工務店はなぜ外構の提案をしないのだろうか

工務店でもハウスメーカーでも構いませんが、いわゆる住宅営業なる仕事をしてる人ならわかる話だと思います。

皆さんの仕事は建物に関するお客さんの要望をヒアリングして、それに対するプラン提案と見積もりを提示することです。

その内容に対してお客さんが、イエスかノーの結論を出して建築請負契約へと話が進んでいくのです。

その流れの中で、場合によっては外構の見積もりを出して契約を取るというパターンもあるでしょう。

しかし、一般的には見積もりを出すこと自体が稀ですし、営業の本心としては、家以外のことで商談そのものをややこしくしたくないという心理が働きます。

しかし、他社と差別化をしようとするのであれば、積極的に外構の話もお客さんにして建物と総合的な提案をしたほうが受注に近づくと考えるべきではないでしょうか。

そもそも外構に関する知識が乏しい住宅営業

本,知識

読者のなかで、庭、樹木、草木などに関する明るい知識をお持ちの方はどのくらいいるでしょうか、

かくいう私も大した知識はありません。

現役営業マン時代を思い返しても、お客さんと庭の話をすることはあったものの内心では「あまり詳しくないのだからそれ以上話を深掘りするのはやめて欲しいなぁ・・・」と思っていました。

それはそうでしょう。

我々はあくまでも住宅営業マンなのです。

外構に関する知識はあるに越したことないものの、必須事項ではありません。

ですから、本当に基本的な話はできたものの、深い話はしませんでしたし、無意識にその話は避けていました。

外構の話で盛り上がってしまうと、自分の浅い知識が露呈してしまいますからね。

私は23年間にわたって工務店などのコンサル事業をしていますが、先々で出会う営業マンに、外構に詳しい人間に会ったことはほとんど記憶にありません。

コンサル先では外構の話になかなかならないということもあるのですが、それを踏まえても外構に詳しい住宅営業マンはさほどいないのが現実でしょう。

住宅営業はなぜ外構の話をしたがらないのか?

商談の阻害要因になりかねないから

真っ先に挙げられるのがこれでしょう。

皆さんは建物を売る住宅営業マンです。

あくまでも建物の見積もりを出してその契約を目指すわけですが、外構の話を下手に取り扱う事によって、話が外構にそれることは避けたいと思うのです。

建物とは本来関係ない話ですので、外構の話をすることによって契約までの時間が延びてしまいます。

そして次に厄介なのが、外構の提案することによって、そこにお客さんの関心が移ってしまうことです。

私が現役時代に実際に交わした会話を再現してみます。

森「こちらが外構のプランとお見積りになります。結構いい値段なんですけどもお客さんのご要望をすべて入れました」

客「いいですね!このお庭はいいですね!でも400万円となると流石に厳しいです」

森「確かに外構に400万円をかけられる方というのはそんなにいらっしゃらないと思います。これについては建物を建てられた後、余裕のある時に整備すればいいんじゃないでしょうかね」

客「最初はそう思っていたんですけども、こうやってお庭のプランを見てしまうと、やはり引渡しと同時に綺麗な庭ができているのは理想ですよね」

森「理想としてはそうですよね。ただ、あとは、まぁ、予算の問題がありますので、もし同時にやるのであればこの400万円の予算から、あと150万円削ってなんとか250万円でできるところまで落ち着けるというところになるのでしょうか」

客「それは分かりますが、このプランも気に入ってしまったんですよね。ここに400万円かけて、アップした150万円分を建物から削ってもいいと私は思っています」

いかがですか、このやり取り。

住宅営業マンであれば分かっていただけると思いますが、背中に汗が流れる会話ですよね。

実際この時も、私は内心「これはやばい!変な話をしちゃったなー」と焦りまくりました。

結果としては、建物と外構セットで契約して頂き事なきを得たのですが、それ以降の折衝では、外構の話をするタイミングにとても注意を払うようになりました。

外構を気に入られると困るケースが出てくる

私のこの体験談がまさにこれです。

建物だけで商談していればとっくに決まっていた契約案件だったのですが、私のサービス精神で外構の見積もりも取ったのです。

当初の予定では、外構プランを見たお客様に喜んでもらうものの、「家を建てた後に余裕を見てからこういうのを考えます」との結論に落ち着くと勝手に考えていたのです。

ところが話は全く違う方向に動いてしまい、外構工事でアップしてしまった部分を、なんと建物から削るという方向に向かってしまったわけです。

この時は事なきを得ましたが、 下手をすると私が提案したプランと同じようなプランを、もっと安いメーカーに発注する可能性も十分にあったわけです。

そうすれば、間取りは希望通りのものができるわけですし、そのうえ庭も自分が気に入ったものを実現できるわけです。

中古高級住宅を売る場合は事情が異なる

世の中にはローコストメーカーが存在しますが、 土地と建物を両方購入するお客さんにとっては力強い味方と言えるでしょう。

しかも、年齢も若く収入がさほどない方にとっては、 尚更のことです。

この場合、外構の提案は前述したように営業的には全く無意味なものになるか、 あるいはその逆にお客さんをがっかりさせることにもなりかねません。

なんとか住宅ローンを組んでローコストで建てようという方にとっては、外構まで手が回らないのは当たり前のことでしょう。

そのような商談の場で、綺麗なお庭のプレゼンテーションを持っていくことは、イヤミと取られても仕方がないとは思いませんか。

しかし、 中古高級住宅となると話は変わってきます。

極端な例を話しますが、年収が2,000万あるお客さんがいたとしましょうか。

自己資金が5,000万円ほどあり、土地と建物合わせて1億円ほどの物件を検討しているとしましょう。

このようなお客さんであれば、外構はしっかり提案すべきです。

逆にしなくてはだめでしょう。

建物を外から見た場合、外構とセットで綺麗に見せるべきですし、家の中から庭の風景も重要なアイテムになります。

特にこのクラスの方は、外構もやるのが当然という考えが多いので、住宅営業マンがこれに触れないと、かえって物足りないと思う可能性が高いと推測できます。

私は積水ハウスにいたのでよく分かるのですが、積水ハウスをはじめとした大手住宅メーカーは、お客さんの幅が実に広いのです。

ハウスメーカーで建てようと思えばなんとかなるだろうという方から、年収が2,000万円、3,000万円という方も、それなりにたくさんお見えになります。

ですから、ギリギリで建てる方については外構には触れませんでしたが、かなり余裕のあるお客さんの場合には、必ず外交にも言及してプラン提案をしていました。

まとめ

家をギリギリで建てる方については、外構工事に触れない方が無難である反面、年収が高く生活に余裕があればある人ほど外構について営業マンから言及するようにしてください。

ところで、今回のコラムでは外構の細かい知識については全く触れませんでした。

つつじがどうのこうのとか、芝生を根付かせるためにはどうするとか、シンボルツリーにはどんな品種が適当か、といったことです。

これについてはご自分で勉強されてください。

今後の商談において、外構の知識が必ず役立つときがやってくると私が断言いたします。

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