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除が受けられる
2. 家賃の回収ができなくなった分は、その年の必要経費に算入できる
3. 賃貸用不動産を取壊した場合には、資産額全額を必要経費に算入できる
4. ただし所得金額が一定以上になると個人事業税の課税がある

6戸のアパートを2棟所有するようになると開業届が必要になりますが、家賃収入も大きな金額になり、所得税が課税されるほどの利益がでるようになります。

所得控除は青色申告の承認がされると55万円の控除、電子帳簿保存やe-Taxによる申告をする場合は65万円の控除が受けられます。さらに専従者給与または、専従者控除による税控除のしくみが適用でき、税負担の軽減ができるようになっています。

出典:国税庁「新たに不動産の貸付けを始めたときの届出など」国税庁「事業としての不動産貸付けとの区分」

所得税率は累進課税のため、所得が高くなるほど税率が高くなり、個人事業から法人化へ転換する大きな理由になっているのです。

個人事業と法人事業の違い

個人事業を法人化することのメリットは、前述のように税負担の軽減です。

個人事業は所得税と呼称しますが、法人の所得に対し課税する税金は法人税になります。

法人税率は、資本金が1億円以下で所得金額が800万円以下は15%の一律になります。800万円を超える部分は23.2%でこれも一律です。

個人事業の所得税率は5%~40%と、所得が多くなるほど税率も高くなり所得金額1,800万円を超えると、最高税率の40%が適用されます。

仮に2,000万円の所得があった場合の所得税の計算は次の式になります。
2,000万円×0.4-279万6千円(控除額)=520万4千円となり、税率換算すると26.02%になってしまいます。

法人税で計算すると次の式になります。
800万円×0.15+1,200万円×0.232=398万4千円となり、税率換算すると19.92%で納まるのです。

また損失があった場合の繰越控除も個人事業と法人とでは違いがあります。

・個人は3年間
・法人は10年間

賃貸物件を取壊したときの損失は、金額によっては3年を超えて経費算入しなければならない場合もあり、法人の方が有利といえるのです。

法人設立の費用と手続き

法人化には設立登記が必要です。登記にあたっての費用や手続きの概要は以下のようになっています。

法人の種類

法人つまり会社を設立するには、法人の種類を決めなければなりません。賃貸経営事業の法人は営利法人になり次のような種類があります。

・株式会社
・合同会社
・合資会社
・合名会社

賃貸事業の法人化では合同会社を設立するケースが多く、次いで株式会社を選択するケースになります。
合同会社・合資会社・合名会社の3種類は「持株会社」と呼ぶ種類になりますが、なかでも合同会社を選択するのには理由があります。

合同会社は株式会社と同様「間接有限責任」ですが、合資会社・合名会社は無限責任となり、万一会社の倒産にあたっては出資者が責任を負わなければなりません。間接有限責任は出資額を限度として責任を負いますが、実際に出資を行っているとそれ以上の責任を債権者から求められることはないのです。

株式会社も以前と異なり設立しやすくなりましたが、賃貸事業は対個人のビジネスであり、株式会社の方が高いといわれる “社会的信用” はあまり大きな要素ではありません。上場する必要もないので合同会社を選択するケースが多いといえるのです。

また株式会社の場合は「決算公告」が義務づけされているため、公告の義務がない合同会社を選択する考え方もあります。

そのほか非公開株式会社は役員任期を最長10年とすることができます。その場合でも10年ごとに役員変更登記が必要になり、役員選任の必要がない合同会社は賃貸経営に望ましい形態といえるでしょう。

設立費用と登記

合同会社と株式会社の違いを設立費用や、要件についてまとめると以下のようになります。

合同会社 株式会社
出資者と経営者の関係 出資者と経営者は同一 出資者と経営者は原則的に分離
最低資本金 1 1
最低出資者数 1 1
最低役員数 0 1
役員の任期 なし 最長10年、重任可
設立登録免許税 資本金の7/1000かつ最低6万円 資本金の7/1000かつ最低15万円
定款認証代 5万円 0
定款印紙代 4万円 4万円

資本金が最低1円といっても、設立のための登録免許税だけで6万円は必要です。さらに設立登記を司法書士に依頼すると報酬も必要であり、定款の認証は不要ですが定款そのものは作成しなければなりません。定款作成も司法書士に依頼するとその費用も必要です。

賃貸物件の新規取得にさいしては金融機関からの融資を利用することもあり、3百万円程度の資本金は準備したいところです。

登記は法務局でおこないますが、次の事項を決定したうえで登記をします。

1. 商号
2. 本店所在地
3. 事業目的
4. 資本金の額
5. 社員(出資者)
6. 代表社員
7. 業務執行社員

貸家業はとくに必要な資格や免許はないので、法人登記が完了すると法人としての事業が開始できます。
登記完了後は以下の手続きもおこなわなければなりません。

1. 銀行口座開設
2. 税務署への届出(法人設立・源泉所得税・消費税・青色申告・減価償却資産の償却方法など)
3. 市区町村への届出(法人設立)
4. 労働基準監督署(労働保険関係)
5. ハローワーク(雇用保険関係)
6. 年金事務所(健康保険・厚生年金関係)

届出手続きをする役所関係が多く、時間がとれるオーナーは自らおこなうこともできますが、司法書士や社会保険労務士に依頼するケースも多いようです。

まとめ

貸家業の法人設立はむずかしいものではありません。定款の作成も最近は、印紙代のかからない「電子定款」作成をクラウドソフトでできるサイトもあります。

わずかな知識で会社が設立でき、税制面での軽減措置が受けられる法人化、検討しているオーナーや投資家は増えており、賃貸事業が順調に成長すると、必ず “法人化” というテーマはでてくるものです。

オーナーによっては物件取得時の資金計画が成り立つ場合は、事業スタートから法人とする場合もあるかもしれません。また個人事業の途中から法人を設立するというパターンもあります。

管理会社としては、オーナーのあらゆる要望に応えられる準備をしておくことが大切です。

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