賃貸物件のトラブルにうまく対処する4つの秘訣

「今日も、入居者さんからクレームがあった。」
「正直もう疲れた、会社を2、3日休みたい!」

不動産管理会社のみなさん、毎日のお仕事お疲れ様です。

みなさんの悩みを少しでも軽くしたいと思い、この記事を書きました。

トラブルにうまく対処する4つの秘訣は、次のとおり。

  • 起きやすいトラブルを事前に把握する
  • 起きやすいトラブルの対処法を整理しておく
  • 賃貸借契約書の内容を丁寧に説明する
  • トラブルが発生したら、すぐに行動する

私は不動産業界に15年ほど在籍しています。

また、現在貸家業をやっていて、大家として不動産管理会社のみなさんとお付き合いをしています。

トラブルをうまく処理する能力は、本人の努力と工夫次第で、身につけることができます。

「トラブルに負けずに仕事をしたい」あなたの参考になれば幸いです。

1.起きやすいトラブルを事前に把握する

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起きやすいトラブルの例を5つあげておきます。

  1. 水回り関係(給湯・トイレ・水道等)
  2. 騒音
  3. 共用部分の不正使用
  4. 敷金精算・原状回復
  5. 家賃滞納

①は、設備に関するもの、②・③は人的なトラブル。

⑤・⑥は、管理面でのトラブルです。

思いつく範囲でかまわないので、まずは書き出してみましょう。

起きやすいトラブルの対処法を整理しておく

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上記5つのトラブルについての対処法は次のとおり。

① 水回り関係(給湯・トイレ・水道等)

入居前の点検は必須。壊れている設備はオーナーに連絡し、修理・交換してもらいましょう。

また、トラブルが発生した場合には迅速な対応が必要です。

対応が遅れてしまうと、トラブルが大きくなってしまいます。

入居者が自ら修理してしまった場合、費用負担の問題が発生します。

賃貸借契約書(「修繕費」の項目)でしっかり説明しましょう。

~私の体験談(失敗例)~

営業マンになりたての頃、あるご家族に築10年の一戸建てにご入居いただいた。
入居から数日後の夕方、台所の排水パイプの水漏れが発生。
トラブル発生の日が、会社の定休日だったため、お客様が私の携帯電話にご連絡(私の名刺に、会社の電話番号と一緒に記載されていた)。
見慣れない電話番号だったこと、着信に気づいたのが夜だったことで、その日は放置。
翌日、会社に出勤後、お客様からの連絡だったことが判明。
一晩放置してしまったことにより、クレームになってしまった。

② 騒音

特にアパートは、お隣や上下の部屋と壁や床で接しているため、騒音に関するトラブルが発生しやすいです。

子供の走り回る音、テレビやラジオの音、ペットの鳴き声など、さまざまです。

クレームが発生したら、すぐに駆けつけて対処すること。

入居者同士のトラブルは、あとで大きな問題に発展することがあります。

主に次のことに気をつけましょう。

・両者の意見をしっかりヒアリングする
・それぞれのトラブルに対し、個別具体的に対応する
(例)子供の走り回る音がうるさい:カーペットを敷いてもらう
テレビやラジオの音がうるさい:夜8時以降は音量制限をする
賃貸借契約時に、騒音に対するルール(「禁止行為」の項目)を充分に説明する

~私の体験談(成功例)~

木造アパートに入居されたお客様から、隣室のテレビの音が大きくて気になると連絡あり。
すぐに現地へ駆けつけ、音漏れ状況を確認。
騒音ではなく、「生活音」であることを説明。
加えて隣室の間取りも考慮した、家具の配置の変更をアドバイス。
それ以降、騒音問題は発生しなかった。
賃貸借契約時にも「騒音」について、具体例をあげて説明していたことも良かったと思われる。

③ 共用部分の不正使用

自転車や鉢植え、ベビーカーなど、共用部分にモノを置いている入居者もいます。

見た目が悪いだけでなく、災害等が発生した場合、避難などの安全面でも問題です。

時間があるときに担当物件のチェックをしておくと良いでしょう。

実際に違反している入居者に対しては、賃貸借契約書の「禁止行為」に当たることを指摘し、改善を求めましょう。

~私の体験談(成功例)~

2階建てアパートの例。
2階に住んでいる入居者様が、盗難防止のため、共用部分の廊下に自転車を1台置いていた。
担当物件の見回りの際、発見したのでその日の夜、入居者様へ連絡。
周辺の治安が良いこと、契約時に説明した「禁止行為」の件をそれとなく伝える。
数日後、確認のため現地へ。
1階にある駐輪場に自転車が置かれていた。

④ 敷金精算・原状回復

入居前に、気になる汚れや傷を写真撮影しておきましょう。

賃貸借契約書の「退去に関する事項」を、入居者・オーナー双方に説明します。

参考までに、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容を以下に要約しておきました。

・入居者に故意・過失による損耗等がない場合(いわゆる「経年変化や通常使用による損耗」)、原状回復義務が生じることはありません。
・この場合、敷金が返ってこなかったり、別途費用を請求されることはありません。

~私の同僚の体験談(失敗例)~

賃貸マンション退去時の、フローリングの色落ち・一部損傷。
  • 入居者様の主張:フローリングの色落ち等は、経年変化によるもの。
  • 同僚の判断:フローリングの現状から、何らかの水濡れが原因。
結局、リフォーム会社に現場を確認してもらい、雨水等が部屋に入ったことが原因と特定。
最終的には入居者様が自分にも非があったことを認め、費用の負担をしていただく。
賃貸借契約時に原状回復義務の文面を読んだだけで、具体的な説明をしていなかった。
後味が悪い結果となり、解決にも時間がかかってしまった。

⑤ 家賃滞納

入居時の審査は慎重に行いましょう。

あわせて、連帯保証人や家賃保証会社をつけられれば安心です。

賃貸借契約時には、家賃を滞納した場合にどうなるか(「賃料」「契約の解除」の項目)を充分に説明しておきましょう。

実際に滞納が発生した場合、オーナーに報告するとともに、入居者にも早めにコンタクトを取りましょう。

対応を先延ばしにしていると、事態がどんどん悪化していきます。

~私の同僚の体験談(成功例)~

1週間ほど、家賃の振り込みが遅れたお客様。数日前から電話連絡するも、応答なし。
手紙をポストに投函後、再度電話し、お客様と連絡が取れる。
振り込みが遅れた原因がお客様の体調不良と判明。「お体を大切に…」と電話を切る。
数日後に入金があった。

起きやすいトラブルとその対処法をまとめ
トラブル 対処法
入居前チェック 賃貸借契約書 迅速な対応 修理・交換 ヒアリング 個別的に対応
設備 ①水回り関係
人的 ②騒音
③共用部分の不正使用
管理面 ④敷金精算・

原状回復

⑤家賃滞納

〇: 行うべき対処法
━: 行わなくてもよい対処法 ※トラブルの内容・程度等による

賃貸借契約書の内容を丁寧に説明する

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入居前のチェックや、賃貸借契約時の説明で、未然に防げるトラブルがたくさんあることが理解できたと思います。

社員さんの中には、賃貸借契約書の内容説明を丁寧に行わない人もいます。

トラブル防止の観点からも、入居者さんにわかりやすく説明しましょう。

~私と私の部下の体験談(成功例)~

私が営業課長だった頃、部下のAさんからお部屋の入居が決まったと報告。
そのお客様が、かなり細かい方であることは、お部屋の紹介の段階で相談を受けていた。
賃貸借契約は、宅地建物取引主任者の私が担当。
トラブルの発生が予想される、騒音の件、共用部分の使用上の注意、敷金精算、家賃の滞納等、通常のお客様の約1.5倍の時間をかけて説明する。
その甲斐もあり、入居後は、ゴミの出し方の質問が一度あっただけで、トラブルの報告はなかった。

4.トラブルが発生したら、すぐに行動する

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トラブルが発生したら、迅速に対応してください。

現地へ足を運ぶ、電話連絡をする、業者を手配する等、的確な判断が求められます。

迅速に対応すれば、トラブルの8割以上は解決。

このことを、みなさんにお伝えしたいです。

~私の体験談(成功例)~

ある日の夕方、マンションにお住まいのお客様から給湯器の故障の連絡を受ける。
故障の状況や給湯器のメーカー・型番等を聞き、すぐに訪問することを伝える。
訪問前に、日頃から付き合いのあるリフォーム会社へ連絡。
壊れた給湯器の情報を伝え、当日に修理・交換ができることを確認。
1時間半後、現地に到着。状況を把握し、お客様に説明後、リフォーム会社を手配。
当日に部品の交換ができ、すぐに使えるようになり、お客様に感謝される。
~後日談~
その後も、お客様とは良い関係を築き、お友達・お知り合いを数名紹介していただいた。

まとめ

この記事をまとめます。

・起きやすいトラブルを事前に把握する
・起きやすいトラブルの対処法を整理しておく
・賃貸借契約書の内容を丁寧に説明する
・トラブルが発生したら、すぐに行動する

以上述べたことは、すべて当たり前のことです。

ただ、これらを習慣になるまで身につけ、実践している人は非常に少ないです。

しかし、トラブルに対処する能力は身につけることができます。

私がここに書いたことを実践すれば、トラブルの8割以上を回避することができます。

一生懸命に頑張っているあなたの、参考になればうれしいです。

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