総合住宅展示場で目に付く展示場前の呼び込みは効果があるのか?

住宅総合展示場に行くと場所によってはちょっと異様な光景に出くわすことがあります。

例えば横浜にある日本最大の住宅展示場。

ここには40数棟という、とんでもない数の住宅展示場が建っています。
これだけたくさんあると、各住宅会社は、自分の会社の玄関にどうやって入ってもらうかに四苦八苦するわけです。

お客さんからすれば、見学できてもせいぜい十社がいいところでしょう。

しかも、10社というのは駆け足で見学した場合の話です。
それなりにじっくり話を聞こうと思えば、3社もしくは4社が限界でしょう。

本気で話を聞こうと思えば、1社につき90分から120分はかかりますので、これを5社も6社もやるのは事実上不可能です。

先ほどの横浜の住宅展示場は40数棟もあるわけですから、ほっておいたらお客さんはなかなか自社を見学してくれないわけです。

こうした事情から、積極的に呼び込もうということで、声をかけると言う作戦が生まれました。

福岡県の住宅展示場でこんな経験を私はしました

政令指定都市でもある福岡県の北九州市。

その昔は八幡製鉄所のおかげもあり、ものすごく活気があって栄えていた町です。
残念ながら近年は人口も減り、2年前にはとうとう100万人を切ってしまったというニュースもありました。

この北九州市には総合展示場が二つ存在します。

二つともそんなに大きくはない総合住宅展示場なのですが、展示場前の呼び込みをやる会社は徹底的にやっています。

たまたまRKB小倉北展示場に用があり、レンタカーで駐車場に乗りつけました。

歌舞伎町のキャッチのお姉さんかと

面白おかしく言っているのではありません。

歌舞伎町を筆頭に、全国の繁華街では黒服のお兄さんたちや、夜の蝶であるお姉さん達が警察の目を盗んではさかんに道行くお兄さんたちに声をかけていますよね。

この時はまさにそんな感じだったのです。

ただ全ての会社がというわけでありません。
ある会社とさせていただきますが、この会社の展示場の前にいた女性が半端なく強力な呼び込みをするのです。

「お兄さん!こない?」

さすがにこんな言い方はしません(笑)
しかし、こちらが辟易するほどのしつこい声かけだったのです。

女性「気に入った住宅メーカーは見つかりましたか?」
私 「いやブラブラと見ているだけなんで」
女性「それなら是非こちらもご覧ください」
私 「そうですね・・・色々見てから・・・また」
女性「今キャンペーンやっておりましてアンケートにご記入いただくだけで抽選ができます」
私 「とりあえずまた来ます」
女性「そういう方は絶対に来ないんですよ。うちを見ないと必ず後悔しますよ。だから今見学しましょう!」

「そういう方は絶対に来ないんですよ」
ここまで突っ込んで来るのは初めてでした(笑)

私は私服を着ていたので、彼女は私をお客さんだと思って接していた訳です。

集客に各メーカーが必死なのはわかっていますので、彼女の行動は理解できるのですが、一般のお客さんがあれをやられたらさすがに引いてしまうのではないかと感じました。

腕を引っ張って中に連れ込むようなことはもちろんありませんが、私の行く手を遮るように、体を若干かぶせ気味にきたときにはさすがに驚きましたが。

呼び込みの効果はあるのだろうか?

呼び込みと一般的にいうと、繁華街を思い浮かべます。
居酒屋、キャバクラ、風俗などにはじまり、アメ横で見られるような昼のお店でも客引きは行われています。

一般的には客引きは効果がある

結論としては効果があります。

夜の街もそうです。
酔客がメインのターゲットとはいえ、声をかけるから利益につながるのです。

アメ横も同じ。

声をかけて気を引くことからスタートさせ、それが利益となるわけです。

私の知人に居酒屋経営の男がいるのですが、利益がなかなか上がらなくて困っている時に専門の呼び込み業者を使ったそうです。

このやり方は一部では問題になっているのですが、その時は売上が30%増しになったとのこと。
今回の住宅展示場の呼び込みとは違いますが、やはり声をかけるということが一定の効果を発揮するのは間違いないでしょう。

呼び込みをする前と後との実際のデータをご紹介します

大手ハウスメーカーではありませんが、総合住宅展示場に出店している有力工務店があります。

この会社では周囲のメーカーの一部が展示場の外で呼び込みをする姿を見て、初めはそれに追随しないという方針をとっていました。

しかし、集客が落ち込むに連れて、別に違法な行為をやってるわけではないし、お客さんに嫌悪感を与えるような呼び込みをしなければ問題がないという判断で、呼び込み専門の派遣の女性社員を雇ってスタートしました。

集客数が明らかに増加

コロナ前の話ですのでデータとしては5年前になりますが、 展示場に来た新規来場者数の数字をそのまま書いてみます。

2017年4月 5月 6月
呼び込み前 14組 21組 11組
2018年4月 5月 6月
呼び込み後 27組 29組 30組

もちろん断定はできません。

しかしこの数字を見る限りでは、呼び込みをしたことによって展示場に多くのお客さんが来たことは事実です。
そして、問題の契約数ですが、3ヶ月間のトータルでは2017年と比較して2018年は123%アップになりました。

結果論かもしれません。1年違うと市況も変わりますし、私たちが気づいてない他の要因があったかもしれません。

でも、このデータを見る限りでは、積極的に呼び込みを行ったことが来場者の増加につながり、新規契約数も伸びたとしか言いようがないのです。

もう少し内容を細かく見てみましょう

契約数が増えたのは声がけした分が寄与したと推測できますので、声がけしたお客さんがどのような内容だったかということを、話さなくてはいけないでしょう。

3ヶ月間トータルで声掛けによって展示場に入ったと認められるお客さんは全部で28組でした。

この28組の中ですでに家を建ててしまった、あるいは全くやる気がないと認められるお客さんは全部で10組いました。

ところが、残る18組の中で、かなりいいと思われるお客さんが、なんと10組いたのです。

残りの8組はその中間ということになりますが、かなりいいと思われるお客さんを10組も集客できたのは、ものすごい成果だと思いませんか?

この10組のお客さんに声かけをしなかったと仮定すると、ほぼ100%に近い形が展示場には入らなかったと思います。

そして半年後にもう一度数字を見たのですが、この10組の中で3組が契約に至ったのです。

まとめ

個人的には展示場の外でテントを張って声をかけるというのは好きではありません。

住宅という数千万もする商品を扱っているのに、声をかけて売ろうとすることに、私はなんとも違和感があります。

グッチでもプラダでもイブサンローランでもいいのですが、銀座にあるこれらのショップの玄関で呼び込みをしているでしょうか。
そんなことは絶対にないですよね。

しかし、複数が競合する住宅総合展示場においては、展示場の前にテントを張って声をかけることが受注につながることが、このデータを見ても明らかだと思います。

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