滞納しやすい入居者を見抜く方法

賃貸住宅の経営には、家賃滞納や空室・災害・金利上昇・家賃下落などさまざまなリスクがあります。その中でも日常的に起こりやすいリスクが家賃滞納! 家賃滞納が続くとオーナーの経営状態に影響し、管理会社としての業務委託契約違反に問われることもあります。

家賃の滞納を防ぐには、きちんと家賃を支払ってくれる人に入居してもらうことが大事。
この記事では、滞納しやすい入居者を見抜く方法について解説します。

家賃滞納の現状について

日本賃貸住宅協会の2019年度上期調査によりますと、翌月初の入居者の滞納率は下表のとおりです。

滞納 入居者 見抜く

2019年は前年と比べて、滞納率は全国では1.8%減少していますが、それでも20人に一人が滞納している計算になります。
出典:公益財団法人 日本賃貸住宅協会 2019年上期データ

家賃滞納の原因はなにか

家賃滞納の理由には、主に次のようなものがあります。

  • 支払うことを忘れていた
    病気やけがで支払いができない
  • 支払うお金がない
  • 部屋に居住していない
  • 支払おうとする気持ちがない

上に挙げた表では、2019年上期の全国の滞納率は5%となっていますが、そのほとんどが一時的に遅れている場合。2ヵ月以上の滞納者は全国で1%日本賃貸住宅協会の同データ)に過ぎません。しかし「居住していない」場合や「支払う気持ちがない」場合には、注意しなければなりません。

家賃滞納はなぜ問題になるのか

次に家賃滞納は、なぜ大きな問題になるのか解説します。

オーナーの経営計画に影響を与える

一般的に賃貸事業をおこなっているオーナーは、金融機関から融資を受けて始めます。
時には借入比率が高く、余裕資金をほとんど保有していないオーナーもいます。

管理会社が家賃滞納への対応を怠っていると、金融機関への返済ができないなど経営状態の悪化につながり、最悪の場合物件を手放さなければならなくなるオーナーもいます。
その点で管理会社の役割はきわめて重大なものなのです。

家賃回収に時間と労力がかかる

滞納があった場合、まずは電話や手紙などで督促をすることになりますが、それでも支払ってくれないときには訪問したり、内容証明郵便を利用しなければならないことになります。

管理会社がおこなう業務の多くは「家賃の督促」であるといわれています。

督促をおこなっても支払いがない場合には、契約の解除や部屋の明け渡し請求訴訟・強制執行をせざるを得ないことになります。弁護士費用や退去のための費用などがかかるうえ、入居者に全く支払い能力がない場合には、全額回収できないこともあり得ます。

家賃を滞納された場合にどう対応したらよいのか

それでは家賃滞納をされた場合に、管理会社がおこなう具体的な方法について説明します。

中見出し 督促すれば払ってくれる場合

翌月初の入居者の滞納率は、5.0%であるということはすでに記述しましたが、翌月末・2カ月以上の滞納率は下表のように大きく減少。

滞納 入居者 見抜く
出典:公益財団法人 日本賃貸住宅 2019年上期データ

これを見ると、支払いを忘れていたあるいは一時的に支払えないなどのケースが多いことが推測できます。このような場合には。毎月の入金状況を把握し滞納者へすみやかに連絡することで、月末までに完済する人が多くなるでしょう。

また振り込みによる支払いをやめ、銀行口座からの引き落としや集金方式にすることも一つの方法。ただし、銀行口座から引き落とすお金がないケースや、集金方式は労力がかかる欠点もあります。

督促しても払ってくれない場合

問題になるのは、督促をしても払ってくれない場合で、初めから払う気がない・継続的にお金がない場合です。このような場合には段階を踏んで督促しなければなりませんが、労力と時間・お金がかかることになります。どうしても支払わない場合には、民事訴訟を起こし強制執行を行うことになりますが、賃借人保護の観点から慎重に行わなければなりません。

督促のステップは次のようになります。

  1. 通常の督促
    電話や手紙・訪問などにより家賃支払いを督促する。
  2. 内容証明郵便での督促
    通常の方法で督促してもだめな場合には、「期限までに支払ってもらえない時には契約を解除する」と書かれた通知書内容証明郵便で送付します。
  3.  法定手続きをとる
    内容証明郵便でも支払いがない場合には次の3つのうちいずれか一つの法的手段をとることになります。・支払い督促
    家賃の支払いを裁判所に申し立て、裁判所から入居者あてに督促通知を送付します。
    心理的な効果を与えるもので、強制力はありません。・少額訴訟
    60万円以下の支払いを求める際の訴訟で、通常の訴訟より費用が掛からず短期間で終わるというメリットがあります。
    支払いの強制力はありますが、明け渡しを請求することはできません。・明け渡し請求訴訟
    家賃の支払いおよび賃貸住宅からの退去を求める民事訴訟。
    少額訴訟と比べると、弁護士に依頼するので費用も手間もかかります。
  4. 強制執行
    訴訟を行い勝訴となった場合には、強制執行の申し立てを行います。

家賃督促で注意すべきこと

次に家賃督促する際に、気を付けなければならないことについて説明しましょう。

借家人は借地借家法により守られていますので、下記のような行き過ぎた督促は違反になり訴訟の際不利になってしまうこともあるので気をつけねばなりません。

  • 連帯保証人以外の人への督促
  • 常識をわきまえない時間帯の督促
  • 賃借人の了解を得ない鍵の交換・荷物の持ち出し
  • 滞納を関係のない人に周知する
  • 関係のない人に督促を依頼

また家賃請求権は、民法169条により5年で時効と定められているので注意が必要。

なお、時効は督促や訴訟を行えば中断できます。

家賃滞納を防ぐ方法

それでは家賃滞納を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。

  • 滞納しそうな入居者を見抜く
  • 家賃保証会社の利用
  • 連帯保証人をつける
  • 敷金を預かる

滞納しそうな入居者を見抜く

家賃滞納を防ぐ一番の方法は、滞納しそうな人を入居させないこと。それは入居審査を厳しく慎重にすることで、家賃滞納はかなり防ぐことは可能です。

滞納しそうな入居者は次にあたるような人たちです。

・家賃に見合った収入がない人

賃貸住宅の家賃の目安は、手取りの約30%とされています。したがって単身者の場合には月収30万円とすると手取りは80%の24万円、その金額の30%が目安となるので7万円以下の家賃であれば収入に合った家賃といえます。
しかし共働きの場合は余裕があるでしょうし、教育費などでお金が掛かるファミリーの場合には、収入と支出のバランスを把握する必要があります。

・定職についていない人

定職についていない人は、収入がないので滞納する可能性は大。しかし現在就職活動中で、預貯金が家賃の24ヵ月分程度あり敷金を3ヵ月程度入れてもらうことを条件に契約しても良い場合もあります。

・連帯保証人がつけられない、または親族以外の連帯保証人

親族の連帯保証人がつけられない場合には、入居を断った方が無難。賃借人が支払い不能になった場合には、連帯保証人に請求できるだけではなく、トラブルが発生したような場合にも対応を依頼できます。

・信頼できそうもない言動の人

態度が横柄な人・やくざっぽい感じの人・あまりにも服装がラフな感じの人などは入居を遠慮した方が良いでしょう。はじめはきちんと家賃を納めていても、そのうち滞納したり近隣の人とトラブルを起こすことも考えられます。

・家賃保証会社の基準を満たしていない人

家賃保証は、入居者が家賃の支払いが不能になった場合に、入居者に代わって支払ってくれるシステム。家賃保証会社の定める基準に年収や滞納歴・職業などが合致していない場合には、入居を断った方が間違いがありません。

家賃保証会社の利用

日本賃貸住宅管理協会の調べによると、2019年の家賃保証会社利用割合は全国で97%にも達しています。

保証料は家賃の0.3ヵ月~1ヵ月程度で、保証会社の補償内容により金額は異なってきます。例えば滞納期間の全額保証し、さらに原状回復費用や鍵の交換代まで出してくれるような場合には料金は高くなることに。

注意しなければならないのは、保証会社の督促はシビアなので入居者とトラブルになることもあります。

連帯保証人をつける

かつては家賃保証というシステムがなかったので、連帯保証人を付けていました。近年は家賃保証会社が中に入るので、連帯保証人を必ずしも付けない場合もあります。しかし入居トラブルは、滞納だけでなくさまざまな問題が起こりうるので、連帯保証人を付けた方が望ましいでしょう。

連帯保証人を付ければ、入居者は迷惑をかけられないという気持ちが働くこともあり、トラブルがあった場合でも比較的スムーズに解決できる場合も。

したがって、契約を結ぶ際に親や親族の保証を取っておいた方が良いのです。

敷金を預かる

敷金は物件を貸す場合に預かる保証金。家賃滞納を考えると、最低家賃の2ヵ月・できれば3ヵ月分の敷金を入れてもらいたいものです。この敷金は入居者が退去する際には原状回復費用として当てられ、残ったお金があれば返還されます。

敷金を預かっておけば、さまざまなトラブルが発生しても対応が可能!
万が一のリスクに備えるためにも、敷金はきちんと取るようにしましょう。

まとめ

賃貸管理業務で家賃滞納は避けて通れないリスク。きちんと家賃を得るためには、入居者の審査を厳しくすることに尽きます。
厳正な審査基準を用意し、審査担当者の教育も必要です。

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