
皆様、レインズが毎月10日頃に公表している「月例マーケットウォッチ」は見ておられるでしょうか?
月ごとの市況の動きをレインズに登録される情報を基に分析したもので、主な情報として、地域ごとの「成約数」「成約平米単価」「売り物件の新規登録件数」について、「〇ヵ月連続上昇」や「〇ヵ月ぶりに下落に反転」など、最新の動向を知ることができます。
ご自身の担当されるエリアについて把握しておくことで、日々の商談に活かすことができる情報ですので、未チェックの方はぜひご活用ください。
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実は追客に便利なマーケットウォッチ
さて、このレインズの『月例マーケットウォッチ』ですが、売主様向けの追客には大変有用なものになっています。実際にここから得られる情報を基にした「DM」や「メルマガ」などを過去の売り反響に対して送付し、訪問査定や再査定の誘引を行っている業者様はそれなりにいらっしゃいます。
しかし『月例マーケットウォッチ』を見るとわかるのですが、書かれているのはあくまでそれぞれの数値の動向であって、その数値に対する考察などは書かれていません。追客用の施策として使うためには、不動産業界人なりの解釈をし「こういった動向なので、今が売り時です!」といった顧客の行動を促す解説を書き添える必要があります。
「マーケットウォッチが追客に使えることは知っていても、イチイチ解説を考えるのが面倒」というお考えの方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、本記事では弊社なりに『月例マーケットウォッチ』を考察し、追客施策の方向性までを検討していきたいと思います。
ミカタの不動産業界目線『月例マーケットウォッチ』2021年1月版 中古マンション(首都圏)
※本記事は、2021年1月15日に公開された「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年12月度」を基に執筆しております。
<首都圏概況>
12月の成約数は、前年同月比9.9%減となる2,533件となり、3ヶ月ぶりに前年同月を下回る結果となりました。
成約平米単価は、前年同月比4.8%増の57.53万円で8ヶ月連続の上昇となりました。成約価格も同5.3%増でこちらも7ヶ月連続の上昇となっています。
新規登録件数は12,125件で前年同月比18.5%減となり、16ヶ月連続で前年同月を下回っています。
在庫件数は38,173件の同18.9%減で、こちらも13ヶ月連続で前年同月を下回る結果となりました。
<都県別成約数>
成約数を都県別に見ると、
- 東京都は1,280件で前年同月比14.3%減、
- 神奈川県は同0.8%減の644件、
- 埼玉県が同4.2%減の318件、
- 千葉県が同13.1%減の291件
となっています。
<都県別成約単価>
成約平米単価を都県別に見ると、すべての都県で前年同月比プラスとなっています。
- 東京都は、前年同月比6.4%増の77.17万円
- 神奈川県は同5.7%増の46.21万円
- 埼玉県が同3.2%増の33.93万円
- 千葉県が同5.7%増の31.12万円
となっています。
■東京都
成約数(件) | 前年比(%) | 平米単価(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
都心3区 | 155 | -18.0 | 129.00 | 11.2 | 850 | -12.8 | 2,912 | -17.4 |
城東地区 | 287 | -15.3 | 64.60 | 2.6 | 1,489 | -17.2 | 4,564 | -18.3 |
城南地区 | 246 | -13.7 | 84.38 | 6.6 | 1,202 | -22.4 | 3,745 | -21.6 |
城西地区 | 177 | -11.9 | 99.99 | 5.1 | 1,159 | -17.0 | 3,848 | -13.9 |
城北地区 | 173 | -14.4 | 74.24 | 5.9 | 1,121 | -21.6 | 3,433 | -19.0 |
多摩地区 | 242 | -12.9 | 43.47 | 5.6 | 874 | -25.7 | 2,824 | -26.8 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年12月度」
※各エリアの詳細
- 都心3区(千代田区、中央区、港区)
- 城東地区(台東区、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区、荒川区)
- 城西地区(新宿区、渋谷区、杉並区、中野区)
- 城南地区(品川区、大田区、目黒区、世田谷区)
- 城北地区(文京区、豊島区、北区、板橋区、練馬区)
- 多摩地区(都区部・島嶼部以外)
※※赤字は前年比マイナス
■神奈川県
成約数(件) | 前年比(%) | 平米単価(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
横浜市 | 329 | -4.4 | 49.29 | 6.3 | 1,630 | -18.3 | 4,979 | -14.5 |
川崎市 | 144 | 5.1 | 55.74 | 8.0 | 548 | -25.9 | 1,748 | -19.3 |
相模原市 | 35 | 12.9 | 34.64 | 6.5 | 167 | -31.8 | 580 | -18.9 |
県央地区 | 36 | -29.4 | 25.45 | 1.1 | 233 | -17.1 | 761 | -17.1 |
湘南地区 | 86 | 17.8 | 36.00 | 2.3 | 356 | -19.1 | 1,059 | -27.6 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年12月度」
※各エリアの詳細
- 県央地区(座間市、大和市、綾瀬市、厚木市、海老名市、伊勢原市、秦野市)
- 湘南地区(鎌倉市、逗子市、三浦郡葉山町、藤沢市、茅ヶ崎市、平塚市、横須賀市、三浦市)
※※赤字は前年比マイナス
■千葉県
成約数(件) | 前年比(%) | 平米単価(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
総武地区 | 116 | -12.1 | 35.71 | 0.5 | 354 | -25.8 | 1,148 | -19.9 |
常磐地区 | 68 | -4.2 | 33.04 | 19.1 | 223 | -21.8 | 790 | -15.7 |
千葉市 | 68 | -20.9 | 26.42 | 4.3 | 252 | -22.0 | 852 | -21.9 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年12月度」
※各エリアの詳細
- 総武地区(市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、浦安市、習志野市、八千代市)
- 常磐地区(松戸市、柏市、我孫子市、流山市、野田市)
※※赤字は前年比マイナス
■埼玉県
成約数(件) | 前年比(%) | 平米単価(万円) | 前年比(%) | 新規登録状況 | 前年比(%) | 在庫状況 | 前年比(%) | |
さいたま市 | 87 | 3.6 | 41.77 | 2.9 | 346 | -14.1 | 974 | -23.8 |
中央地区 | 61 | -6.2 | 45.47 | 10.8 | 346 | -1.7 | 1,037 | -9.5 |
西部地区 | 90 | -7.2 | 29.50 | 0.5 | 396 | -4.3 | 1,118 | -15.9 |
東部地区 | 52 | -1.9 | 25.40 | -4.0 | 235 | 15.8 | 580 | -16.8 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート2020年12月度」
※各エリアの詳細
- 中央地区(川口市、戸田市、鳩ヶ谷市、蕨市、上尾市)
- 西部地区(和光市、朝霞市、新座市、志木市、富士見市、上福岡市、川越市、所沢市、狭 山市、入間市)
- 東部地区(八潮市、三郷市、草加市、越谷市、春日部市)
※※赤字は前年比マイナス
<まとめ>
12月度は、11月度から一転して前年同月比で減少となるエリアが増加しました。
成約件数 | 成約平米単価 | ||
東京都 | 区部 | ↓ | ↑ |
多摩 | ↓ | ↑ | |
神奈川県 | 横浜・川崎市 | → | ↑ |
神奈川県その他 | → | ➚ | |
千葉県 | ↓ | ↑ | |
埼玉県 | ➘ | ↑ |
<凡 例>
- 成約件数
+10.0%以上「↑」+3.0~+10.0%未満「➚」-3.0~+3.0%未満「↑」
-3.0~-10.0%未満「➘」-10.0%以上「↓」
- 成約㎡単価:
+3.0%以上「↑」+1.0~+3.0%未満「➚」-1.0~+1.0%未満「→」
-1.0~-3.0%未満「➘」-3.0%以上「↓」
<2021年の中古マンション市場展望>
・2020年の中古マンション市場の総括
<表1>は、直近3年の中古マンションの成約数と平米単価の月度平均をまとめたものです。
<表1>直近3年間の月度平均実績(中古マンション)
2018年 | 2019年 | 2020年 | |
成約数 | 3,101件 | 3,176件 | 2,985件 |
平米単価 | 51.61万円 | 53.42万円 | 54.90万円 |
出典:レインズ「月例速報MarketWatchサマリーレポート」から集計
2020年は、昨年・一昨年と比較すると、コロナ禍の影響もあって成約数が減少する一方、平米単価は上昇しました。
不動産価格の上昇が続いている要因としては、元々の金融緩和政策(アベノミクス)に加えて、コロナ禍における緊急経済対策も影響していると考えられます。
2012年12月に発足した第二次安倍内閣で始まったアベノミクスによって低金利政策が実施され、2010年代は不動産価格が上昇基調にあったことは周知の通りです。
この流れにコロナ禍が水を差すところでしたが、事業規模で117兆円におよぶ大規模な緊急経済対策を実施したことで、ダメージが軽減されています。
リーマン・ショック時に失業率が5.5%上昇したのに対して、今回は0.5%の上昇にとどまっていますので、不動産購入検討層の心理的安心感の醸成に一役買っていると言えるでしょう。
コロナ禍については予断を許さない状況が続いていますが、金融緩和政策については、キーパーソンである黒田日銀総裁の続投が2023年まで既定路線となっており、当面は「異次元緩和」下での不動産相場となるでしょう。
・ホームステージングの実施、96%が「効果がある」と回答
中古マンション価格の上昇が続く中、検討する物件の専有面積を下げることによって価格を押さえたいというニーズは今後さらに高まっていくことが考えられます。
物件訴求においては、スペースが狭まることのマイナスの印象が阻害要因にならないように工夫していく必要があります。
以下は、(一社)日本ホームステージング協会が不動産に関連する企業・個人にホームステージングについて行った調査結果です。
Q.ホームステージングを実施する基準(複数回答)
長期空室のみ実施 | 28.3% |
入居しにくい部屋のみ実施 | 24.5% |
全部屋実施 | 24.5% |
高額物件のみ実施 | 11.3% |
ホームステージングはしないが補修のみ実施 | 11.3% |
Q.ホームステージング実施後の成約までの期間で「非常に多い」もの(上位5期間、複数回答)
1ヶ月以内 | 47.8% |
2ヶ月以内 | 25.6% |
3ヶ月以内 | 18.1% |
2週間以内 | 16.3% |
1週間以内 | 14.3% |
Q.ホームステージングは効果があると思うか?(択一)
非常に効果があった | 52% |
多少は効果があった | 44% |
影響はなかった | 2% |
わからない | 2% |
調査結果を総合すると、ホームステージングを実施している不動産仲介会社は、長期空室や入居が見込めない部屋を中心にホームステージングを実施しており、約半数が「1ヶ月以内」に成約することが「非常に多い」、大半が「効果がある」と回答しています。
空室や残置物のある画像・動画では居住した際の生活イメージを想起することは難しいですが、ホームステージング(VRホームステージングを含む)を活用することで、こういった課題を解決することができます。
また、居住スペースが狭まることで、「居住者の人数と合わない」「家具が配置できなくなる」と考えているエンドユーザーに最適な提案を行うことも可能になるでしょう。
ホームステージングによってエンドユーザーの生活イメージを喚起することで、問い合わせの増加や成約期間が短縮されるなどの効果が期待できそうです。
追客用メルマガ雛形のダウンロードはこちら
ここまでに、今月の『月例マーケットウォッチ』から考えられる追客施策の案をご提案させて頂きました。
しかし、この案を使って「メルマガ」や「DM」を作るにも、時間と手間が掛かってまいります。そこで今回は「コピペでそのまま使えるメルマガの雛形」を弊社にて制作させて頂きました!東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の4エリアについて、中古マンション用と中古戸建て用のもの各2種、計8パターンをご用意しております。
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