管理物件を増やす為に検討すべき3つのこと

「管理物件を増やしたい」

賃貸業界で事業をなさっている業者様であれば、基本的に皆様が思われていることかと思います。

管理事業メインの方はもちろん、客付をメインとしている業者様でも「将来的には」とお考えの方は多いはず。

そこで、この記事では管理物件を増やすために必要な考え方と方法論について、解説をしていきたいと思います。

そもそも管理物件を増やすメリットとは?

客付メインですと売上の大部分を仲介手数料に依存してしまうので、どうしても営業担当の動きや、市況の影響によって、業績に浮き沈みが出てしまいます。

また季節要因も大きく、閑散期の売上げ落ち込みは避けられないものです。

それに対し、管理業務による収入はどうでしょうか。

一戸当たりの売上は大きくはないものの、100戸、1,000戸と積み上げていくことができれば、大きな収入源となっていきます。

何よりも、定期的に決まった金額が手に入る「ストック型」であることが経営視点から見れば非常に大きなメリットとなります。

まさに「塵も積もれば山となる」の実例と言えますね。

また、「引っ越し」は景気の悪化によって増減をしますが、「賃貸物件に住む」という行為は基本的には景気によって大きくブレることはありません。

景気等の外的要因の影響に強いという点も、管理収入の大きな魅力です。

さらに、管理物件を抱えることで、貸主から入居者募集の依頼も受けることができれば、少なくとも元付を行う際の片手分の仲介手数料は確保できることになります。

うまく集客ができれば、両手取引を狙うことも可能でしょう。

とにかく、管理物件の確保は様々な面で「安定的な収入源の確保」を可能にするわけです。

代り映えのしない「管理」では勝てない

一般的に賃貸管理の業務というと、家賃収納やクレーム対応、滞納督促などの入居者対応が筆頭に挙がってくるかと思います。

しかし、こうした入居者対応は、管理会社を名乗る以上「やって当然」のことでしかありません。

どこの管理会社もやっていますので、自社の強みとは言えないものです。

冒頭でも述べたように、多くの賃貸業者は「管理戸数の増加」を渇望しています。

そうした業者がひしめく中、生き残っていくには他社と似たようなことをしていても勝ち残っていくことは難しいでしょう。

そこに何かしらの付加価値を用意しなければ、「安さ」を売りにしている格安業者との競合に勝てないのです。

そして、できれば価格で勝負はすべきではありません。

薄利多売はスケールメリットを活かしてこその戦略です。

各安業者を含め、競合他社に勝つ為には「よくある管理」に「+α」が必要ということです。

「オーナーのパートナーになる」という意識

少し視点の切り替えをしてみましょう。

管理会社の業務にはクレームなどの入居者対応や、故障が出た場合の修理手配など、受け身にならざるを得ない仕事が多く、起きてしまったことへの対処で忙殺されがちです。

しかし、入居者からの騒音クレームに対応し解決ができたとしても、故障してしまった設備を直しても、何か困ったことが起きる前の平和な状況を取り戻せたに過ぎないことがほとんどだと思います。

これらの管理業務を必死にこなしたとしても、基本的には状況が悪化することを防ぐ「現状維持」までが限界であり、将来的な発展に繋がる「前進」はできないことが多いのではないでしょうか。

オーナーから預かった大切な資産を、劣化させずに維持をするのは大切な仕事ではあります。

しかし、管理物件を増やしていくにはオーナーの期待値を超えねばなりません。

現状維持に留まらず前進をしていく動き、つまりは現状に対する「改善提案」が必要であると考えます。

もしあなたがオーナーだった場合、ただ「管理ができます」という業者と、「管理は当然します。さらに改善の提案もします。」という業者、どちらに依頼したくなるでしょうか?

これからはぜひ「オーナーのパートナーとなり、ともに前進していく」という意識を持ちましょう。

「オーナーの為にすべきこと」とは何か?

細かなことを挙げていけばキリがありませんが、大きくは下記2つのいずれかになると思います。

1.オーナーのニーズに応える
2.オーナーのリスクを減らす

「オーナーのニーズ」とはなんでしょうか。

基本的には「なるべく多くの収入を、安定的に得たい」ということになるでしょう。

続いて「オーナーのリスク」ですが、代表的なところでは、

空室、賃料Down、滞納、修繕費、事件・事故・災害などのトラブル

といった項目が挙げられます。

上記を踏まえ、オーナーにとってのメリットがある提案をしていくのです。

提案すべき内容は状況によりますが、例えば「入居率upしましょう」とか、「設備の更新を行い、資産価値の維持・向上を図りましょう」など、様々なパターンが考えられるはずです。

検討1.オーナーへの提案内容

ここからは、オーナーへの提案内容を検討する為の方法論に入りたいと思います、

まずは、改めて自社の管理業務にはどのようなものがあるか全てを洗い出してみましょう。

基本的には、大きく「入居者対応」「建物管理」「保証」の3種に分類できるのではないでしょうか。

・入居者対応
家賃収納・収支報告
トラブル・クレーム対応
退去関連(原状復帰・敷金清算)
更新
入居募集・審査
賃貸借契約
各種書類・帳票の管理

・建物管理
鍵等、備品管理
法定点検
日常清掃・点検
貸主への報告

・保証サービス(=リスク対策)
滞納保証
空室保証
サブリース

こうしてみていくと管理業務には、やはり受動的な業務が比較的多いことがわかります。

しかし、オーナーへのアピールの為に取り組むべきは能動的な活動ですから、この中から能動的にできることを抜き出していきます。

比較的取り組みやすく効果が見込めるものとしては「日常的な清掃・点検+報告」を徹底し、それを根拠とした「改善提案」というのが挙げられます。

そもそも、清掃や点検といったメンテナンスを高いクオリティで徹底できれば「資産性の維持」、「入居率・定着率の向上」を期待できますので、オーナーの満足度向上が見込めます。

そこに対しさらに、細やかな報告を行っていくわけですが、報告の積み重ねは同時にオーナーとの信頼関係の積み重ねでもあります。

何か対処せざるを得ない事態が起きたときにしか報告してこない業者よりも、日ごろから細かく報告をしてくれる業者からの提案のほうが、「あそこの提案はちゃんと聞いておこう」と思うはずなのです。

日頃から信頼関係を築き上げておき、的確なタイミングで自信をもって修繕の提案を行う。

オーナーとしても細々とした出費があることは抵抗を感じられるかもしれませんが、計画的な修繕によって大規模な故障やトラブルを未然に防ぐことで、結果的にトータルコストの削減も実現できれば、それは理想的な管理体制ではないでしょうか?

検討2.保証サービス

続いて空室保証や滞納保証など、各種保証サービスについて検討をしていきます。

保証はオーナーのリスクを低減しますから確実に喜ばれるサービスの1つであり、ぜひ検討すべきものですが、「保証=リスクの肩代わり」である点には注意が必要です。

自社の資金力によっては対応すべきでないこともありますので、取捨選択をしなければなりません。

しかし、どのような場合でも確実にやっておくべきと言えることがあります。

それは、自社が推奨する保証会社の選択です。

保証会社は大手と呼ばれる事業者だけに絞ってもそれなりの数が存在していますので、選ぶだけでも一苦労です。

詳細は別記事に譲りたいと思いますが、ここでは保証会社選びで気を付けたいポイントを列挙しておきます。

・保証内容
いざという時の保証額の上限や、滞納時の立替払いまでの日数などは確認しておくべきでしょう。

・倒産リスクの低さ
過去に上場済の保証会社の倒産事例が存在しますので確認しておくに越したことはありません。

・透明性
倒産リスクの確認にも有用な経営状況の情報は、全てを開示している企業もあれば、非開示とする企業もあります。

・リスク対策
日々回収している家賃の取り扱い方法ですが、自社で預かることもあれば、「信託銀行に預ける」という保全措置も選択可能になっています。仮に倒産してしまった場合、前者であれば未払い家賃の回収は困難を極めますが、後者の場合は基本的に回収可能です(こうした方式は信託スキームと呼ばれます)

・審査力
緩すぎると様々なリスクが高まりますので恐い反面、厳しすぎても成約率に影響が出てしまいます。

・督促力
家賃滞納者への督促は確実に遂行すべきですが、あまりに厳しい督促は事故的に滞納してしまった優良な入居者への悪影響がある可能性もあります。臨機応変な対応力を期待したいところです。

検討3.サブリースの可否

サブリースは資金力からいって「できない」という業者様は多いしですし、できるとしても「やらない」というご判断をされる業者様も多いです。

海外転勤なさるオーナー様のご自宅を、法人に貸し出す場合などは「源泉徴収対策として使うべき」といったレアケースはあるものの、基本的にはあまり強くアピールすることはないとは思います。

しかし、「できない」にしろ「やらない」にしろ、オーナーに対してその理由を明確に説明できるようにだけはしておいたほうが良いでしょう。

例えば、入居率の高さが売りであれば、「弊社は高い入居率を維持しております。空室期間を極力短くするためのノウハウがございますので、ご心配なさらず通常の賃貸募集をお任せください」といったトークができるでしょうし、その方がオーナーの実入りは大きくなりますので双方にメリットがあるはずです。

また、そうした提案をしたうえでも「どうしても」と言われることあれば、その時に判断してもいいかもしれません。

本当に高い入居率を維持できそうであれば、相場から見て手堅い賃料より数%下げ、サブリース契約を結べば基本的に問題はないと考えられます。

まとめ

本記事では管理物件を増やすために検討すべきこと、前提となる考え方を紹介しました。

細かな点を挙げてしまえば検討事項は多岐に渡りますが、根本は共通しています。

資料であろうが対面であろうが、自社の管理は他社とどこが違うか、何が強みであるかを、オーナーに対し明確に発信できることが重要です。

日頃からしっかりと整理しておき、アピールできる機会ができたときにはわかりやすくお伝えください。

本記事が皆様の管理物件数の増加に少しでも寄与できれば幸いです。

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