「社員大工を抱えるのが理想だけどね・・・」社員大工のメリットは?

工務店経営には2種類が存在します。

専属大工を抱えているか、抱えていないかの2つ。

メリットとデメリットが存在しますが、今日のコラムはこのテーマについてお話をしていきましょう。

この話はお客さんから見た場合と経営者から見た場合とでは、いろいろと意味合いが違ってきます。

「弊社は社内大工です」と言えば、なんだかよくわからないのだけども「ふーん、きっといいことなのだろう」と感じてもらうことが多く、営業的なメリットがあります

その逆に経営の視点から見ると、給料の支払いリスクが発生するという問題点も起こるわけです。

「弊社は自社大工です」 が営業的にどの程度通用するのか?

世の中の工務店には大工を全て丸抱え、つまり自社大工を看板にして活動しているケースが少なからずあります。

この場合お客さんに対しては、このことをアピールするわけですが、しっかり説明しないとその効果は半減します。

社長「うちの工務店はみんな自社大工なんですよ。なかなかこうはいかないんですけどね。これは弊社が自信を持ってお勧めするポイントの一つです」
客 「 あ・・・ そうなんですか」

これで会話は終了。

我々の世界では大工を全て社内大工で賄うことは、大きなアピールポイントであり、また内心ほかの工務店ではこうはいかないだろうとの自負があります。

しかし、一般の方にとっては、このことがどれほど重要なのか、あるいは意味があるのかは分からないのです。

ツイッター上でたまに見られる呟き

ツイッターを皆さんやられますか?

家をこれから建てようと考えている一般の方が、ツイッターで家専用のアカウントを持ち、日本中の人と意見交換をしたり、家づくりで疑問を感じたことについて呟いているのです。

私もツイッターは多用しているのでこの辺の事情を熟知しているのですが、ある建築希望者のツイッターの中にこのようなものがありました。

今折衝している工務店の話。

社長が「うちは全部自社大工なんですよ!」と自信満々に話していたんだけど、これの何がすごいのか全然私にはわからない(笑)どういうこと?

この方のツイッターを精査すると、どうやら秋田県で家を建てる方らしいということは分かりました。

つまり、秋田県内のある地場工務店の社長が、お抱え大工について自信満々にお客さんに話したものの、まったく効果がなかったことを意味しています。

ツイッターの文章はこれで終わっていましたので、この後どうなったのか私にはわかりません。

しかし、これと似たようなニュアンスの呟きにはちょくちょく目にします。

私と直接やり取りをしたある方もそうでしたが、私に対して「自社大工さんって何がそんなにすごいのか教えてください」とストレートに聞いてきたのです。

自社大工というのはなかなかないということを説明する

これが大事です。

自社大工制度というのがなかなか大変で、あまりないということをお客さんにしっかり説明してください。

①会社のことをよく分かった大工が施工する

自社大工を抱えていないと、工事があるごとにいろいろと知り合いの大工に声をかけて人数を集めることになります。

これがよくないとは言いませんが、やはり会社員としてそこの会社に雇用されている大工さんであれば、大工さん自身も社長のことをよく知っていますし、その会社の特徴や得意な部分あるいはデザインについても熟知していることでしょう。

これはお施主さんにとっても、安心できる大きな材料となります。

②大工に対して社長が責任を持っている

自社大工でなければ社長に責任感がないということはありません。

ここを断ったうえの話ですが、もし、私が工務店を経営していてすべての大工さんが自社の社員であるとしましょう。

そうすれば、普段から目も届きますし、指導もしっかりできます。

また何か問題があった時に「あの大工はよく知らないんだよね」という言い訳もできません。

このような説明をお客さんにすることができるでしょう。

③大工自身もプライドを持って仕事をする

大工自身の話になりますが、会社に専属している大工はその会社に対してプライドを持っているでしょうし、社長の顔に泥を塗りたくないという気持ちも強いと考えられますから、より一層「ちゃんと仕事をしなければ」との気持ちが強くなるのも当然だと思います。

④自社大工だと育ててやろうという強い気持ちが芽生える

自社大工を抱えていれば、社長として「彼らを育ててやろう」「 少しでもいい腕の良い大工にしてやりたい」と考えるのが自然です。

当たり前の話ですが、自社大工に対しては社長の愛情や熱量はが違ってくるのが当然ではないでしょうか。

誤解がないように申し添えておきますが、自社大工でなければ上記の①、②、③、④が欠けているというわけではありません。

ただ、あなたの工務店が自社大工を抱えているのであれば、営業トークとしてこのようにお客さんに説明できると私は言いたいのです。

デメリットももちろんある

もちろん問題点はあるでしょう。

①経費がかさむ

好景気時代で新築受注がどんどん取れる状況であれば問題はありません。

仕事がどんどん来ますので、社内大工の手が空くことはありませんし、給料も問題なく支払うことができます。

しかし、新築受注が減ってくると、場合によっては大工の手が空く可能性もあります。

しかし、手が空いているからといって経理作業をしてもらうわけにもいきません。

ある工務店であった実話です。

新規受注がある時急激に落ち込んだために、社長は社内大工の解雇も考えたのですが、何とか踏ん張ってそれを回避しました。

しかし、大工の手は空いていますので、彼らには会社の掃除や庭の草むしりなどをやってもらったり、急場しのぎで考えついた「便利屋の現場対応員」としても動いてもらったそうです。

収益にはならなかったのですが、便利屋はお客さんに大好評だったようです。

なんといっても本職は大工ですから、現場に行けばちょっとした営繕作業などはいとも簡単にこなすわけです。

②そもそも大工を採用できない

日本全国の工務店が抱える問題です。

※出典:大工の学校
これは大分市内の大工に関する年齢別分布数を表したデータです。

大分市という限られた地域のデータですが、日本全国どこへ行ってもこの分布はさほど変わらないと思います。

大工の平均年齢が55歳以上であることが一目瞭然でしょう。

特に20歳以下の大工はほぼ壊滅状態。

25歳以下に絞っても状況は変わりません。

これからわかるように、資金的余裕がある工務店であっても、大工そのものを集めること自体が困難なのです。
いくら自社で大工養成をしようと思っても、これではどうしようもありません。

大工養成に動く建材会社もある

中部地方に本社を置く建材会社があります。

売上高200億円を越える極めて大きな優良企業ですが、こちらの会社では新卒社員として大工候補生を採用しています。

世の中の大工不足を少しでも解消しようと社長の肝いりで始めた業務です。

しかも、その技術やキャリアによって等級をつけ、客観的にその大工の力が分かるようなシステムも導入しました。

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今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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