街角モデルハウスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
期間限定の住宅展示場と言い換えてもいいでしょう。
街中に十区画の分譲地があったとしましょう。
その中の一区画に建売住宅を建て、しばらくの間、住宅展示場として使ったり、もしくは通常の請負契約で一戸建てを建てた後、半年間程度その会社の住宅展示場として使わせてもらったりするケースです。
いずれにしても、しばらくの間モデルハウスとして使用して、お客さんを接客するのに使います。
そして、半年程度経ったら、建売住宅として売却するのです。
小規模工務店にとっての最高の武器
モデルハウスがあるのと無いのとでは大違い
私は積水ハウス出身ですので、住宅展示場がある事が当たり前のようにして育ってきました。
もちろん、展示場でボーっと待っているだけで、わんさかお客さんが来ることはありませんでした。
来場が非常に少ない展示場もありますし、閑散期となると土日であってもほとんどお客さんが来ないようなことも頻繁にありました。
また、住宅展示場を構えていても、現場見学会など頻繁に開いて新規のお客さんを呼び込んだものです。
しかしながら、常設の住宅展示場、つまりモデルハウスがある事は営業にとって極めて有利であることは間違いないのです。
単純に考えてほしいのですが、モデルハウスがあれば、極端な話として宣伝を全くしなくても毎月お客さんが数組くる可能性が高いのです。
特に今はホームページやインスタグラムtwitterなどのSNSで、宣伝を無料でできる時代になりました。
こう考えると、モデルハウスの威力がいかに大きいかがわかってもらえるはずです。
自社のアピールを簡単にできるのがモデルハウス
例えば、断熱性にすぐれた住宅をあなたの会社が得意にしているとしましょう。
この場合、街角モデルハウスがあれば、お客さんに対して視覚的に訴えることができますし、その断熱性を体感してもらうことも可能です。
ところが、これを口頭で説明したり、あるいはカタログだけで説明するのはなかなか難しいものがあります。
大手ハウスメーカーなど知名度が高い住宅会社であれば、モデルハウスがなくてもその部分をカバーできるかもしれませんが、小規模工務店では難しいと私は考えます。
あなたの工務店でも 街角モデルハウスは簡単にできます
①お施主さんに交渉して街角モデルハウスとして運用するケース
街角モデルハウスを運用する場合は、基本的に二つのパターンがあるとお話ししました。
その一つが、通常の建築請負契約をして家を建てるお客さんのお宅を、一定期間だけ借りることです。
ただし、滅多にないケースですし、お客さんの了解を得るのは相当難しいと言えます。
例えば3月31日に引き渡しできる物件があるとしましょう。
しかし、このお施主さんにお願いして、引き渡しを8月末日まで待って欲しいと頼むのです。
相当な無理を言うわけですから、お施主さんからの絶大な信頼があるのと同時に、それなりの値引きをするのが当然でしょう 。
また、大きな信頼があり、なおかつ大幅な値引きを提供したとしても、お施主さんがそんなに待つことができるケースは稀だと思います。
しかし、中にはこの条件を飲んでくれるケースもあるでしょう。
ですから、ダメ元で頼んでみるのは一考の余地があります 。
②お客さんが付かないうちに街角モデルハウスとして運用するケース
こちらが一般的なケースです 。
あなたの会社が住宅地として適するような土地を見つけたとします。
首尾よくその土地を買うことができたと仮定すると、二つの選択肢が発生します。
一つは建築条件をつけてすぐに売却にかかること。
土地の場所が良ければ良いほどすぐに客がつき、建築条件付ですから建物も請負契約ができます。
これはこれでいいわけですが、会社の資金繰りに余裕があるのであれば、この土地に家を建て半年程度でいいので街角モデルハウスとして運用するのです。
そして、半年経った段階で、建売住宅として売却活動に入れば問題ありません。
もちろん、新築してからしばらく時間が経っているので、価格は少し落とすことになるかと思います。
しかし、街角モデルハウスとして運用し、新規のお客さんを得てそれが契約に結びついたのであれば、本来は100の利益であったところが500にも1,000にも化けることになるのです。
結論として街角モデルハウスは効果があるの?
効果はあります
当然こうなります(笑)
維持経費などを一切考えなければマイナスに働くことはありえないでしょう。
もちろん、あなたの会社が資金的に耐えられることが最低条件にはなります。
もし、半年間ぐらい街角モデルハウスを維持できるだけの余力があるならば、積極的に投資をしてチャレンジするべきでしょう。
理由は前述しましたが、土地建物を売却すれば、25%~30%の利益が会社に入ります。
これはとても大きな魅力がありますし、会社の資金繰を考えれば、この考え方を否定することはできません。
しかし、この半年間に得られる新規のお客さんの情報、商談中のお客さんのランクアップ、さらには街角モデルハウス自体が会社の大きな宣伝媒体となり、知名度アップに貢献してくれるのです。
こんなこともありました
名古屋市での話をしましょう。
従業員が十人に満たない工務店の話です。
資金繰りが楽な会社ではありませんでしたが、私のアドバイスに乗ってくれた社長が土地を購入して、その上に自社の建物を建築しました。
そして、十か月にわたり街角モデルハウスとして運用したのです。
この間には展示場イベント等も頻繁に行い、新規客の名簿を十ヶ月間で80件ほど獲得できました。
しかも、この80件の内15件は、お客さんから勝手にアプローチしてきたものです。
工務店が営業を仕掛けたわけではありませんし、イベントで来場したわけでもありません。
街角モデルハウスを見かけた方が、十カ月の間に15人も現れたのです。
そして、この15人のうち三件が契約に至りました。
いかがでしょうか。
従業員が十人に満たない工務店が、集客に関しては何の努力もせずに三件の契約を取れたのです。
もちろん、イベントやそのほかの活動において残りの65件の名簿の中からも、十件以上の契約をしています。
最後には、新規受注を取りすぎてしまい、完全なキャパオーバーになってしまったのです。
「そろそろ売却しようか?」
このタイミングで 街角モデルハウスを売却する決断をしました。
そして、この売却キャンペーンをイベント形式で行い、更なる集客を促したのです。
そして、このモデルハウスを売却したことでさらに利益が出ました。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。