カチタスの全体の売上と利益
直近3期と2021期3Qの売上高と営業利益は以下のとおりです。
3Qにおける進捗率を前年比でみると、売上高83%超、営業利益89%超と順調な業績といえます。
四半期ごとの前年比では、売上高・営業利益ともコロナ禍の影響により1Q21はマイナスとなりましたが、2Qには復調し3Qは前年の消費増税の影響から大きく伸ばしました。
カチタスのセグメントごとの売上
カチタスは買取再販事業を専業としており事業セグメントはありません。
事業セクションとしては、地方都市主体のカチタスと主要都市圏主体のリプラスに分かれます。
セクション内訳は通期決算期のみ公表されますので割愛いたします。
カチタスの短期的な戦略
前回リポート(2021-2Q)でも触れたように、4Qに入ってから緊急事態宣言が再発令され、その影響が懸念されます。
しかし、すでに進捗率からみて今期計画は達成できる見込みであり、4Qは2022期のための在庫確保を目的とした、仕入れに注力する営業活動とする方針です。
また仕入促進のプロモーションは地方が主体となり、経費の増加も大きくなく営業利益確保も見込まれると考えられます。
カチタスの長期的な戦略
本リポートでは長期戦略として、過去に遡り現在もつづいている “方針” に着目してみます。
それは物件の仕入れ方法です。
2013期から仕入方法を競売から買取りへシフトチェンジし、粗利益を安定化させたことにより順調な成長を遂げることができました。
シフトチェンジ戦略は2019年3月期の決算報告説明書に記載されていますが、経営戦略上のポイントを上げると以下のとおりです。
2. 競売は落札から物件の引渡しまで時間がかかり在庫期間が長くなる
3. 競売は落札前の調査ができず住宅品質のリスクが大きい
競売は優れた営業力がなくとも入札価格次第で簡単に仕入れが可能、対して買取りは所有者との人間関係形成や、合意に至る買取価格の提示方法など未熟な担当者ではこなせない業務です。
社員教育にも相当な時間や費用もかかり、競売による物件仕入がメインであったことは頷けることです。
一方買取りによる物件仕入は、事前の調査を入念にでき再販価格から逆算した買取価格の算出が可能になります。
そのため粗利益が仕入時から把握でき、合理的な事業計画の遂行ができ大きなメリットとなるのです。
2013期には8割近い競売物件の比率であったものが、現在は1%にも満たない割合に低下しました。
下図は2013期から2019期までの、買取りと競売の粗利益と仕入割合をグラフにしたものですが、買取物件は安定しているのに対し、競売物件の粗利益には大きなバラツキが目立ちます。
仕入方法の変更により、2014期から2015期にかけて買取と競売の比率が逆転し、2019期は99.2%が買取物件となり、利益の安定化が図られたといえるのです。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8919/ir_material_for_fiscal_ym2/64432/00.pdf
カチタスの最近のトピックス
全国どこでも定額で住める「サブスクリプション型住宅」が広まっています。
他拠点居住サービスを展開するサイト「ADDress」を運営する株式会社アドレスは、100拠点目となる茨城県大洗町の「大洗A邸」をプレスリリースで発表しました(2020年12月)。
「大洗A邸」はカチタスの保有物件であり、リモートワークも可能にしたフルリフォーム物件となっています。
ADDressとカチタスとの提携は2019年2月には既に開始されており、住宅提供は他に「R不動産」も参画しています。
カチタスが賃貸物件を提供する事業的な意義について、公表されたものは発見できませんが、空き家問題の解決を事業目標とする同社のコンセプトが示されていると言えそうです。
*参考文献
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000040352.html
https://livhub.jp/news/address-20190218.html