展示場オープン直前!

名古屋市内に単独住宅展示場が年内にオープンします。

ハウスメーカーでもありませんし工務店でもありません。

昔から地元に根を下ろす不動産会社が、新たに新築部門に乗り出すのです。

その第一号店が名古屋市内にオープンするのですが、私はこのプロジェクトに春から関わってきました。

設計、デザイン、マーケティングなど専門分野にそれぞれの先生が招聘されているのですが、営業部門として私にお声をかけていただきました。

読者の中にも同じような境遇の会社もあるでしょうし、不動産会社でありながら「新築部門に進出してみようかな」とひそかに検討されている会社もあるでしょう。

そんな皆さんへの参考になる情報です。

モデルハウス,看板

12月21日オープン

オープンが目の前に迫っている、この住宅展示場ですが、高い確率で ビジネスとして成功すると私は確信しています。

「お前が関わっているのだからそう言うのは当然だろう」

こう言われてしまっては身も蓋もありませんが(笑)しっかりと練りに練られていることを知っているからこそ、自信を持って断言しているのです。

ペルソナの設定

ペルソナなる言葉が出てきてもう何年経つでしょう。

何かお店を開く時には、来場者の客層を想定する必要があります。

あなたがラーメン屋を開業するとしましょうか。

深夜のラーメン屋によく見られる、トラックやタクシーの運転手さんがカウンター席に座っているのではなく、若い女性が一人もしくは友達を連れてやってくるのを予定したラーメン屋を頭の中に描いています。

これに加えて、女性の年齢層、服装、職業なども想定して、細かく決めていく作業を「ペルソナの設定」と表現します。

このようにペルソナを決めれば、いかにもラーメン屋という内装はどうだろうか、という話になってくるでしょうし、汁跳ねしてもいいように、前掛は絶対にいるだろうなどと戦略が固まっていきます。

もちろんペルソナを設定しても、ラーメン自体が不味ければ話にならないのは当然のことです。

東京に下北沢という若者に人気の街があります。

私もかつて3年ほど住んだ経験があるのですが、その当時、若い女性をターゲットにしたラーメン屋が開業しました。

店のオーナーは有名な女性料理家。

オープンして3日目に私も妻を連れて、いそいそと出かけたのですが、塩気がなく麺がなかなか喉の奥に入っていきません。

「この店はあかんやろうな・・・」

二人の意見は一致したのですが、案の定3か月後には店をたたむ羽目になりました。

若い女性を意識した内装に加えて、体に良い、優しい味、ヘルシー、 ダイエットなどを前面に押し出し、明らかにペルソナ設定をしていたのですが、肝心のラーメンはただ単に味が薄いだけという代物で結果的には経営に失敗したわけです。

住宅を全く同じで、ペルソナ設定をいくら詳細に決めても商品が悪ければ話になりません。

今回はペルソナの設定を徹底的に細かく決めたのは当然のことですが、 出来上がる展示場が、想定ペルソナにぴったしのテイストになっているのです。

展示場オープン時には泊りがけで私も立ち会いますが、ペルソナ設定どうりのお客様が来場した時の反応を今から楽しみにしています。

詳細な展示場接客マニュアルの作成

これは私の担当ですが、展示場マニュアルの作成は、最低限するべき事項です。

展示場オープンまでに、第一弾として暫定的なマニュアルを作成しました。

そして、実際にオープンした後に、目の前で交わされるお客さんと営業のやり取りを可能な限りたくさん観察した上で、それを反映した内容を第二弾として加えて完成させます。

一年がかりでの作成

このマニュアルに着手したのは6月のことでしたが、最終的に完成するのは来年の4月を予定しています。

一年弱という時間をかけて作成するのですが、その展示場に合致したマニュアルの作成により、ベテラン営業であっても都度見返すことにより発見することが多数出てきますし、新しい若い営業社員が入れば、それを見て一人である程度勉強することが可能になるのです。

これから住宅展示場を建設する会社はもちろんですが、すでに展示場を所有している住宅会社の方も、あらためて住宅展示場の接客マニュアル作成することを強くお勧めします。

マニュアルと聞くと誤解されそうですが、単なる案内の手引書ではありません。

基本的な接客内容やある程度の順路などを想定した内容はもちろん盛り込みますが、各部屋でのお客さんへのヒアリングトークなどが大事なポイントです。

何気ない会話なのですが、お客さんの情報をそれとなく聞き出せる必殺トークです。

着座コーナーの重要性

接客,お客さん

展示場によく見られるのは、二階の一部屋がいかにもという商談スペースになっているケースでしょう。

お客さんから見れば、ここで営業から着座を促されて「では、じっくり話をしましょうか」とまるで尋問されるような空気感です。

全否定しているわけではありません。

立ち話でお客さんと話が盛り上がれば、ごく自然に着座誘導して話が進んでいくわけですからね。

しかし、これだけでは着座率は上がりません。

私の23年のコンサル経験から、着座率の上げ方を一つお話しましょう。

子供部屋は着座率が極めて高くなる最高の空間

ある住宅会社が所有する展示場の話です。

二階の片隅に子供部屋を設定していたのですが、その子供部屋はとても夢がある作りになっていて、幼稚園や小学校低学年の子供であれば思わず手にとって遊びたくなるようなおもちゃがしっかりと設置されていたのです。

この部屋に子供連れの家族がやってくると、これらのおもちゃに子供がさっそく目をつけ、しゃがみ込んで遊び始めます。

親はそれを横目で見ながら営業マンと立ち話をするわけですが、下手をすると20分、30分もと話し込んでいる姿が目立ちました。

「机と椅子を置こう」

これを見て私はこう指示を出しました。

立ち話で延々と時間をとるわけですから、机と椅子をおいたら、そこに座る確率は極めて高く、そしてそのままカタログを開いたりタブレットを見せたりして、家の話に持ち込めると思ったのです。

翌日には早速机と椅子が搬入されて、その翌週の土日を迎えました。

私は現場で見ていたのですが、その部屋に小さな子供を連れたお客さんがやってくると、子供がおもちゃに目をつけてお店を広げるまではいつも通りのこと でした。

今までと違ったのは、そのタイミングを見て営業社員がお客さんに対して「どうぞお座りください」と着座を促したことでした。

高い確率で着座

あくまでもこの会社の着座率と限定しますが、小さな子ども連れのお客さんの着座率は二割を超えたのです。

五人に一人の割合になりますが、これはあくまでも子供部屋だけでの着座率ですから、一階のリビングや二階にある本来の目的である商談室の着座率を合わせれば50%近くまで上昇したのです。

この数字は極めて高い値ですが、着座率が上がれば商談が深まる件数も増え、契約数も上がるわけです。

今回の新規展示場では成功する要素がてんこ盛り

具体的な事例として子ども部屋の設営話をしましたが、このような成功事例を細かいことから大きなことまで含め、私からアドバイスをして展示場に反映させています。

「成功する確率が極めて高い」

このように私が自信を持って発言したのは、こうした成功事例をふんだんに盛り込んでいるからです。

もちろん蓋を開けなければ結果がどうなるかは分かりません。

数ヶ月したら結果がはっきり出ますので、その時この誌面にて皆さんにご報告したいと考えています。

まとめ

私は工務店に対するコンサルティングを生業としていますが、今回のように、新規展示場オープンに関わるのは最も楽しい仕事の一つです。

「お客さんは来場するだろうか」
「展示場の仕掛けは 当たるだろうか」
「ペルソナ設定は間違っていなかっただろうか」

考えれば考えるほど頭が休まることはありませんが、そこはこれまでのキャリアの蓄積がものを言います。

コンサルティングにおいて、私はこの会社の社員ではなく部外者でありますが、気持ちは経営陣と全く同じで「失敗させる訳にはいかない」と心で堅く念じて任務に当たっています。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

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今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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