工務店集客に必須となるSNSの中で取り組み度が低いと言われている「ピンタレスト」について、皆様どのくらい知っているでしょうか?
私が住宅営業マン時代に、理想の住まいのイメージやインテリアの参考となる画像をピンタレストで収集したものを見せていただくお客様が非常に多かったのが印象的でした。
特にデザイン性の高い家づくりを行っている工務店が取り組むことで得られるメリットが非常に多いピンタレストについて、徹底的に解説していこうと思います。
ピンタレストは工務店集客に活用できるか?
ピンタレストとは画像の検索やシェアができる無料のサービスであり、好きな画像を「ボード」という箱にストックでき、将来の理想となるイメージを具体化するために使われるサービスとなります。
画像検索において重要なのは、見た目の訴求力やユーザーにとって興味関心を惹く画像であるか?になります。
工務店においてカメラマンが撮影した施工写真を自社のWEBサイトのみで公開していることが多い中、ピンタレストで施工写真を二次利用することで、集客に成功しているところもでてきています。
まだブルーオーシャンの時期に取り組むことで、期待以上の成果を得られる可能性が高いのがピンタレストです。
【結論】ピンタレストは具体的に家づくりを検討しているユーザーが「ほとんど」使っている!
家づくりの中心となる主婦層はピンタレストを日常でも使用していることが多く、料理のレシピや掃除の裏技などのライフハック系の情報が人気です。
現状日本よりも海外の方が一般的に使われており、海外の方が投稿した画像を多く見ることができます。
家づくりの検討段階において、家の外観やインテリア、家具、照明、エクステリアなど参考となるイメージ画像が検索しやすいことで、具体的に家づくりを考えているユーザーが使いやすく、工務店の担当者と共有がしやすいツールとなっています。
ピンタレストの特徴
画像検索や画像共有ができるインスタグラムと何が違うの?と疑問に思われている方も多いと思います。
一番の大きな違いは、インスタグラムは共感や他者とのつながりを重視し、ピンタレストは「自分の興味のあることをどれだけ早く見つけられるか」を重視してつくられたツールになります。
自分の好きな画像を投稿し、それを見たユーザーが興味を持ち「ピン」(ストック)することで、拡散されることも特徴です。
また、ピンした画像にもとづいて類似する画像をピンタレストによって選出し提案してくれるので、漠然としたイメージがどんどん具現化できるようになるので「画像検索機能に優れた」サービスです。
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ピンタレストと工務店集客の相性
漠然と家づくりを検討し始めたユーザーから、具体的に家づくりを検討している人まで幅広く囲い込めるピンタレストは、工務店集客にとって抜群の相性といえます。
また、コロナ禍によるステイホームで一気にユーザー数を伸ばし、より自分たちに合う理想のイメージを探す行動が増えた結果もでています。
使用するユーザーの傾向も女性が6割となっており、20代〜40代で最も使用されています。
料理やコスメ、ファッションを検索する流れでインテリアや住宅、エクステリアなど「衣・食・住」の実現したいイメージを満たしてくれるので、工務店にとっても十分親和性があるツールとなっています。
参考:コロナ禍に「Pinterest」が急成長した理由|CNET Japan
【2022年版】ピンタレストの集客ツールとしての最新情報
コロナ禍以降、順調にユーザー数を伸ばしているピンタレストですが、日本でのアクティブユーザー数は870万人(2020年12月時点)となっており、主要なSNSの中ではまだ少ない印象となっています。
近年ではZ世代やミレニアム世代にも再認識されており、ピンタレストでしかできない画像検索や将来の理想を実現するためのストック機能を使いこなすユーザーが増えてきている現状を踏まえるとまだまだ伸び代は大きいと言えます。
CM効果で近年注目度が再度アップしている
2021年5月からテレビCMを開始し、徐々に認知度を高めているピンタレストですが、CM開始から国内検索数が32%増加しました。
また2022年前半よりピンタレスト内でも有料広告ができる仕様になることを受け、新たなCMも公開されており、ピンタレスト発祥の地であるアメリカが日本のマーケットに力を入れていることがうかがえます。
家づくりの中心である、主婦層が未来の情報収集ツールとして使っている
コロナ禍で一気にユーザー数を伸ばしたピンタレストですが、その中でもピンタレスト内の検索数は2.5倍、さらにその中でもインテリア関連の検索数は24倍と大きな成長をみせています。
おうち時間により理想のインテリアを探す行動が増えたことと考えられます。
また、インスタグラムは過去の投稿であることに対し、ピンタレストは未来の理想を叶えるために収集するツールとして使われるので、家づくりのイメージをストックしやすいサービスとして最も使いやすいSNSとなっています。
ピンタレストの中で自社アカウントが作れる
世界最大のブランディング会社であるインターブランド社が発表した「Best Global BrandsTop100」のうち、90社がピンタレストを活用しているほど、海外では企業がピンタレストを使うことが必須となっています。
誰もが知る大企業だからブランディングが成功していると思われがちですが、ユーザーの興味や関心を満たす魅力的な画像があれば、中小零細企業でも勝算は十分あり得るということです。
参考:「Best Global Brands 2020」レポート|株式会社インターブランドジャパン
ピンタレストが工務店集客ツールとして活用できる7つのメリット
工務店集客にとって画像で訴求できる点は、非常に大きいメリットでしょう。
ピンタレストを活用することで他にも様々なメリットがあるので、深くみていきましょう。
メリット1:直感的に画像でアプローチできる
画像検索機能に優れているピンタレストは、ユーザーが興味ある画像に関連する画像を次々と提案してくれます。
自社の家づくりのテイストに興味があるユーザーに画像を表示させることで、それに関連する画像を次々と見てもらえる可能性が高まります。
テキストや言葉では伝わりづらいデザインやコンセプトなどの魅力を伝えやすく、理解してもらいやすいのが一番のメリットです。
メリット2:フォロワーがあまりいなくても拡散される
ピンタレストにもフォローやフォロワーの概念があります。
インスタグラムなどと同じように自社のアカウントを気に入ってもらえるとフォローされやすくなりますが、インスタグラムと違う点は、自社のアカウントをフォローしていないユーザーにも画像に埋め込まれたタグによって届きやすくなります。
タグとは投稿に対して関連するキーワードのことで、例えばリビングの施工事例の場合、
・リビング
・LDK
・おしゃれなリビング
・モダンなリビング
など、20個ほど設定することが可能となります。
インスタグラムのように投稿文や映える画像などをつくる時間や労力を毎回かけなくても、今ある素材を生かすことができるので、楽に運用することが可能です。
メリット3:自社WEBサイトへの送客がしやすい
ピンタレストは、投稿画像に外部リンクを設定できます。
インスタグラムの場合、自社WEBサイトへ誘導したいとき、投稿画像→プロフィール→自社URLクリック、と2回の手間が発生します。
ピンタレストの場合、投稿画像自体に外部リンクを紐づけることができるので、画像が気になったユーザーがダイレクトに自社WEBサイトに来られるので機会損失が少なくて済みます。
また、投稿した画像はストックされつづけ、ピン機能で保存された画像が長い間経過した後でもユーザーに閲覧される可能性があるのも特徴です。
投稿後1〜2か月後にサイトへ来ることもしばしばあるので、継続的な投稿を行うことで確率を高めることができます。
メリット4:運用コストがあまりかからない
画像には、タイトルと外部URLを設定するだけで投稿することができます。
インスタグラムのようにテキストを考える必要もなく、ダイレクトチャットのような質問を受ける機能もないため、返信する手間もかかりません。
また、自社WEBサイトで使用している画像を二次利用できるので、ピンタレストのために新しく用意するコンテンツがいらないことは運用する側にとっては大きな工数削減に貢献するところではないでしょうか。
メリット5:家づくりの角度が高いユーザーとの設定を持ちやすい
具体的に家づくりを検討しているユーザーは、自分たちの家の外観やインテリア、家具まで事細かにイメージを求めて画像を検索します。
ピンタレストは画像検索の機能が最も高く、類似するイメージも提案して表示してくれるので、家づくりを計画する時に重宝します。
また、ボード機能で他者との共有がしやすいので工務店とのコミュニケーションツールとしても最適と言えます。
メリット6:SEO対策にも効果的
画像には外部URLを紐づけることができます。
自社WEBサイトへのリンクを設定した場合、クリックされて自社サイトへ誘導できると被リンクを獲得することができます。
被リンクとは外部サイトから自分のサイトへ向けられたリンクのことを言い、SEO対策として重要視されている評価基準となります。
多くの画像がユーザーにとって保存され、クリックされることで自社WEBサイトの検索順位にも大きな効果が期待できるといえます。
メリット7:活用している工務店がまだ少ない
インスタグラムなどと比較すると、まだまだ活用できている工務店は少ない状況です。
海外では企業のブランディング向上のためにピンタレストを積極的に使っており、今後日本でも広まっていくことは時間の問題となっています。
ピンタレストはSEO対策にも有効であり、家づくりユーザーがコミュニケーションツールとして積極的に使っているので、今後積極的に活用できる工務店が自社のブランディングや他社との差別化ができる日が目前となっています。
ピンタレスト運用の6ステップ(開設から運用までの流れ)
ピンタレストのメリットについて十分お分かりいただけたでしょうか。
まだまだ工務店での活用が広まっていない今だからこそ、開拓のチャンスがあります。
次にビジネスアカウントの開設から運用までの流れをご紹介します。
STEP1:他社の活用事例を調査
まずは、自社の競合や同業他社のピンタレストの活用事例を調査しましょう。
今後の運営の参考となるやり方や投稿画像のサンプルなど、どのような運営方法で行なっていくかを決めていきます。
STEP2:ボードのコンセプトを決める
ピンタレストはテーマごとにボードを設定し、ボードに画像を並べて表示します。
そこでボードごとに世界観をつくることが重要となります。
ボードのテーマを決めずに運用開始をしてしまうと、コンセプトがバラバラな状態で統一感がなくなってしまいます。
自社のブランドイメージや伝えたいメッセージが伝えきれない事態にならないように気をつけましょう。
<統一感のある世界観にするための軸を考える>
・ブランドメッセージか家づくりの考え方か?
・商品なのかサービスなのか?
・人中心か、物中心か?
・デーマカラーやテイストはどのようにするか?
STEP3:アカウント登録
ピンタレストのアカウント開設ページで、「法人向けアカウントに登録」で簡単に作成が可能です。
既に個人アカウントで作成している場合もビジネスアカウントに移行することができるので、一から新しく作成する必要はありません。
ピンタレストは画像中心のコミュニケーションツールなので、概要などは長すぎないように注意します。
どのような目的のアカウントなのか?どのような画像を投稿するのか?を簡潔にわかりやすく書き、ユーザーに一目で伝えられるように心がけましょう。
<登録項目の一覧>
・メールアドレス
・パスワード
・業種
・ビジネス名
・ユーザー名
・概要
・ウェブサイト
・プロフィール画像
STEP4:プロフィール画面を充実させる(カバー画像の選定)
アカウントの登録が完了したら、プロフィールページの作り込みを行います。
工務店のアカウントと一目でわかるように、見栄えする施工事例写真などをカバー画像に登録すると良いでしょう。
プロフィール上部の画面半分くらいを占めるので、自社の世界観が伝わるかどうかの重要な部分になります。
定期的に見直しをして、季節感のあるものやより最新の状態に更新をするようにしてみるのも効果的です。
STEP5:プロフィール画面を充実させる(ボードの設定)
ボードはテーマごとに画像をストックする箱のようなものです。
アカウント運用開始時は8〜10個ほどのボードを準備しておきます。
PC画面で見た時にプロフィール画面でボードが埋め尽くされている状態やスマホの画面で見た時に1スクロール分埋め尽くされている状態が好ましいです。
また、テクニックとして人はZの動きで視線が動くので、一番見てもらいたいボードを左上に配置するのがコツです。
また、ボードのカバー写真は人気のある画像や一押し写真に設定し、ボード名や説明文はわかりやすく書いてあげましょう。
ピンタレストは画像単品の収集だけではなく、ボードをフォローすることもできるので、人気のボードを育てることも重要です。
STEP6:プロフィール画面を充実させる(お気に入りボードの設定)
お気に入りボードとは、見てもらいたいボードを概要欄の下に置くことができる機能です。
5つまで設定でき、自動的にローテションすることで一番目に止まりやすくアピールすることができます。
コツは定期的にお気に入りのボードを入れ替えることで、リピーターがいつ来ても新鮮で魅力的なコンテンツが見れる状態にしておくことです。
ピンタレスト開設後の運用のコツや分析方法
アナリティクスで流入数をチェック
ビジネスアカウントに付与される機能としてアナリティクス分析ツールがあります。
自社アカウントのパフォーマンスをチェックできる便利なツールなので、画像投稿後の閲覧数やクリック数などを計測でき、運用後の改善のためのデータを取得することができます。
ー取得できる主な指標
<表示回数>
認証したドメインがリンク先となっているピンがピンタレスト上で表示された回数
<クリック数>
認証したドメインがリンク先となっているピンからクリックスルーした回数
<保存回数>
認証したドメインがリンク先となっているピンがピンタレスト上で保存された回数
リッチピン機能
リッチピンとは、通常のピン機能以外に商品価格や説明など画像以外の情報を追加できる機能です。
工務店アカウントでの使用がおすすめできるリッチピンは以下の通りです。
<記事ピン>
記事ページの見出しやサイト名、サマリーなどのリッチデータがピン下部に表示されます。
<プロダクトピン>
ECサイトを展開している場合に、商品名や在庫数、価格などがピンの下部に表示されます。
ピンタレスト保存ボタンを設置する
ピンタレスト内だけでなく、アカウントと紐づいている自社WEBサイト内の画像にもピンができるように設定するとさらに効果が上がります。
多少の設定は必要ですが、あるユーザーが自社WEBサイト内の画像をピンしたものが、拡散されることで他のユーザーからの流入も期待できるので、ぜひ設定しておくことをおすすめします。
RSSフィードでピンを自動公開
少し難易度高めですが、「RSSフィードでピンを自動公開する」設定をすることで、自社WEBサイト内の情報が更新されると同時に自動でピンタレスト上でも配信される機能になります。
施工事例やブログなどのコンテンツを画像付きブックマークとして配信されるので、投稿のし忘れを防止し、常に最新の情報が更新される状況をつくれます。
他のSNSへの連携ができる
自社のインスタグラムやYouTubeアカウントがあれば、プロフィール内に設定しておきましょう。
ピンされた画像にそれぞれのSNSアカウントが紐付けされるので、ピンタレストからインスタグラムやYouTubeなどの新しい流入経路をつくることが可能となります。
ピンタレスト集客の参考になるアカウント紹介
Room Clip
フォロワー40万人
日本最大のインテリア専門SNSの公式アカウントになります。
テイスト別のボードの作り方や画像の選定、主婦目線の家事道具や雑貨など、女性に好まれる世界観をつくっている部分が参考になります。
デザイン工務店
フォロワー数763人
ボードの作り方が明快で分かりやすいのが印象です。
「窓デザイン集!」「外構・庭デザイン集!」「洗面デザイン集!」など部屋やエリアごとに統一性があるのでユーザーもボードごとピンがしやすい設計となっています。
またデザイン性が良いので、収集するだけでも楽しくなりそうです。
安成工務店
フォロワー数3360人
創業70年の天然杉材を使用し、OMソーラーで環境に優しい家づくりをしている工務店になります。
自然素材の家づくりが感じられる基本的なデザインから部位別の細かなディテールまでボードごとに細かに分類されており、ユーザーにとってもイメージが共有しやすく、設計段階でどこを検討すれば良いのかがわかりやすい事例集となっています。
まとめ
今回、ピンタレストについて深く理解いただけたかと思います。
他のSNSと違い、コミュニケーションコストもかからずに、自社の売りとなる画像を投稿することで世界観をユーザーへ伝えることができるので、ピンタレストのイメージがガラリと変わったのではないでしょうか。
まだ活用している工務店が少ないこの時期に取り組むことをおすすめします。