大和ハウスのニュースが住宅業界を賑わせています。
コロナ禍で加速した住宅展示場来場者の減少を受け、全国で500程度ある住宅展示場の30%を削減すると発表したのです。
30%とは穏やかではありませんが、閉鎖した展示場の穴埋めはWebなどを使ったバーチャル展示場に移行するとのことです。
住宅展示場の来場者が減少してるのは周知の事実でしたし、大手ハウスメーカーをはじめ中小工務店でも「最近来場が減ってきた気がするね」という声は私の耳にも届いていました。
ところが、世の常として一方で勢力を減退させる者がいれば、その反対にそこに乗じて勢いを一派があるのも事実でしょう。
その代表格がアイ工務店となります。
急拡大していることに加え、北海道や東北地方には店舗がないので、大手ハウスメーカーと比較するとその知名度はまだまだと言えます。
しかし、業界の人間にとってはよく耳にするメーカー名でもありますし、規模が大きめの地場ビルダーにとっては戦々恐々となる、まさに黒船住宅会社といっていい存在でしょう。
大和ハウスはなぜ展示場を削減するのか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF26F0S0W2A520C2000000/
日本経済新聞のサイトになりますが、目を通してみてください。
全国に500拠点ある展示場を向こう5年間かけて30%減らしていくという内容です。
②コロナの影響でお客さんの動きに変化があった
③今後も来場者が以前に戻るとは考えにくい
④以前より新築着工数は激減すると予測されていた
大きくはこの四つの要因が展示場削減の理由となっています。
大和ハウスに限らず他のメーカーも展示場来場が減っているのが現状で、ある大手ハウスメーカーの部長さんにデータを見せてもらったことがありますが、コロナが問題になった2020年4月から展示場の来場者が激減しています。
第一波、第二波と波を繰り返してきましたが、感染者が収束するとそれなりに展示場来場者は増えてはいるのですが、100%戻ってる展示場は皆無でした。
このような状況ですから、住宅会社が展示場を削減するのは頷けます。
アイ工務店が今後も急伸する理由
4月20日に某社主催のネットセミナーがありました、登壇者はこの私でしたが、セミナーのタイトルはこの写真にあるように
【住宅・建材・住設業界研究 工務店・ビルダー・商社への期待 取引先を理解する】
対象者は住宅業者ではなかったのですが、大勢の方々にご出席いただきました。
全部で3時間のセミナーだったのですが、プログラムの一つに3社の住宅会社担当者の事前インタビューを使用したのです。
・フィアスホーム(東京)フランチャイズ本部
・アイ工務店(大阪)日本一の急成長メーカー
毛色や規模感が違う3社の方にご協力いただいたのですが、その中の1社であるアイ工務店では旧知の役員氏にコメントをお願いしたのです。
取材日はビデオカメラを回して30分ほどお話しをしてもらったのですが、その中でこんなやり取りがありました。
森 「これほどまでに急成長した理由は何でしょうか」
役員氏「皆さんそれを聞かれるんですよね(笑)」
森 「 私も大変興味があります」
役員氏「 いろいろな要因がありますが、一番大きな理由は住宅展示場から大手ハウスメーカーが撤退しているからです。開いた場所に我々が展示場を出したから、となります」
オープンな情報ですので書きましたが、簡単に真似できる芸当ではありません。
展示場出店するには多額の経費がかかりますし、もちろんランニングコストも大きな負担となってきます。
しかし、アイ工務店はこの逆張り戦法で急成長したのです。
このインタビュー内容と今回の大和ハウスの展示場縮小のニュースを合わせて考えると、アイ工務店が今まで以上のスピードで急成長すると予測するのが自然です。
もちろん、急成長は必ずどこかで止まります。
それがどこかは誰にもわからないのですが、今後数年間はまだまだ問題なく伸び続けると私は予想しています。
新卒営業社員のレベルと意欲が高い
展示場だけ拡大しても売れるわけではありません。
売れる要素の一つには営業マンのレベルの高さがなくては絶対に売れません。
アイ工務店の新卒営業の意欲とレベルは、他のハウスメーカーと比べても高いというのが私の実感です。
中途社員を大量に採用してることで有名なアイ工務店ですが、彼らは元々高いレベルを保って転職をしてきています。
営業レベルの高い中途社員、意欲の高い新卒社員、そしてお客さんの目を引きつけるデザイン性や設計力が相まって爆発的な売上につながっているのです。
市場は今後はどのように動いていくのか
大和ハウスが展示場を縮小するわけですが、 これをしてリアルの住宅展示場が消滅するというのは、あまりにも早計でしょう。
住宅展示場と現場見学会を含めたリアルの建物を見る機会は大きな販売のアピール力になります。
商談の入り口を今までのように住宅展示場一本やりだったものをWebという新しいツールに置き換えるということです。
コロナ禍でも今一つ進まなかったWeb面談
ZOOMなどをメインとした Web 商談システムは、2020年のパンデミック宣言以来一気に広まりました。
我々住宅業界でも大手を中心にこのシステムを積極的に取り入れ、お客さんにアピールしてきた経緯がありますが、実際の営業の場では当初予定したほど浸透はしていません。
やはり、建物の実物を見たいという要望に加えて、 担当となる営業マンとは面と向かって話をしたいとの要望が強くあるからでしょう。
ただ、世の中のWEB面談化がごく一般的になってくれば、お客さんとしても「WEBで相談するのが当たり前だよね」という感覚になる可能性は十分にあります。
WEB面談の訓練を徹底的にしてください
私はコンサルティングで既に実施していますが、Zoomなどを使ったWeb面談のロープレが極めて重要になるでしょう。
最も有名なのはZOOMとなりますが、ZOOMを使ってお客さんと初回面談をするシーンを訓練するのです。
実際にやるとボロボロになる
このようにして各社でロープレをやってる私ですが、この様子はもちろん全て録画してあります。
録画したものは後で分析するのですが、想定以上に難しいということがわかります。
まずはZOOMの操作方法に慣れていないという、基本的かつ致命的な問題が結構出るんですよね。
なんとなくの使い方は分かっていても、画面の向こうに実際のお客さんがいるという設定ですから、どうしてもあたふたしてしまうのです。
また、お客さんから突発的な質問が出た時に、上手く対応できないのです。
出すべき資料が出てこないとか、通信環境の問題で画面が固まることもあります。
様々な場合を想定してロールプレイングやるわけですけども、これについては皆さんにも強くお勧めしたいと思います。
WEB展示場システムの整備を
リアルの住宅展示場がなくならないというのは私の考えですが、Web住宅展示場が勢いを増すのはほぼ既成事実だと考えていいでしょう。
大手は資金力にものをいわせてあっという間に対応するはずですが、問題は中小のビルダーやそれよりも規模の小さい工務店の皆さんです。
しかし、ホームページが一般的になった時も私はあちこちで書いたのですが、このような IT化の動きは小規模な会社にとっても有利だといえます。
20年前であれば綺麗で豪華なカタログを大量に作成することができるハウスメーカーには、 小規模工務店が勝てるわけがありませんでした。
私が営業をやっていた時代ですが、その当時ですら一番豪華なカタログは一冊800円もしました。
上司から「このカタログは気楽に配るなよ」と言われたのが懐かしいです。
Webも大規模なシステムを導入すればとてつもない金額がかかりますが、安いソフトを利用したり無料でも工夫次第で様々なことを発信できるのです。
しかし、小規模工務店の皆さんの中には、食わず嫌い、もしくはめんどくさがってこれらのものに触れようとしない方が非常に多いことが気がかりです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。