
皆様、レインズが毎月10日頃に公表している「月例マーケットウォッチ」は見ておられるでしょうか?
月ごとの市況の動きをレインズに登録される情報を基に分析したもので、主な情報として、地域ごとの「成約数」「成約平米単価」「売り物件の新規登録件数」について、「〇ヵ月連続上昇」や「〇ヵ月ぶりに下落に反転」など、最新の動向を知ることができます。
ご自身の担当されるエリアについて把握しておくことで、日々の商談に活かすことができる情報ですので、未チェックの方はぜひご活用ください。
実は追客に便利なマーケットウォッチ
さて、このレインズの『月例マーケットウォッチ』ですが、売主様向けの追客には大変有用なものになっています。実際にここから得られる情報を基にした「DM」や「メルマガ」などを過去の売り反響に対して送付し、訪問査定や再査定の誘引を行っている業者様はそれなりにいらっしゃいます。
しかし『月例マーケットウォッチ』を見るとわかるのですが、書かれているのはあくまでそれぞれの数値の動向であって、その数値に対する考察などは書かれていません。追客用の施策として使うためには、不動産業界人なりの解釈をし「こういった動向なので、今が売り時です!」といった顧客の行動を促す解説を書き添える必要があります。
「マーケットウォッチが追客に使えることは知っていても、イチイチ解説を考えるのが面倒」というお考えの方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、本記事では弊社なりに『月例マーケットウォッチ』を考察し、追客施策の方向性までを検討していきたいと思います。
ミカタの不動産業界目線『月例マーケットウォッチ』2020年12月版 中古戸建て(首都圏)
※本記事は、2020年12月10日に公開された「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年11月度」を基に執筆しております。
<首都圏概況>
11月の成約数は、前年同月比23.6%プラスの1,303件となり、1990年5月のレインズ発足以降11月としての最大の成約数となりました。
成約価格は同4.9%プラスの3,239万円です。
一方、新規登録件数は前年同月比21.4%マイナスの4,975件で、9ヶ月連続で前年同月比マイナスとなりました。
在庫件数も同19.6%マイナスの18,420件で、6ヶ月連続の前年同月比マイナスです。前年同月比の減少幅は7月以降拡大しています。
<都県別成約数>
都県別に成約数を見ると、すべての都県で前年同月比プラスとなりました。
東京都は409件で前年同月比19.9%プラス、
神奈川県は372件で同24.4%プラス、
千葉県は278件で同31.8%プラス、
埼玉県は244件で同20.2%プラスとなり、
各都県で大幅増という結果になりました。
<都県別成約価格>
成約価格は、東京都は4,752万円で前年同月比9.0%プラス、
神奈川県は3,277万円で同1.2%プラス、
千葉県は2,050万円で同15.3%プラス、
埼玉県は2,002万円で同4.3%マイナスとなりました。
■東京都
成約数(件) | 前年比(%) | 価格(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
城東地区 | 71 | 54.3 | 4,003 | 31.2 | 349 | −5.7 | 1,024 | −9.9 |
城南地区 | 61 | −17.6 | 7,699 | 15.8 | 257 | −27.8 | 963 | −24.2 |
城西地区 | 48 | 118.2 | 6,920 | 23.3 | 135 | −30.1 | 569 | −14.6 |
城北地区 | 45 | 7.1 | 5,031 | 4.7 | 206 | −15.6 | 675 | −13.0 |
多摩地区 | 179 | 17.0 | 3,196 | −0.1 | 605 | −21.1 | 2,274 | −21.4 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年11月度」
※各エリアの詳細
- 城東地区(台東区、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区、荒川区)
- 城西地区(新宿区、渋谷区、杉並区、中野区)
- 城南地区(品川区、大田区、目黒区、世田谷区)
- 城北地区(文京区、豊島区、北区、板橋区、練馬区)
- 多摩地区(都区部・島嶼部以外)
※※赤字は前年比マイナス
■神奈川県
成約数(件) | 前年比(%) | 価格(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
横浜市 | 163 | 27.3 | 3,796 | −0.7 | 502 | −29.4 | 1,869 | −22.4 |
川崎市 | 36 | −7.7 | 3,683 | −2.6 | 131 | −22.0 | 474 | −27.2 |
相模原市 | 22 | −29.0 | 2,512 | 3.7 | 101 | −33.6 | 406 | −13.4 |
県央地区 | 34 | 13.3 | 2,250 | 0.5 | 154 | −29.7 | 609 | −14.1 |
湘南地区 | 98 | 75.0 | 3,206 | 13.2 | 316 | −21.2 | 1,144 | −19.5 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年11月度」
※各エリアの詳細
- 県央地区(座間市、大和市、綾瀬市、厚木市、海老名市、伊勢原市、秦野市)
- 湘南地区(鎌倉市、逗子市、三浦郡葉山町、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、横須賀市、三浦市)
※※赤字は前年比マイナス
■千葉県
成約数(件) | 前年比(%) | 価格(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
総武地区 | 74 | 48.0 | 2,542 | 14.4 | 240 | −13.4 | 862 | −10.3 |
常磐地区 | 80 | 60.0 | 2,089 | 5.3 | 252 | −2.7 | 877 | −20.4 |
千葉市 | 33 | 10.0 | 2,389 | 19.0 | 108 | −35.3 | 421 | −28.6 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年11月度」
※各エリアの詳細
- 総武地区(市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、浦安市、習志野市、八千代市)
- 常磐地区(松戸市、柏市、我孫子市、流山市、野田市)
※※赤字は前年比マイナス
■埼玉県
成約数(件) | 前年比(%) | 価格(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
さいたま市 | 37 | −2.6 | 2,793 | 5.9 | 168 | −27.9 | 621 | −16.5 |
中央地区 | 33 | 120.0 | 2,197 | −14.1 | 129 | −16.8 | 441 | −20.3 |
西部地区 | 68 | 21.4 | 2,223 | 2.3 | 299 | −12.9 | 1,053 | −15.2 |
東部地区 | 41 | 20.6 | 2,027 | −7.0 | 168 | −2.9 | 513 | −10.3 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年11月度」
※各エリアの詳細
- 中央地区(川口市、戸田市、鳩ヶ谷市、蕨市、上尾市)
- 西部地区(和光市、朝霞市、新座市、志木市、富士見市、上福岡市、川越市、所沢市、狭 山市、入間市)
- 東部地区(八潮市、三郷市、草加市、越谷市、春日部市)
※※赤字は前年比マイナス
<まとめ>
11月度は、10月度に引き続き各都県の成約数が前年同月比で増加となりました。在庫物件数・新規登録件数共に減少傾向にありますが、価格はエリアによって上下しています。
成約件数 | 成約平米単価 | ||
東京都 | 区部 | ↑ | ↑ |
多摩 | ↑ | → | |
神奈川県 | 横浜・川崎市 | ↑ | ➘ |
神奈川県その他 | ↑ | ↑ | |
千葉県 | ↑ | ↑ | |
埼玉県 | ↑ | ↓ |
<凡 例>
- 成約件数
+10.0%以上「↑」+3.0~+10.0%未満「➚」-3.0~+3.0%未満「→」
-3.0~-10.0%未満「➘」-10.0%以上「↓」
- 成約㎡単価:
+3.0%以上「↑」+1.0~+3.0%未満「↑」-1.0~+1.0%未満「→」
-1.0~-3.0%未満「➘」-3.0%以上「↓」
<戸建て検討層のトレンド変化「テレワーク・郊外・若年層」>
緊急事態宣言が解除されて以降、戸建て市況が活性化しています。
(株)リクルート住まいカンパニーが行った「第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」で「コロナ拡大の住まい探しへの影響」を聞いたところ、中古一戸建て検討層において「促進される」と回答した人が38%で最多となりました。好調な市況を反映した結果と言えるでしょう。
この活況を支えているのは、コロナ禍によって生まれた「郊外」「テレワーク」などの住まいの新たなトレンドです。
同調査で「コロナ拡大による住宅に求める条件の変化」を聞いたところ、「仕事専用スペースが欲しくなった」が28%で最多、次いで「通信環境が良い環境に住みたくなった」が27%、「換気性能に優れた住宅に住みたくなった」が24%となるなど、トレンドの変化が伺える結果となりました。
加えて、同調査によればコロナ禍による若年層の購入意欲の高まりが顕著となっています。
Q.コロナ拡大の住まい探しへの影響(首都圏・単一回答)
促進された | 抑制された | 影響はない | |
20代 | 51% | 10% | 39% |
30代 | 32% | 35% | 32% |
40代 | 28% | 26% | 46% |
50代 | 21% | 37% | 42% |
60代 | 25% | 24% | 51% |
出典:(株)リクルート住まいカンパニー「第2回 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査」
20代の過半数がコロナ禍によって住まい探しが「促進された」と回答しており、他の世代よりも高い割合となっています。
この結果については、さまざまな理由が考えられますが、コロナ禍によって生じたトレンドの変化によって現住居への不満が顕在化したことで、とりわけ賃貸住宅の居住者が多い20代を中心に仕様の良い物件への関心が高まったことが考えられます。
これらを踏まえると、不動産仲介においては郊外・テレワークといったトレンドに加えて、戸建てへの関心が高まっている若年層への訴求が重要になると言えそうです。
加えて、先に述べた「コロナ拡大による住宅に求める条件の変化」では、前述した「換気」の他に「玄関近くに洗面所がほしい」などの回答率が前回調査(2020年5月)から上がっており、コロナ対策への関心が高まっています。
コロナ対策は住まいだけでなく、店舗での接客においても意識が高まっていると考えられます。そのため、コロナ対策はもとより、オンライン重説や契約などの非対面接客なども積極的に取り入れていくことが求められそうです。
追客用メルマガ雛形のダウンロードはこちら
ここまでに、今月の『月例マーケットウォッチ』から考えられる追客施策の案をご提案させて頂きました。
しかし、この案を使って「メルマガ」や「DM」を作るにも、時間と手間が掛かってまいります。そこで今回は「コピペでそのまま使えるメルマガの雛形」を弊社にて制作させて頂きました!東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の4エリアについて、中古マンション用と中古戸建て用のもの各2種、計8パターンをご用意しております。
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