【購入者目線で考える不動産購入取引】セリングサンセットに見る高額不動産仲介の海外の状況

不動産仲介業務をされているみなさんは日頃の営業活動において、どのようなことを意識しているでしょうか?

この記事をお読みいただいているみなさんはきっとお客様の好みをしっかりと把握して、最適な提案をしようと心がけていらっしゃる方ではないかと思います。

今回の記事では【購入者目線で考える不動産購入取引】シリーズとして、これからの時代に必要な価値観を軸にしたお客様との関係性の築き方や提案方法について、Netflixで放映されている「SELLING SUNSET」をベースにご紹介します。

この記事では、

・「SELLING SUNSET」とは?
・日本とアメリカの不動産仲介事業の違い
・「SELLING SUNSET」に学ぶこれからの時代に必要な価値観軸での提案とは?

についてまとめていきます。

「SELLING SUNSET」とは?

SELLING SUNSET(セリングサンセット)は、Netflixで配信されている高額不動産仲介をテーマにしたリアリティテレビシリーズです。

このシリーズは、ロサンゼルスに実在する高級物件専門の不動産仲介会社「オッペンハイム・グループ」を中心に展開され、そこに在籍しているエージェントたちがLAの豪邸を売り捌く様子やアメリカ不動産エージェントの裏話、LAならではの豪華なパーティ、そして美女揃いなエージェント達の私生活やバトルが人気の番組です。

ちなみに、オッペンハイム・グループはLA不動産エージェントのトップ30に入る実績のある会社です。

ハリウッドセレブのオーランド・ブルームやジェニファーロペスなどもこのオッペンハイム不動産で家を購入しているそうです。

2019年にシーズン1が公開され、2022年5月にシーズン5が放送終了しています。

6月23日にはシーズン6、7まで更新されることが発表されたことからも、人気ぶりが伺えます。

ただ、途中からロサンゼルスならではの高級物件を売り捌く様子よりも、エージェント達が夜な夜な繰り出すロサンゼルスならではの豪華なパーティや、バチバチドロドロした私生活がメインになってくるので、その辺りはエンターテイメントとして割り切って見るか、興味ない方はスキップした方がいいかと思います。

とは言え、規格外の豪邸を見るだけでも面白みはありますし、海外の不動産事情を垣間見れる点は業界人として興味をそそれるのでおすすめです。

高級,住宅

作中では480万ドルの住まいが紹介されていました。(※画像はイメージです)

日本円価格で約5億4,000万の豪邸です。

このようなレベルの家ばかりが登場します。

日本とアメリカの不動産仲介事業の違い

まず見ていて面白いなと思ったのは、日本とアメリカの不動産仲介システムの違いが顕著に表れている点です。

日本の場合は大手資本、スタッフ人員数、取り扱い件数、アフターサービスなど、大手中心の事業展開が主流ですが、アメリカの場合はエージェント制という形式をとっています。

つまり、営業パーソンが個人事業主に近い形で不動産仲介会社で働いており、それぞれのユニークなポジションを持って仲介を行っているところが日本との大きな違いです。

エージェントとは、いわば「顧客の代理人」で、売主との間に入って物件探しから価格交渉、契約まで行ってくれるプロフェッショナルです。

日本の仲介事業者の場合は物件紹介屋さんといった感じや、単なる窓口といったサービスが実態ではないでしょうか。

それが海外、特にアメリカの場合はエージェント=パートナーのようなポジションで豊富な知識や人脈を使って物件探しや交渉といった上流部分から引き受けてくれます。

売主から聞いた希望額を検討し、「この金額ならオファーして通りそうです!」ということを購入希望の顧客に連絡し、その金額で納得してもらったらオファーを入れて結果を待つ。

売主が承諾したら契約に進めるといった流れです。

番組を見ていると分かるのですが、非常にパートナー感が強く、契約が決まった瞬間はエージェントも買い手も一緒になって喜んでいる姿が印象的です。

アメリカでのこのエージェントという文化はアーティストやスポーツ選手に関するニュースなどで聞く機会が多いかと思いますが、不動産に関しても同様に一般的なシステムとなっています。

そしてアメリカでは不動産エージェントとはかなりステータスの高い職業です。

日本では不動産取引をするには宅地建物取引士(宅建)という資格が必要ですが、1つの事務所で5人中1人の割合で資格保持者がいればいいのに対して、アメリカでは売買に関わる全員が必ず資格を保持し、また売買する州の免許を持つ必要があります。

基本的なビジネスモデルは売却した物件価格の数%がコミッションという形式で報酬となり、そのコミッションをエージェントとブローカー(代理店会社)で配分するという仕組みです。

握手,ビジネス

SELLING SUNSET内では、コミッションは基本的にどの物件も3%となっていました。

そして3%分の報酬をエージェント(営業パーソン)とブローカー(オッペンハイム社)が7:3の割合で分けるそうです。(エージェントとブローカーとの配分は会社によって異なります)

つまり上記の480万ドルの物件を売ったとすると、

物件価格     :480万ドル
コミッション3%  :14万4,000ドル
エージェント取り分:10万800ドル

日本円換算で、約1,100万円がエージェントの最終的な報酬となります。

家1軒売ることで1,000万円以上の大金を稼ぐことができるというわけです。

あとは、アメリカは新築物件よりも中古物件のマーケットが大きいので、個人の好みやライフスタイルの変化に合わせた提案力や、セレブ達との人脈などといった個人の力が成約を大きく左右する部分という点も面白いです。

「SELLING SUNSET」に学ぶこれからの時代に必要な価値観軸での提案とは?

ただお客様の希望を聞いて、そのデータをパソコンに打ち込み、選択肢を絞って提案するだけでは本当にお客様の好みを把握しているとは言えない時代です。

SELLING SUNSETを見ていると、エージェント1人1人が個人事業主に近い形でプロ意識と責任、独創的なアイデアや人脈を持って働いている姿が印象的です。

例えばオープンハウス(展示会)を開催する際も、個人個人の思惑や嗜好を戦略として自由に表現しているのも特徴的です。

「ロサンゼルスに住んでいる人はみんなハンバーガーとボトックスが好きだから、これをオープンハウスの売り文句にすればたくさん人が来る」といった内容や元女優という人脈を活かした「有名人の私物が買えるチャリティイベント」を開催したりと、日本では考えられないような企画に驚くものもあります。

イベント,食事

シリーズ内で出てくるアイデアをそのままみなさんが日々の営業で実施することはあまりに現実離れしていますが、根本となる「価値観軸での提供」という側面は学びになる部分ではないかと思っています。

彼女たちは、ロサンゼルスという立地やそこに住む人の属性、特徴を理解した上で、どうしたらこの家を求めている人に届けられるかということに基づいて行動しています。

これから求められるのは「お客様の価値観軸」をきちんと把握し、それに基づき条件を紐づけて提案できる営業パーソンです。

国内での視点に戻して例えると、特にコロナ禍以降、居心地のいいおうち時間を過ごすために人気のキーワードである「開放感」という言葉1つをとっても、そこにはお客様の多種多様な価値観が含まれています。

・緑に囲まれた開放感
・吹き抜けがある開放感
・すぐ近くに公園がある開放感
・リビングの延長にバルコニーがある開放感
・目の前に建物がないタワーマンションという開放感

このように、1つのキーワードでもいろんな因数分解ができ、ここをお客様ごとに紐解くことができるかどうかがこれからの営業パーソンにとって非常に重要なスキルセットとなります。

しかし現状、不動産仲介業界にはこの因数分解が苦手な人がかなり多い印象を持ちます。

なぜなら、今までの営業方法がお客様からデータ化できる条件をヒアリングして、それを既存の物件条件に当てはめて提案するというのが当たり前になっているからです。

そうではなく、どれだけ細かく、そして外面的なデータのみの情報でお客様の好みを括るのではなく情緒的な部分まで掘り下げて把握し、提案するよう心がけることが非常に重要です。

アメリカ式のように、一人一人がエージェントのようにプロフェッショナルな心持ちでいることは、これからの不動産仲介業界で求められる人材としての必要不可欠なスタンスだと言えるでしょう。

まとめ

今回の記事では、これからの時代に必要な価値観を軸にしたお客様との関係性の築き方や提案方法について「SELLING SUNSET」をベースにご紹介しました。

・エージェントのようにプロフェッショナルな心持ちでいる
・データで絞れる条件だけの把握や提案をしない
・1つのキーワードからお客様に合わせた因数分解をする
・お客様の価値観と条件を紐づけるための行動や努力を惜しまない

特にこの4つを意識した営業活動を取り入れてみてはいかがでしょうか。

また、別の記事で、アメリカ型よりもう少しコンセプチュアルな部分や文化的要素に重きを置いたヨーロッパ型の不動産事業についてもご紹介しますので、そちらもよければ読んでいただけたら嬉しいです。

\無料配布中/

絶対集客に成功したい不動産会社必見のノウハウ本

Twitterでフォローしよう

売買
賃貸
工務店
集客・マーケ
業界NEWS