ハウスコムの全体の売上と利益
直近3期と2021期3Qの営業収益と営業利益は以下のとおりです。
2021期1Qは新型コロナの影響により減少した営業収益でした。2Qでは持ち直したものの、3Qは首都圏および中京圏での転居需要の低下があり、営業利益は△3.56億円の結果となりました。
四半期ごとの実績からも2021期は、ハウスコムの損益分岐点は約29億円と見られます。
4Qに営業収益が集中する傾向が強い同社にとって、1月~3月の3ヶ月間はこれまでになく重要な四半期となりそうです。
ハウスコムのセグメントごとの売上
セグメントは2021期から変更しており、現在は2つのセグメントになっています。
2. 施工関連事業
不動産関連事業に偏っている傾向は否めなく、今後は施工関連事業の成長による「収益源の多様化」が、どこまで加速できるかが注目されるところです。
ハウスコムの短期的な戦略
3Qの落ち込みと2021年1月に再度発出された緊急事態宣言は、1月~3月をピークとする同社の事業特性に影響を与えます。
2021年1月28日付けの第3四半期決算発表と同時に「2021年3月期の連結業績予想及び配当予想の修正に関するお知らせ」も発表され、2021年3月期業績予想を修正しました。
・営業利益は70.4%マイナスの3億4,400万円
また配当予想は未定とも発表されました。
業績予想にもとづき4Qに期待される業績は次のようになります。
・営業利益7億円
緊急事態宣言の解除が予定の2月7日から延長され、感染状況に低下傾向が見えるものの3月中の業績回復はむずかしく、3月決算の結果が大きく注目されます。
ただし後述するように、3月1日付けで大阪の「宅都」23店舗が増加する予定であり、営業収益が大きく伸び目標達成が期待できる一面もあります。
※参考文献
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32750/e8aa833b/f370/41eb/bb8e/3a34ae481b52/140120210128450503.pdf
ハウスコムの長期的な戦略
長期的戦略として2022年3月期までに208店舗達成を掲げていましたが、2021期3Qまでに4店舗新規開店と、2021年3月には大阪を中心とした不動産賃貸業者「宅都ホールディングス」の子会社「株式会社宅都」の株式を取得し、23店舗の増加が決定しました。
これによりハウスコム店舗は211店舗となり、2022期の目標を達成することになります。
2022期からは中期経営計画の重点施策として、以下の施策の実行加速を図ろうとしています。
2. 規模の拡大(出店、M&A)
3. 収益源の多様化
4. 成長を支える組織・仕組みの充実
※参考文献
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/32750/29800482/bbf1/4144/a300/1145b0796374/140120210128450412.pdf
https://www.takuto-holdings.com/company/release/2020/12/post-42.html
ハウスコムの最近のトピックス
収益源の多様化として2020年10月、同社としては初めての売買部門を設立しました。
営業店舗は「川崎センター」と呼称し、神奈川県川崎市川崎区駅前本町11-1パシフィックマークス川崎5Fに設けました。
JR川崎駅、京急川崎駅から徒歩1~2分と至近距離にあり、賃貸の「川崎駅前店」と同一になるようです。
商圏を広めに想定すると、川崎市、横浜市北部、大田区、品川区、目黒区、世田谷区まで考えられますが、川崎市内に絞っても大手仲介店舗網は以下のとおりであり、競争は激しいことが予想されます。
・三井不動産リアルティ:7店舗
・東急リバブル:6店舗
・センチュリー21:11店舗
このなかで新しい事業セグメントを形成できるかどうか、注目したいところです。
また2021年1月には、外国籍の入居希望者を専門とした店舗「OUCHI.com 新宿」を開設し、日本語、英語、中国語、ドイツ語、フランス語の5か国語に対応したサービスを展開することとしました。
外国人居住を敬遠するオーナーに対しては、ハウスコムが賃貸人となるサブリース方式を提案する方法も用意しているといいます。
また全国の各店舗に対してオンラインにより、外国人客に対するサポートをする予定です。
※参考文献
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000100.000029713.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000029713.html