新築一戸建ての営業マンのレベルが低下・・・
私はこう感じていますが皆さんのお考えはいかがでしょうか。
もちろん適当に話しているのではなく、しっかりとした根拠に基づいた考えです。
ただし、どちらかというと大規模な住宅に会社に顕著に出る傾向と思ってください。
大規模住宅会社のほとんどが住宅展示場を所有しているはずですが、展示場への来場者減少に加えて、来場があっても新人が接客できない諸事情が現場にはあるのです。
住宅会社の現場で起こっている深刻な問題を私が解説していきます。
「うちの会社には当てはまらないな」 と早合点しないでください。
たまたま契約が取れているか、もしくは優秀な若手営業マンを偶然にも採用できたにすぎないかもしれないからです。
今年は良くても、来年以降採用した新入社員が、今年と同じように契約を取ってくるとは限りません。
コロナがもたらした新卒社員のレベル低下
コロナ問題が発生してから既に3年以上経過しました。
その間に住宅営業の手法も色々と変化が見られたのですが、その中の一つが住宅展示場における接客内容です。
来場予約の増加により新卒社員の接客機会が激減
これが非常に大きなポイントになります。
例えばコロナ前に毎月10組の来場客があった住宅会社があるとしましょうか。
営業マンは新入社員を合わせて4人いるとして、単純計算だと毎月2組程度は新卒社員が接客できます。
ところがコロナ禍になって、展示場来場者が減ってきたのに加えて、来場する時も予約をするようになりました。
この予約客は、基本的に新卒社員には接客させない住宅会社がほとんどなのです。
この理由は分かりでしょうか。
ふらっとやってくるお客さんは、接客して話を聞くまでどのレベルの方であるか不明です。
ところが、予約をしてくるお客さんは、一定以上真剣に考えている状態だと推測できます。
そうすると、力のない新入社員にそのような大事なお客さんを任せるわけにはいかないのです。
あなたが住宅会社の社長になったと想像してみてください。
予約をしてやってくるお客さんが月に一件だけしかいなかったとします。
それなりに考えてるわけですから、やはり会社で力のある営業に接客をさせて、契約率を高めたいと思うのが当然でしょう。
コロナ禍で来場客数そのものが減っているところに加えて、来場予約客が増加しているので、新入社員の接客する機会がどんどん減っているのです。
構造的なこの問題に多くの会社が困っている
私が知る限り住宅会社の多くは、この問題にぶち当たって皆さん困っています。
新入社員に力をつけさせるためにも、1組でも多くのお客さんを接客させて経験を積ませたいのは山々なのですが、前述したような理由でそうもいかないという実情があるのです。
この問題を解消させるには基本的には二つの方法があります。
②現場見学会の回数を増やす
簡単に分けるとこの二つになるでしょう。
ただ①は難題です。
展示場の来場客数を簡単にあげられる方法があれば私が知りたいぐらいですし、イベントなどを開催してただ単純に来場客を増やすのであれば話は別ですが、中身のあるお客さんを増やすというのはそんなたやすいことではありません。
こう考えると、②の現場見学会を開催することが現実的であるといえます。
現場見学会を積極的に開催するFホーム
Fホームは某県でトップ5に入る有力パワービルダーです。
しかし、こちらの会社でも同様の問題が発生して、社長はじめ幹部社員が皆困っていました。
そこで行ったのが現場見学会の積極的開催です。
展示場にそこそこ集客があったので、現場見学会はさほど熱心に推進していなかったこともあり、改めてお客さんに対して積極的に開催をお願いしたところ、例年の2倍程度のペースで現場見学会を行うことに成功したのです。
現場見学会も基本的には予約するケースが増えていますが、フリーのお客さんを拒まずに開催すれば、その種のお客さんもそれなりにたくさんやってきます。
ここで勤務する新入社員数名は、現場見学会に朝から晩まで張り付き、フリーでやってきたお客さんを積極的に接客しています。
場数を踏まないと話にならない
数多く接客経験を積めたおかげで、私から見ても力がしっかりついており、営業力は順調に上昇していると判断しています。
様々な要因が考えられるでしょうが、現場見学会を通じて接客を多数行ったことが、大きなウェイトを占めたことは間違いないと私は確信しています。
人と人が顔を合わせて話をするのが接客です。
接客能力だけは場数を踏まないと、理屈だけでは力が付きません。
経営者や幹部社員の方にお伝えしたいのですが、新卒やそれに準ずる若い社員が入社した時には、可能な限りの接客機会を与えるように尽力してください。
幹部社員の指導力不足も原因の一つ
新卒営業社員の能力低下の原因は数ありますが、直属の上司である営業社員の指導力低下というのも明らかに大きな要因となっています。
「普段は何をやっているの?」と新卒に聞いてみた
複数の住宅会社の新入社員指導を私は毎年行っています。
やり方は様々で、4月に行う集中的な新卒研修を行って終わりという会社もありますが、通年指導をする会社もその逆に存在します。
通年指導ではズームを使った個人面談も積極的に行うのですが、その時(7月上旬)にある新卒男性営業マンとこんな会話をしました。
営業「5組くらいですかね」
私 「その中で商談ベースに乗るかもしくはそこそこに良さげなお客さんというのは何組ぐらい?」
営業「商談してるお客さんはいませんし、そこそこに良かったかなぁという方が1組いるかどうかです」
私 「その状態だと暇じゃない?」
営業「そうですね・・・暇かもしれません(笑)」
ある営業とこんな会話をしたと書きましたが、同じような会話を多くの新卒営業マンと毎年のようにしています。
住宅営業として仕事に就き2年もすれば、契約したお客さんも増えてくるし、それなりに事務的な仕事も発生します。
ところが、新卒で入社して契約を1件もとっていない状況だと、やることはあまりないはず。
ところが、彼とは引き続きこんな会話になりました。
営業「知識を得るために勉強しています」
私 「朝から晩まで本読んでるわけじゃないでしょう。新規の接客が少ないのであれば、知恵を絞ってお客さんを探す工夫を考えたりしないわけ?店長からそのような指導はされない?」
営業「上司から特に何も言われません。勉強だけしっかりしろよとは指導されますけども」
上司に責任あり
私はこう判断しています。
新入社員として会社に入り3ヶ月4ヶ月程度では、過度な期待をするのはさすがに酷というもの。
やはり、経験のある上司が具体的な行動を指示するべきでしょう。
かといって、時代は大きく変わりましたし、ましてやコロナ禍でもあるので、古い名簿を基に軒並み飛び込み訪問をさせるわけにもいきません。
しかし、電話をしたりメールをしたりすることぐらいは問題なくできるでしょう。
新入社員も具体的な営業活動をほとんどしないまま事務所に入るのは苦痛だと思いますし、彼らの成長を考えてもアクティブな動きをさせないのは間違ってると私は思います。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
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