レオパレス21の売上・戦略は? 2021-2Q

レオパレス21の成り立ち

株式会社レオパレス21は1973年8月、株式会社ミヤマとして設立します。

不動産仲介業を主としていました。

好調な業績をつづけ1985年には資本金を1億3,200万円にまで増資し、敷金無料の都市型アパート「レオパレス21」事業を開始します。

1987年9月には資本金を27億4,000万円にまで増資、1988年に会員制の入居者組織を発足し会員募集が開始されました。

翌1989年2月資本金44億1,700万円となり株式店頭公開します。

同年社名を「株式会社エムデイアイ」に変更し1991年には、現在地にて本社社屋が完成しました。

1998年には管理戸数が10万戸であったものが、2020年3月末で約57万5千戸余となります。

増加の推移は次のような状況でした。

・2001年 15万戸
・2002年 20万戸
・2004年 25万戸
・2005年 30万戸
・2006年 35万戸
・2007年 40万戸
・2008年 45万戸
・2009年 50万戸
・2010年 55万戸

現在の社名は2000年7月に改称しており、2004年3月に東証第一部に上場変更しました。

「30年一括借上げシステム」をメインのビジネスモデルとし、建築請負(現 開発事業)と賃貸事業のシナジー効果により、2009年には売上7千億円を超える業績をあげましたが、リーマンショックにより建築請負工事を縮小させ、売上は4千億円代の水準にまで低下しました。

2018年3月期には売上5千3百億円まで回復しましたが、2018年4月27日「建築基準法違反」に該当する施工不良が明るみとなり社会問題化し、厳しい経営環境に置かれる状態となっています。

※参考文献
https://www.leopalace21.co.jp/ir/investors/trajectory.html
https://www.leopalace21.co.jp/corporate/history.html
https://www.leopalace21.co.jp/news/2018/0427_2449.html

レオパレス21の全体の売上と利益

直近3期および今期の中間期の売上高と営業利益は以下のとおりです。

レオパレス21,売上

2020期の営業利益はマイナス365億円となり、BSでは純資産合計が15億8,900万円となっていましたが、2021期9月末では営業利益マイナス126億円、BSにおいては171億8,100万円の債務超過となりました。

四半期ごとの売上高および営業利益は、若干の回復傾向がみられますが、経営環境はさらに厳しくなっており深刻な状況と言えるようです。

レオパレス21,売上

レオパレス21,売上

レオパレス21のセグメントごとの売上

セグメントは2020期までは次の4つになります。

1. 賃貸事業
2. 開発事業
3. シルバー事業
4. ホテルリゾート・その他事業

2021期からは開発事業を賃貸事業に含め、ホテルリゾート・その他事業はホテル事業からの撤退を予定しており、その他事業に変更しています。

レオパレス21,売上

メイン事業は賃貸事業(サブリース)であり、アパートの請負事業は、施工不良問題により受注を停止しています。

シルバー事業は稼働率が2020期より改善しており、2021期2Qにおいても順調な推移がみられます。

レオパレス21の短期的な戦略

レオパレス21の短期的な注目点は債務超過となった財務状況ですが、2020年11月2日付けで572億1,500万円の資金調達を行いました。

内訳は以下のとおりです。

1. 第三者割当による新株式発行
2. 新株予約権の発行及び新株予約券付ローン
3. 連結子会社レオパレス・パワーにおける優先株式の発行

ニュースなどで報じられていた、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループ(ソフトバンクグループ傘下)の支援によるものであり、出資者名義は千鳥合同会社、貸付人名義は楓合同会社となっています。

調達した資金のうち、340億3,300万円は施工不備となった界壁等の補修工事費用に充てられる予定であり、資金不足のため縮小していた補修工事の進捗具合が今後は改善され、入居率の改善がどの程度すすむかが最重要ポイントです。

※参考文献
https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2020/pdf/0930_02.pdf

レオパレス21の長期的な戦略

レオパレス21の創業は日本の高度成長の最終期であり、安定成長期に変わる頃でした。

一億総中流時代になり住宅の量的不足は解消され、生活空間の質の向上が叫ばれた時代です。

同社の成長はまさに、このような時代的背景によるものであったと想像できます。

サブリース方式による賃貸事業を地主に勧め、全国にレオパレスを広めていき、建築請負と賃貸事業の相乗効果が生まれるビジネスモデルを完成させました。

しかし人口減社会に突入し空き家が増加する今日の変化は、同社のビジネスモデルに大きな影響を与えたのです。

その結果、表面化したのが「サブリース問題」と「建築基準法違反事件」でした。

サブリース問題は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」制定のきっかけとなり、建築基準法違反は「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」策定のきっかけとなりました。

どちらも同社のビジネスモデルに厳しい規制をかけるもので、マスターリース契約プロセスにおける営業行為の制限と、アパート建築における同社の設計施工体制に法遵守の強化を図るものとなります。

その結果、アパート建築の営業と工事部門を主とした、抜本的な社内体制の再構築が求められるでしょう。

2020期決算説明書においては「賃貸事業における収益力強化」のため、次の長期戦略を掲げていますが、フォートレス・インベストメントGの支援による変化が生じるのか?が注目されます。

1. 賃貸事業強化のため外国籍顧客・シニア層の獲得強化と三大都市圏における管理戸数の増強をする
2. 開発事業は縮小するものの三大都市圏における建替需要に対応する
3. シルバー事業は、オペレーション改善により収益性を高め、高齢者ニーズに対応した賃貸住宅の開発をおこなう

※参考文献
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/annual_report/2020/jp.pdf

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