明治神宮への参道の一つである表参道。青山通りや明治通りと交差し、多くの鉄道路線を跨ぐことからかねてより地価の高いこの通りには、高級ブランドの出店が相次ぐ。近年は国内外から多くのブランドが競うように表参道に出店しようと、激しい不動産の争奪戦が行われている。

画像は東洋経済ONLINEより

最近、表参道界隈で最も話題になっている物件はスペイン発の高級ブランドでありパンデミックにおいても売り上げを維持しているロエベだろう。あるいは表参道ヒルズにも期間限定ショップをオープンさせたメゾン マルジェラだろうか。

外国人観光客に人気の土産物店であるオリエンタルバザーも注目を浴びている。現在は一時休業中だが、フランスのラグジュアリーブランドグループ、LVMHがその商用リースを手にしようとしていることも話題となっている。

この激しい不動産争奪戦は、現在サンローランが占めている表参道の一角で8年前に起こった衝撃的な買収劇を思い起こさせる。2013年12月にベネトンジャパンが所有していた172坪の土地を、ケリングの子会社である不動産ファンドのケリングトウキョウインベストメントが170億円という破格の値段で買い取った。つまり坪単価はなんと1億円ということになる。

ケリングがこの異常なまでの高額でベネトンの土地を買収することに疑念的な者は当時も多くいた。しかし、ケリングには先見の明が確かにあった。同社が購入した土地の価値は予測を上回るほどに上昇したのである。土地代データによるば、表参道の1坪あたりの地価(総平均)は2013年の673万578円から、2020年には同2356万5525円と、なんと約3.5倍に跳ね上がっている。

ある不動産市場の有識者によれば、「10以上のファンドが、25%のプレミアムでこの土地を購入する準備がある」と語り、今後これまでを上回る勢いで地価が上昇していきそうだ。表参道はケリングとグッチやサンローラン、ブシュロンなど、すでに表参道に店舗がある傘下のブランドにとってカギとなるエリアだといえる。

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