2021年卒組の社会人生活が4月からスタートしています。
私の土俵である住宅メーカーにも、もちろん多くの新卒社員が入ってきました。
この時期は新卒教育を必ず受けるのですが、今年は2社から依頼がありました。
1社は非常に小規模な工務店ですが1人の大卒営業を採用。
もう1社は非常に大きな規模の会社で〇〇人の大卒者を採用。
この両極端の会社の新卒教育を5月6月と行っていきます。
今年はもちろんですが、これまでの経験で様々な新卒者を見てきましたが、実にいろいろというか呆れることも多かったので、今回のコラムではこの新卒にスポットを当てて話を進めていきましょう。
唖然とするほど世の中のニュースを知らない若者
東京・池袋で高齢ドライバーの車が暴走し、母親と幼い娘が死亡した事故から19日で2年になります。
遺族が事故現場を訪れ、改めて交通安全を訴えました。
おととし4月19日、東京・池袋で車が暴走し、歩行者などを次々にはねて自転車に乗っていた・・・
これは2021年4月にNHKが発信したWEB記事の冒頭部分ですが、これだけ読めば「あの事故は何とも後味が悪い悲惨な事故だったよな・・・」とすぐにわかるはずです。
池袋の事故直後に行った新入社員研修で信じられないことが
この事故が発生したのは2019年4月19日。
この8日後にある会社の新入社員研修を行いました。
1日だけの集合研修でしたのでいろいろとやったのですが、午後一番のロールプレイングでその事件は起きました。
これはお客さんと雑談を交わすことを目的とした【雑談ロープレ】です。
新卒A君「・・・何の事故でしょうか?」
私 「あの池袋の事故ですよ」
新卒A君「ごめんなさい・・・知りません」
ここでロープレを止めました。
驚きではありませんか?2年経った今でも皆が覚えている事故です。
上級国民なる言葉も出てきましたし、車を運転していた高齢者が「安全な車を作らないメーカーに責任がある」などの言動などたびたび物議をかもしています。
しかも、このときは事故から8日しか経っていない状況で、あの事故を知らない日本人を見つける方が難しいという状態。
ということは、ほかのニュースや常識などはさらに知っている可能性が低いということです。
ロシアの首都は?
答えを先に言いましょう。
このA君は「パリ」と答えたのです。
もう一度書きますよ。
ロシアの首都はパリ。
地理が得意とか不得意とかの問題ではありません。
ちなみにA君の出身大学は有名大学ではないものの、決してF欄ではありません。それなりの大学です。
このほかの質問もどんどん投げかけたのですが、とにかく物を知らないことに驚愕。
これではお客さんとの幅広い雑談を望むべくありません。
B君も世の中の動きを知らない一人
B君は現在入社2年目の24歳。
そろそろ売ってもらわなくては困るのですが、この彼も世の中の出来事に疎い典型的な若者。
毎月訪問しているこの会社では、B君が新幹線の駅まで迎えに来てくれます。
そこから20分ほどで会社につくので車内では取り留めのない会話をすることに。
その車内でB君はテレビをつけているのですが、お昼の時間帯では必ず某ワイドショーが流れています。
午後のワイドショーは4番組がしのぎを削っているのですが、B君が車内で見ているのはもっとも芸能性が強い番組。
もちろんこれが悪いとは言いませんが、もし社会ネタに強いワイドショーを見ていれば、いやおうなしに世界の動向を含めて情報を入手できるはずです。
お笑い芸人が大声で笑い転げている番組だけを見ていたら、いつまでたっても情報過疎からは脱却できませんね。
優秀新人C君は案の定トップ営業マンに
もう10年くらい前になりますが、新卒者20人程度を担当して新卒者研修を行ったことがあります。
20人のうち10年後に残っているのは15人程度なのですが、研修時に印象に最も残ったC君がトップ営業になっていたことをごく最近耳にしました。
C君で覚えているのはロープレ。
細かい内容を文章で伝えるのは難しいのですが、とにかく20人の中で明らかに秀でたものだった記憶があります。
また、展示場接客後のお礼状書くようにとすべての営業マンに教えました。
さすがに全員が私の指示したように、現場配属から実行してくれたようなのですが、研修終了後6か月経過したところで各営業マンが実際に書いたお礼状の手紙事例を束でどさっともらったのです。
その一つ一つに目を通していったのですが。
C君の手紙が明らかに秀逸極まるもの。
達筆だったこともあるかもしれませんが、きれいなタッチで書かれた手紙はなかなかのもの。
ほかの営業マンはごくごく一般的なお礼状ばかり。
文頭には「お世話になります」から始まり、問題はないもののあまりにつまらない文章ばかり。
C君は違いました。
たしかこんな内容の文章が書き連ねてありました。そして
と続けてあるのです。
他営業マンのテンプレのようなお礼状とは違い、ひと工夫も二工夫もありました。
研修をやるのも大変な時代に
新卒研修とは話が少しそれますが、研修をやるのも大変な時代になりました。
私が積水ハウスに入社したころの研修は必ず休日開催。
こういう理屈で来るわけです(笑)私ですか?もちろん内心は不平不満だらけです。
ただ、サラリーマンでもあるし時代背景もあるので「こんなもんかな」とあきらめていました。
「24時間働けますか?」とのCMが世の中を席巻し、そのCMソングが流行した世相です。
旧知の社長も「休日に研修なんてしたら新卒が辞めちゃうよ」
1,000人を超える従業員を抱える住宅会社の社長と昨年末にZOOMで研修の打ち合わせをした時のことです。
社 長「あのね、研修はやらないといけないと思っているんだけど、日程が難しいんだよ。働き方改革で研修を休日にやるなんてもってのほかだから、時間がなかなか捻出できないの。そんなことしたら新卒が皆辞めちゃうよ」
この会社も以前は当たり前のように研修は休日をつぶしてやっていましたが、時代は大きく変化したということでしょう。
新卒には具体的に理論的に教える
20年前と今との新卒研修を比較すると、昔のような根性型研修というか精神論的な内容で覆いつくされた新卒研修は随分と減った気がします。
精神論研修を否定しているのではありません。
社会は理不尽の塊ですから、理不尽な研修もありです
ただし、若い人達にはその要素を含んだ研修だけではだめ。
具体的で理論的な話で教えてないとついてこられません。
5月に新卒者研修をすると書きましたが、この2日間をかけて大量のテキストを仕上げました。
テキストを仕上げるにあたっては、この会社が出店している住宅展示場に出向いてすべてを撮影。
「玄関で〇〇を見ながら△△と言ってみよう。なぜ△△というかという理由は・・・」と進行させる予定です。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。