工務店を取り巻くマーケットは日々移り変わっています。
コロナ禍でカスタマーの検討行動も変化していますし、カスタマーが好む住宅にも変化が訪れています。
そのようなエンドユーザーの状況が激しく移り変わる現代では工務店もマーケティングに力を入れなければ他社との競争に置いていかれてしまうとさえいえるでしょう。
一方でマーケティングが他業界に比べて遅れていると言われる領域ではありますので、マーケティングに力を入れることができれば、それは競合優位性を作り出すチャンスだともいえます。
この記事では、そのような状況下でなぜ工務店がマーケティングに注力しなければならないのかを改めて整理しました。
各社様のマーケティング推進のきっかけの一つになれば嬉しい限りです。
これからは自社でマーケティングを強化する必要がある理由
「なぜ工務店が自社でマーケティングを強化していかないといけないのか」について、以下の2点をもとに解説していきます。
・見込み客1組辺りが来場する社数が激減する傾向であること
新築注文住宅市場が確実に縮小する傾向であること
今後の日本では、世帯数の減少に伴い中長期的な着工棟数は確実に減少すると予測されています。
まず、世帯数の基となる人口の減少でいえば、2010年には約1億2800万人だった日本の人口は、2030年には1億1600万人ほどに減少するといわれているのが現状です。
さらに、その人口の約1/3が65歳以上の高齢になるとさえいわれています。
また、2050年には総人口が1億人を切り、約9,500万人にまで人口が減ると予測されています。
(総務省HP:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd101100.htmlより)
それらの人口減少に伴い世帯数も減少していき、着工棟数も確実に減っていくのがこれから起こるとされていることです。
着工棟数でいえば、野村総研のデータをもとにすると、2019年に約88万戸だったのに対し、2030年には約63万戸、2040年には約41万戸にまで減少するとされています。
(株式会社野村総合研究所企業サイト:https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2020/cc/0609_1より)
なので、今後10年で現在の4分の3まで、さらに今後20年で現在の半分にまで着工棟数が減っていくということになります。
上記のことが意味するのは、単純な「ターゲットの母数の減少」という厳しい現実です。
言い換えると、工務店で家を建てる人の絶対数が減少するので、このまま放っておけば集客数の減少に直面してしまうことは自明のことでしょう。
見込み客1組辺りが来場する社数が激減する傾向であること
2015年から2017年にかけての3年間で見込み客が、カタログを請求する企業数は約1社、営業と接する企業数も約1社ほど減少しているといわれています。
(株式会社リクルート住まいカンパニー注文住宅動向調査:https://www.recruit-sumai.co.jp/data/より)
また、2010年頃は住宅展示場に行けば、多くて7社ほどまわるという見込み客もいるといわれていましたが、現在の市場では大きく異なるのが事実です。
というのも、約3年間でカタログ請求や営業との接触数が約1社減少するならば、約10年ほど経てば見込み客が営業と接する企業数は約1社になってしまうからです。
ただ、あくまで数字上の話で現実にそこまで減少するとは思えないですが、一つの目安として、そもそも市場が小さくなる中で見込み客が各工務店と接する社数が減るということを意味しています。
上記の事が起こる大きな要因の一つとして、見込み客が自分でネットを使って調べられるようになったという特徴があります。
ネットで調べて手に入る情報をわざわざ展示場や工務店に行かずとも入手できるようになった、ということです。
この傾向コロナ禍の中で更に加速するように思います。
そのため、大手ホームメーカーでも総合展示場から撤退することが珍しくなく、それは同時に総合展示場の集客からの契約で採算が合わなくなったということでもあります。
見込み客がネットなどを使ってある程度の目星をつけてから初めて、工務店や総合展示場に来店するという時代になってきています。
そのような自体では、これまで以上に自社でマーケティングを行い見込み客を獲得していかなければならない時代に突入していくと私は考えています。
これからは自社でマーケティングを行う工務店が強い!
今回ご紹介したように、これからの工務店領域では、自社でマーケティングを行う工務店が生き残っていく時代背景に突入していくと思います。
前述した通り、ターゲットとなるお客様の分母の減少や一人あたりが来店する会社が減少していくことが予想できるためです。
つまり、今までの集約方法の延長線上では時間が経つにつれてお会いするお客様が激減してしまう時代がくるということでもあります。
しかし、それは逆に言うと自社でマーケティングに力を入れることにより、他社との競争から一つ抜きん出た存在になることが可能です。
自社でマーケティングに力を入れるためにも、まず自社のリソースや現状を再確認し、変えるべきことは積極的に変えていく必要があるでしょう。
突入するマーケティング競争激化の時代、皆様が圧倒的な成果を挙げられることを心よりお祈りしております。