顧客発掘のこんな技・・・4 飛び込み訪問

今回はコテコテの話です。住宅営業はもちろんですが、地主相手のアパート営業など、飛び込み訪問も主力営業の一つとして採用している業種も多いと思います。

ただし、効率の問題やコロナ禍問題も含めると、この飛び込み訪問営業は以前より下火になると言わざるを得ません。
私もさんざんやりましたが、二度とやりたくないし大嫌いな営業手法です。でも、営業手法の一つとして決して廃れることはないし、意外にも科学的な裏付けがある営業手法ともいえます。

筆者は過去に飛び込み訪問に関する単行本も書きました。それなりの経験とノウハウを持っています。今回のコラムはこの飛び込み営業を掘り下げていきましょう。

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大前提として営業根性と粘り強さは必要

筆者は人間の心理を考えたり、データを使って飛び込み訪問をしましたが、根本的なこととして根性と粘り強さは必要ですよ。いくら頭を使ってやるとはいえ、飛び込み訪問ですから気合と根性は必須です。

今現在でもそうなのですが、積水ハウスは入社早々から飛び込み訪問をやらされます。コロナ禍ではさすがに中断したと聞いているので、営業マンはみんなホッとしているはずですが、入社後は徹底してやらされる支店が多いようです。

入社後すぐは社用車をもらえないので、自転車を一生懸命漕いでいくわけですが、これがしんどいやら情けないやら(笑)でも、仕事だと思ってやりました。完全な新規飛び込み訪問もありましたが、先輩たちが放棄したカードも渡されて回らされましたが、いずれにしても精神力がないと続く仕事ではありません。

事前訪問予告をしてから飛び込み訪問をする

分譲後25年経った分譲地に飛び込み訪問をしてみた

筆者の経験談を話しましょう。
積水ハウス入社1年目の夏。週に1回程度のペースで飛び込み訪問をやっていました。
最初のころは文字通りの闇雲訪問。古い家を見つけては「こんにちは・・・積水ハウスと申しますが・・・」の繰り返しでした。しかし、特別なトークや突破力があるわけもないので、まったく成果は上がりません。
ただ、数をこなしましたので、そこそこに話を聞いてくれる人はもちろん出てきましたがね。しかし、契約までは簡単には到達しません。
そこで、一計を案じたのが【事前訪問予告】でした。自分が家を建てる計画を持っていたと仮定した時、いくら建築予定があっても、突然自宅に訪問してきた営業マンに対して「はい、建築計画があります」と話すでしょうか?
しかし事前に訪問を予告されれば、せっかくだから少しくらい話を聞いてみようかな?という気持ちになるかもしれないと考えたのです。

飛び込み訪問3日前にこんな投げ込みをした

そこに目を付けた私はこんな文面を書いたチラシを作成しました。

積水ハウスの森と申します。○○団地も分譲後25年経過し、周囲でも建て替えをされる方もぼつぼつといらっしゃるようです・・・中略・・・2~3日後に私が再びご訪問させていただきますので、家についてのご質問などがあればこの機会にぜひお聞きください。
詳細な文章はさすがに覚えていませんが、ほぼこんな感じの内容を印刷したのは間違いありません。
このチラシを分譲地の戸数分だけ持ってすべてのお宅に投函しました。すべてのお宅といっても、たかだか200区画程度の団地です。あっという間に配り終えました。

3日後に飛び込み訪問をしてみたら・・・

本題はココから。
事前の飛び込み訪問予告をしてから3日後に同じ分譲団地を訪問しました。半分程度は不在でしたが、初日に50件程度訪問を何とかこなしました。ところが、なんとその50件のうち3件で深い話をできたのです。
飛び込み訪問経験者はわかると思いますが、どんな業界であれ50件程度の訪問で3件の濃い話をできることなど普通はあり得ないでしょう。しかもこの50件のうち半分以上は不在か居留守です。

このうち1件の奥さんとのやり取りはこうだった

とにかく3件と濃い話ができましたが、そのうち1件で応対に出た奥さんとのやり取りを再現してみましょう。

筆者「(チャイムを押し)積水ハウスの森と申しますが~」
奥様「は~い」
筆者「先日ですがポストにこれを投函して回ったのですが、○○さんのお宅でも建て替えの話などが出ているかな・・・と思いまして」
奥様「一つ聞いていいですか? 今後の金利はどうなるか知りたいんですよね」

まとめるとこんな会話がありました。よく考えて下さいね。飛び込み訪問をした先で、奥さんに「質問はありますか?」と聞いて即座にこんな返事が返ってきたのです。
普通に考えたらあり得ない話です。この後も雑談をはさみながら30分くらい延々と話をしたのですが、金利に始まり積水ハウスの構造やらインテリアやらを事細かに聞かれました。

住宅営業マンの訪問を事前に知っていたので心の準備ができていた

話をまとめていきましょう。
3件がこんな感じで話を真剣にしてくれましたのですが、皆さんにお伝えしたいのは訪問時のリアクションなのです。インターフォンを押して「積水ハウスです」と私が名乗るわけですが、その時の声のトーンなどから明らかに私の訪問を待っていた節があるのです。
住宅営業マンがいきなり訪問してきたら、皆さんであればどう考えますか。とりあえずは「あなたは何を目的に来たの?」と聞くでしょう。そして、家の話をよほど聞きたいでなければドアを開けることなどありえないのです。

おそらくこう考えていたはず

「ちょうど家を考えていたところだけど、このチラシを見ると積水ハウスの営業マンが自宅に再訪してくるようだ。金利のことは気にかかっていたし、積水ハウスのことも少し聞けるから都合良いかも。もし来たら質問をぶつけてみようかな」

おそらくはこう考えたはずです。もし全く新築の予定がなければ無視するでしょう。何かのはずみで応対に出たとしても「家の予定はないのよね~」で終わりのはずです。

この逆に新築をドンピシャのタイミングで検討していたとしましょう。ところが、そのタイミングで自宅に住宅会社の営業マンが飛び込みでやってきたとして、ペラペラと自分の予定を話すと思いますか?
ところが、既述の3件はこのすべてが新築の予定があるのと同時に、私の再訪を予期していて、私が訪問したら話を聞いてやろうと心で決めていたと推測できるのです。
そうでなければ、あんなスムーズなやり取りをするわけがありません。私が事前の訪問を告知したことがスムーズな会話の手助けをしたわけです。

この手法を新聞販売店で学んだ

筆者は大学時代を新聞販売店で過ごしました。いわゆる新聞奨学生という制度で大学に通っていました。
学生ですから朝刊を配って学校に行き、帰宅後には夕刊を配るという生活だったのですが、ある夏の日に朝刊を配達した後、あまりの疲労で一階の作業場で大の字で寝ていました。
そこへやってきたのは新聞拡張団の一団。50がらみの元締めが「お兄ちゃん、今日は学校さぼりか?」と声をかけてきたのです。
「学校なんかの勉強よりも為になるから、俺の拡張についてくるか?」という言葉に惹かれた私は元締めに同行。50件程度回ったのですが、その元締めはインターフォン越しに「朝日新聞ですけど~野球のチケットや美術券や洗剤もたくさんありますから!あの~また2~3日後に来ますんで少し考えてくださいよ」
こんなことを話すだけで1件も契約も取れません。しかし3日後に同じルートを回ったところ、インターフォン越しに断った奥さんたちのうちなんと5件が顔を出して契約をとったのです。

「訪問予告をして考える時間を与えるわけだ。3か月新聞変えるだけで洗剤やら野球のチケットもらえるんだったら得だろ? でも、こんな高級住宅街の奥様達は、新聞屋だと分かれば出てくるわけないじゃないか。簡単な人間の心理なんだよ」

まとめ

最後は新聞屋の話になってしまいましたが、とにかく事前訪問予告をしてから飛び込み訪問をするとその打率は必ず上がるのです。筆者は新聞屋の拡張団に教えてもらったことを、積水ハウスに行って実践しただけなのです。
「訪問予告をして考える時間を与える・・・」今でもこの言葉は忘れられません。

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