成績が低迷する新2年生を追ってみた

記事を書いているのは6月の末。

今年度の新入社員は入社して3ヶ月が経ちました。

売っている営業もいれば受注がゼロの社員もたくさんいます。

しかし、この時期の受注0を責めるのはあまりにも酷。1年は見ないと実際の成績がどうなるかは分かりません。

ただ、2年生となると話は別です。

入社以来1年3ヶ月が経過しながら、受注が全く取れないということは、営業本人に何かしらの問題があるのか、もしくは会社の体制に瑕疵とも言えるような欠陥がある可能性も十分に考えられます。

今回のコラムは、新2年生で未だに受注が0と低迷するある男性営業社員を追ってみました。

入社2年目で受注ゼロの男性営業Bくん

どこの誰とも一切書きませんが、従業員数は400名以下とだけ明かしておきます。

ただ、昨年4月に入社して営業を実質1年ほど行なってきたのですが、受注が0というのは事実です。

B君がなぜ0という状態に甘んじてるのかを、B君との面談による私なりの分析で解説していきましょう。

上司に対する萎縮

ヒアリングの結果、B君の成績低迷の大きな原因の一つがこれだと断言します。

つい先日ですが、東北地方に本社を構える地元の有名住宅会社のパワーハラスメントが、大きな問題となって全国ニュースでも取り上げられました。

私が営業をしていた時代とは比較すれば激減していますが、それでも住宅業界は、この傾向がまだまだあると感じています。

彼と私との間であった会話をここでご紹介しましょう。

実はコラムにこの内容を書くことを、B君自体が強く推奨してくれました。

「完全匿名なら」とのことだったので、詳しく書いていきましょう。

私「同期社員はみんな受注を取っているけど焦っていないかな?」
B 君「焦っていないと言ったら嘘ですけど、とにかく何とか頑張るとしか言いようがないですよね」
私「受注が取れないことに関する自己分析を聴きたいんだけども、どんな要因が考えられる?」
B 君「展示場における初回接客の稚拙さが原因なのは明らかだと思うのですが・・・何て言うんでしょうね・・・店の上司と言うか、先輩達となんとなくうまくいかないんです」
私「そんな話は多くの営業社員が抱えてると思うんだけども具体的にはどんなことがなの?」

「はっきり返事しろよ!」

B君の性格も大きく起因しているとは思いますが、はっきりとした返事をしないB君に業を煮やした店長が「返事をはっきりしろよ聞こえないんだよ!」と叱責したことがきっかけだったようです。

B君によると、この瞬間から店長に対する恐怖感を覚え、さらには強い精神的圧力が、朝から晩まで心にかかるようになってしまったらしいのです。

今から20年も遡れば「お前はアホか?」で片付けられることも多かったと思います。

事実、私が住宅営業やっていた時代の同期社員の中には、直属の上司が些細なことで手を上げるという、今では信じられないような話がけっこうありました。

しかし時代は全く変わったのです。

確かにB君は上司から見ると、若干ですが「イラっとする」要素を持っています。

B君からの申告なので、若干割引は必要かもしれませんが、一種のパワハラ的なものがB君の成績の低迷の要因になってるのは間違いないと私は考えています。

会社にだらだらと居残る体質

B君の会社にはもう一つ大きな問題が存在します。

用がないのに会社にだらだらと居残る。

成績が上がらない社員が早く帰れない雰囲気が、社内に満ち満ちている。

こうした問題が会社全体にはびこっているのです。

これについては、他の社員からも色々話を聞いたので、おそらく間違いはないでしょう。

働き方改革が叫ばれる世相にもなりましたし、でたらめな勤務時間でやっていると、労働基準監督署が飛んでくる時代にもなっています。

しかし、私の耳には旧態依然とした住宅業界の体質が色濃く残っている会社が意外なほど存在すると感じざるを得ません。

もちろん、その数は昔と比べると激減しました。

ただ、少なくともB君の会社にはこのような雰囲気があり、B君のやる気を削いでるのは事実でしょう。

部下に対する「さん付け」の励行

話は変わりますが、部下に対して「さん付け」をする住宅会社が増えました。

かなり規模の大きな会社ですが、20年以上にわたってお付き合いしている住宅会社があります。

その昔は、かなり激しい体質を持っていて、勤務時間も長ければ休日出勤も当たり前という社風。

私が行う営業社員研修も出勤日には絶対やらず、休日に当たる火曜日もしくは水曜日に実施する徹底ぶりでした。

「自分のために勉強するのだから仕事の時間に研修を行うのはおかしいだろ」

これが上の見解です。

私は仕事ですから、何曜日に研修を行っても問題ないのですが、正直言うと内心は「みんなのやる気は大丈夫かな・・・」と思っていました。

しかし、これも時代です。

表立って文句を言う社員は誰一人いなかったのです。

こんな会社ですが今は激変。

上司が部下に対して必ず「さん付け」をします。

最初は驚いたのですが、時代の流れには逆らえず、このように体質を改善しているのです。

この会社私は非難してるわけではありません。

積水ハウスをはじめとする大手ハウスメーカーも、その昔はこのような労働環境だったと記憶しています。

あくまでも、そういう時代だったと言うしか ないでしょう。

B君の問題点は〇〇にもあった

上司に対する苦手意識がある。

B君の低迷の原因の一つがこれであることは間違いないのですが、もちろん他の問題もあります。

持って生まれた消極性

住宅展示場などに来場したお客さんには、アンケートを書いてもらいます。

そのアンケート欄には携帯電話番号を記入する欄もあるのですが、一般的な営業手法として来場した翌日あたりにはこの携帯電話番号へ営業が荷電をすることになります。

ただ、この電話をかけるという行為が、極めて高いハードルになる営業が多いと私は実感しています。

全く知らない人への電話に抵抗感を感じるのは理解できますが、少なくとも前日に顔を合わせて話をした人への電話です。

そのハードルは著しく下がってるはずなのですが、 B君はこの電話がどうにもこうにも苦手だと私に話すのです。

彼自身の消極性がハードルになっているとの分析をせざるを得ないのですが、さらに突っ込んで話を聞いていくと彼の心の内が垣間見えてきました。

「自分なら知らない携帯電話番号に出ませんから」

その通りです。

知らない電話番号から携帯に着信があれば、ほとんどの人は出ようかどうか一瞬ためらうでしょう。

もし、お客さんがその電話に出たとしても、基本的には「この人誰なんだろう」という訝しい気持ちで最初はB君に応対するはずです。

ただ、そこで自分の名前を名乗り「昨日はありがとうございました。〇〇ハウスのBです」と話せば相手も理解するはずでしょう。

しかしB君に言わせると「それは分かるのですが、知らない着信番号を見て眉をしかめるお客さんの顔を想像してしまうとものすごく嫌な気持ちになるんですよ」

筆者である私自身も、電話が極めて嫌でした。

会話が一定のラインに乗ってくれば平気なのですが、相手が予期していないところに電話をするという行為が、実はこの私も好きではなかったのです。

B君ほどひどくはありませんが、彼の気持ちをなんとなく理解出来る私としては、これからこのB君の悪癖をなんとか解消させようと指導する予定でいます。

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