住宅営業社員の育て方・・・7 【働き改革時代の実態と注意ポイント】

経営者にとって頭が痛いのは働き方改革です。

営業社員を使い捨てにするような一部の悪徳経営者は論外ですが、 営業社員がやる気があるのに、業務を切り上げなくてはいけないケースもあるでしょうし、必要以上に経営者が勤怠管理に気を配らなくてはいけない時代になりました。

10年前とは様変わりした労務環境ですが、このような中で工務店経営者はどのように住宅営業社員に接すればいいのでしょうか?

今回のコラムは働き方改革をテーマにして、 現場が直面している問題や、新入社員の想定外の行動などについて触れていきましょう。

90年代は無茶苦茶な時代だった

25年から30年ほど時代を遡ってみましょう。

私は積水ハウス出身ですが、まさにこの時代が営業活動の中心でした。

新卒から3年目程度のこと。

朝8時半に出社して、帰りはほぼほぼ午前様が当たり前の毎日でした。

「そんなに忙しかったの?」

こんな質問が飛んできそうですが、契約案件をたくさん抱えた状態ならいざ知らず、営業職の新入社員がこんなに忙しいわけがありません。

時代といえば時代なのですが「先輩より先に帰るのは論外」「最初から長時間勤務が前提」この二つが主な原因でしたね。

先輩より先に帰るのは何事か!というのは、この時代の建設業界ではある意味常識的な空気でしたし、働き方改革の時代であっても 日本人である限り、このDNAは刻み込まれているものがあると思います(笑)

特に強く感じたのは、2番目の理由である、最初から長時間勤務が前提だったことでしょう。

私が勤務した展示場だけかもしれませんが、新卒で配属された展示場の諸先輩方は、その勤務体制が異常極まりない状態でした。

1人を除いて朝は時間通り全員出社するのですが、帰る時間はほぼ午前様になるのです。

新卒の私と違って、様々な案件や仕事を抱えているので猫の手も借りたいほど忙しいのだろう・・・ではありません。

帰る時間はあらかじめ午前様に設定して、その枠の中で仕事を割り振って行っているとしい言いようがなかったのです。

もちろん逐一見ているわけではありませんから、本当に忙しい日も当然あったでしょう。

しかし、コンビニに寄って漫画を立ち読みしていたり、事務所内でもゆったりと仕事をしていたり。

当時の風潮といえばそれまでですが、1分でも早く仕事を切り上げてプライベートの時間をとろう、などという発想が微塵もなければ、 そのような空気も全くなかったのです。

某ハウスメーカーの現状

ビジネスマン,ブロック,虫眼鏡

若手社員を呼び捨てにしない

この会社だけではないのですが、10年前には見られなかった現象が 働き方改革と並行して起こっています。

新卒で入ってきた社員に対して「〇〇君、今月は良さげなお客さんはいるの?」とこんな感じで君付けさん付けなのです。

はじめは衝撃的でしたが、ほかの会社でも似たような対応をするケースが散見されます。

時代が変わったと言えばそれまでですが、あるウェブ記事では某コンサルタントが「社員を呼び捨てにするようでは会社の利益は上がらない」と書いていましたね。

それなりに時代の風潮をとらえた記事ではありましたが、スッキリしないというか、腹に完全に落ちることはありません。

労働基準書に駆け込んだ新入社員

同じ経験をした会社もあるのではないでしょうか。

複数の会社で同じことをわたくしは聞きましたが、労働環境が入社面接時の内容と違う、と不満を持った新入社員が、証拠のデータを持って労働基準監督署に駆け込んだのです。

にわかには信じられませんが、私だけで複数の事例を耳にしているわけですから、全国的には相当数の事例が発生していると思います。

駆け込んだ新入社員は決定的な証拠を持っていますので、ほぼ間違いなく会社側が負けるわけです。

その後は行政指導ということになるのか、何らかの処分が下されるのかは知りませんが、こんなことが起こるようでは、会社としては勤怠管理に神経を尖らさざるを得ません。

親といっしょに乗り込んでくる新入社員

規模の大きい住宅会社になると、結構ある事例ではないかとわたくしは推察しています。

「息子に対してパワハラ行為が行われた」
「夜遅くまで仕事をするよう強要された」
「上司が息子の言うことを聞いてくれない」

親が肩を怒らせながら事務所に乗り込んで、上司と直談判をしにくるのです。

ある社長が「さすがにわけがわからないですよ(笑)」と私に笑いながら話をしてくれましたが、さすがに親の影に隠れてこんなクレームを入れてくるような営業社員は使い物にならないと思います。

労務環境を整えるのは大事

私としてはこのような話を聞くと意味不明としか言いようがないのですが、時代がこのように変化していることは、どうしようもならない事実です。

私がもし経営者であれば、個人的には納得いかないものの、勤怠管理には目を光らせますし、常軌を逸したパワハラに対しては断固対応を取るでしょう。

私もその当時納得していたわけではない

こんな話をしてくると「俺が積水ハウスで営業をやっていた頃は 夜遅くまでやって寝る暇もなかったんだぞ!そんなの常識じゃないか、今のやつは情けないよ」と考えているのではないか、と思われそうですが、それは全く違います。

腹の中では、当時の勤務状態はどう考えても異常だと思っていました(笑)

しかし、その当時の流行語は「24時間戦えますか?」

このフレーズを入れ込んだ栄養ドリンクのCMが大ヒットした時代です。

現状は明らかにおかしいと思いながらも「しょうがないか」「会社とはこんなもんだろう」と割り切っていました。

今でも思い出しますが、同期社員と集まって飲んだ時に、こんな会話をしていましたね。

「俺たちは人に夢を売る商売をしているけれども、売る人間が幸せでなかったら夢なんか売れるか?(笑)」

まぁ、今思えば懐かしい思い出ですが、その当時、今のような労務環境だったら、どうなっていただろうなとしみじみ考えてしまいますね。

採用面接時の約束は守る

これは大事ですよ。

採用面接時に「週休2日制だけども、たまに休みが潰れることもあるかもしれないよ。でも、代休制度があるから」

こう伝えたとしましょうか。

社長の世代になると「面接ではそう言ったけど、実際に仕事が始まったらそんなうまくいかないよ。そのぐらいわかってくれ」と言いたくはなりますが、もちろん今の時代はそれが通用しません。

こんな話も思い出しました。

現役時代の社内研修は、必ずと言っていいほどに休日を当てていたのです。

支店長「自分のために勉強するのだから勤務時間に研修をするのはおかしいだろ?自己研鑽は休日に行うのが社会人としての常識だぞ」
私 「そうですよね!支店長!(う~ん、なんかおかしくないか・・・)」

支店長の満面の笑みは今でも忘れられません。

まとめ

昔の労働状況の体験談、今の実態、合わせてご紹介しました。

労働基準監督署の話はかなりのレアケースかもしれませんが、労働者の権利でもありますし、住宅や不動産業界にありがちな無茶苦茶な勤務実態を是正するという意味では、間違った行動ではありません。

しかし、経営者の皆さんは、時代がそのように変わったことをしっかり認識しているでしょうか。

特に40歳 以上の方になると、彼らのことを理解するのに時間が随分とかかるでしょう。

いろいろと書きましたが結論は一点。

そういう時代になったのです。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。

今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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