管理組合の調査も忘れずに!分譲マンションの調査項目を解説します

分譲マンションでは、区分所有法に基づき所有者で構成される管理組合の設立が義務付けられています。

管理組合の設立目的は、マンションを維持・管理すること。

分譲マンションでは、管理組合の管理方法次第で建物の傷み具合や修繕に必要な資金などが異なります。

そこで今回は、分譲マンションにおける管理組合の調査について解説してまいります。

分譲マンションで調査する項目とは

ここでは、分譲マンションで調査する項目について解説します。

分譲マンションという特性上、一般的な土地・建物とは異なる部分がありますので注意して調査しましょう。

管理方法を確認する

分譲マンションでは、マンションの維持・管理のために所有者全員から構成される「管理組合」が存在します。

実際のところ、マンションの管理業務の全部または一部を管理会社に委託しているケースが多くあります。まずは、調査対象の分譲マンションが自主管理を行っているのか、管理会社に委託しているのかといった管理方法を確認するところから始めましょう。

重要事項調査報告書

重要事項調査報告書とは、マンションの管理・修繕などの詳細が記載されたものです。

管理会社に委託しているマンションであれば、有料ですが管理会社に依頼すれば取得することができます。

自主管理の場合は、管理組合の理事長に依頼しましょう。通常、マンションの重要事項調査報告書を基に、不動産売買契約で必要な重要事項説明書の作成を行っています。

重要事項調査報告書には、次のような内容が記載されています。

・管理会社・管理体制について
・管理組合の運営について
・共用部分について
・売買対象となる住戸について(管理費・修繕積立金など)
・修繕積立金の状況について
・修繕工事の履歴・今後の予定
・専有部分の制限について
・アスベスト使用調査結果
・耐震診断
など

重要事項調査報告書を読むことで、マンションの「重要な項目」について理解することができます。

管理規約の内容が改訂されたときには、改訂された内容で重要な部分は重要事項調査報告書にも記載されます。分譲マンションの調査を行う上で、重要事項調査報告書を取得して内容を確認することは必要不可欠であるといえるでしょう。

管理規約

管理規約とは、簡単にいえばマンション内のルールを定めたものです。近年の分譲マンションでは管理規約が定められていることが一般的ですが、築古のマンションの場合は管理規約が定められていないことがあります。

管理規約では、共有部分の範囲や持ち分割合、使用方法、管理組合の運営、会計についてなどが記載されています。

さらに、マンションの使用に関しての詳細が記載される「使用細則」が定められているのが一般的です。使用細則には、ペットの飼育や楽器の演奏、専用部分のリフォーム工事などについて定められています。合わせて確認しておきましょう。

長期修繕計画書

マンションの外壁や共用部分などの修繕工事には、多額の費用と期間を要します。そのため、修繕計画はマンションを知る上で大切な情報です。管理会社に重要事項調査報告書を依頼するときと一緒に長期修繕計画書も取得しておくとよいでしょう。

間取り

念のため、契約前に顧客へ渡した資料の間取りと現況を確認しておくことをオススメします。分譲マンションでは部屋によって間取りが異なることがあります。顧客が内見をして現況を確認していたとしても気付かずに、渡された資料の間取り図を信じて今後の暮らしを考えていることがあるからです。トラブルを防ぐため、資料の間取りと現況が異なっていないか確認しておくとよいでしょう。

設備

売主は、物件に付帯している設備の現況を記す「付帯設備表」を記入しています。付帯設備表には設備の有無や故障の状況が記載されますが、できれば設備の確認は売主に同行してもらい一緒に確認するとよいでしょう。売主の言動だけを信じるのではなく、自分で現地に行って確認することが大切です。

近隣の調査

戸建てと違い、マンションの場合は壁・床・天井を挟んだ隣の住戸に別の世帯が暮らしています。隣人との距離が近いため、戸建てよりも近隣トラブルが発生しやすい環境にあるといえるでしょう。近隣住民に聞き込みをしたり、管理組合に確認したりするなど、近隣の調査を行います。

分譲マンションの調査で特に注意したいポイント

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上記では分譲マンションで調査する項目について解説しましたが、その中でも特に注意したいポイントについてまとめました。分譲マンションの売買を行う場合は、注意して調査を行いましょう。

必ず現地を確認する

物件調査では現地を確認することが基本です。

分譲マンションの場合は、専有部分だけでなく共用部分も確認するようにしましょう。専有部分においては、上記でも解説したように資料の間取りと現況が異なっていないか、設備の有無や故障の有無などを確認しましょう。故障をしていなくても、激しく変色していたり汚れていたりする場合は、売主に付帯設備表へ記入してもらうなど買主に伝わるようにするとよいでしょう。

また、分譲マンションにおいては共用部分についても現地を確認します。

集合ポストや駐輪場などの共用部分は、マンションに住む人の暮らしが表れる場所です。例えば駐輪場に自転車が乱雑に放置されているマンションでは、管理状態があまりよくないように感じられます。現地調査の際には、共用部分も確認しておきましょう。

今後の議題・予定を確認しておく

人手不足や資材不足から、修繕工事の費用が値上がりしています。

当初の修繕計画よりも高額な工事費用が予想され、いざマンションの修繕工事を行おうとしたときに費用が足りなくて修繕ができない可能性が出てくることがあるのです。

このような修繕工事などの事情から、管理費や修繕積立金の値上げが予定されることがあります。値上げの予定があることを伝えなかった場合、後々買主とトラブルになってしまう可能性があります。管理費や修繕積立金の値上げ、大規模修繕の工事予定など、今後の予定を確認しておくことが大切です。

また、管理組合で議題にされていることも確認しておくとよいでしょう。

例えば、「現状はペットの飼育を不可にしているけれど、ペットの飼育を可能にする」という内容が考えられます。現状だけでなく、今後の議題・予定も念のため確認しておきましょう。

リフォームについて

中古マンションの場合、現状のまま購入して自分好みにリフォームをしたいという買主がいるでしょう。しかし、リフォーム工事に関して管理規約などでルールを設けているマンションが多くあります。

例えば、リフォーム工事の〇ヶ月前までに工事内容を管理組合に提示して許可を得る、工事日程は日曜・祝日禁止、サッシの変更不可など。購入後のリフォームを検討している買主の場合、はやめに管理組合の許可を得ないとリフォーム工事が遅れてしまう可能性があるのです。

リフォーム工事に関する内容についても確認しておくとよいでしょう。

分譲マンションの調査では、ほかの調査と同じく役所調査・現地調査といった基本的な調査もしっかりと行うことが大切です。その上で、分譲マンションには戸建てや賃貸マンションなどにはない「管理組合」の調査を忘れずに行ってください。

重要事項調査報告書や管理規約などの書類を取り寄せて、必要な情報を確認しましょう。そして、後々のトラブルを防ぐために、今後の議題・予定も調べておくことをおすすめします。

わかりやすい役所調査マニュアル公開しました

本マニュアルにおいては、調査項目を8つに分類して解説していきます。また、入門編では各項目の大まかな考え方、概要のみを解説します。それぞれの詳細や具体的な調査方法については、実践編で解説をしますので、まずは全体像を何となく掴んで頂ければと思います。

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