ある一人親方がYouTubeに参戦しました。
SNSに無頓着だったり、YouTubeなどの動画発信に関しても気にはなるものの、自分とはまったく無縁の世界だと思っていたりした工務店や一人親方の大工は、まだまだたくさんいるでしょう。
しかし、ある一人親方の大工(Aさん)がその殻を打ち破って立ち上がりました。
ついにYouTube参戦を決めたのです。
実は私がお手伝いしているのですが、つくづくこれまでもったいないことをしていたなぁ、と実感せざるを得ません。
アピールすることはいくらでもあるAさんですが、その情報はごく狭い範囲しか口コミで広まることはなかったのです。
情報発信してなんぼ
結論はこれだと思います。
腕がよければほっておいても噂が広まる・・・さらりと言ってのければ格好いいのですが、現実にはなかなかそうはいきません。
住宅会社も同じですが、やはり広告宣伝力が重要で、完成した住宅を見れば特に他社と変わりないような出来栄えであっても、宣伝がうまい会社はやはり売れていきます。
情報発信の重要性になかなか気づいてくれない大工さん
SNSなどを使って積極的に発信していくことは、大手の住宅会社はもちろんですが、小規模工務店の方がわたくしは敏感になってるような気がします。
20年前であれば、宣伝の仕方は大手にかなうわけがありませんでした。
ところが時代が変わったことにより、コストをほぼかけずに大手に対抗できる手段が生まれたのです。
目鼻の聞く感覚を持った小規模工務店の方が、目敏くこうした武器に気づいたということでしょう。
ところがそれに対して、大工さんや一人親方と言われる昔ながらの方々は、まだまだ気づくのが遅いと私は感じています。
中には目を引くようなYouTubeチャンネルも存在しますが、ある人気チャンネルは、大工である父親をYouTubeを使って息子がうまくプロモーションしていると推察されます。
このように大工本人でなくても、家族の誰かが客観的に取材をするという形で大工本人をうまく際立たせているのです。
とんでもない知識量のAさん
私は随分昔からAさんと知り合いなのですが、会うたびに感じるのが膨大な知識量と卓越した分析能力です。
顔合わせると毎回のように Aさんは熱く語りだすのですが、その内容が実に理路整然としていて緻密なのです。
「家はやっぱり木造住宅だよな!」
熱く語るといってもこのようなタイプではありません。
いわゆる完全な分析型で、物事を論理立てて、しかもわかりやすく話すのです。
耐震性に関しても「〇〇工務店のあの作りは耐震性が怪しいよね。 なぜならば水平方向に対する・・・」
一時が万事で、このような形で理論的に喝破します。
こんな頭の回転が速いAさんですが、住宅営業という観点からはまだまだと言わざるを得ません。
しかし、今回ユーチューブに参戦したということは、SNSの重要性を理解しているとともに行動力も備わっている証拠です。
現在YouTubeの素材を撮りためている最中ですが、耐震性に関する話だけでも、楽に一時間程度は延々と話しているシーンが収録できました。
これを分割して編集すれば、5分ものの動画を10本分は取れる計算になります。
私はインタビュアーとして話をずっと聞いていましたが、内容は高度なものの分かりやすく理論的に話すので、ほぼほぼ理解することができました。
ですから、私よりも知識がない一般の方であっても、おそらくは充分に理解できる内容になるでしょう。
このコラムをご覧になっている方の中にもし一人親方に該当するような方がいらっしゃれば、ぜひともYouTubeを含めたSNSに参戦され決意をされてください。
いくら力量があって腕があるとしても、家を建てる人にそれが伝わらなければ営業的には効果が0になります。
腕に自信があるのであれば、それを積極的にPRして、お客さんとの接点を見つける努力をすることは、恥ずかしいことでもなんでもなく正当な営業活動なのです。
自前の工場があることに驚いた
Aさんの事務所の裏には、しっかりとスペースを取った工場があり、 その中には三台の大きな機械がありました。
冒頭の写真はその中の一台なのですが、このほかにも木材の直角を出す機械や厚みをミリ単位で整えられる機会もあったのです。
今プレカット全盛ですから、お客さんから細かい寸法の木材を要望されても「それはできません」「そのサイズは無理です」となるのが一般的でしょう。
つまりお客さんのご要望に何でもお答えします、と言えないのが現状となります。
ところがAさんは自前の工場があるので、仮に何らかの木材をお客さんから「あと三ミリぐらい薄くしてほしいんですが」と言われればそれに応じて自分の手で三ミリ薄くすることができるのです。
私はこれを見たときに「絶好のアピールポイントをAさんは持っているではないか」と確信したのです。
Aさんももちろんそれはわかっているのですが、このような工場を所有して機械を持っていることを知っている人が、営業エリア内には皆無なのです。
「うちのお客さんはみんな知ってるよ」
Aさんは私にこう言いました。
契約してくれたお施主さんや昔から馴染みの方々はこれを知っているというのです。
しかし、 私から見れば、これははなはだもったいないことであるのと同時に、膨大な機会損失と言えます。
なじみのある方に知っているのはもちろん良いことですが、アピールしたい層はAさんのことを知らない圧倒的大多数の人々なのです。
ここにPRするためは、SNSなどを使った積極的な広告宣伝戦略が必要でしょう。
20年前であれば、これには多額の費用が必要でしたが、現在であればそれをほぼ無料でやることすら可能なのです。
カメラが苦手な人は取材をしてもらう形式で
Aさんがまさしくこのタイプだったのですが、カメラ目線で一人で話をするのはどうも上手くいかないようで、私がカメラを回し取材をし、それに答える形式を取りました。
カメラ目線の一人語りはなかなかうまくいかなかったAさんでしたが、私が質問してそれに答える形式をとったとたんに、実に自然かつ饒舌に話をしだしたのです。
私はカメラ目線でそれっぽく喋るのは慣れていますが、人によっては確かに難しいかもしれません。
この場合は今話したように、社員の誰かにカメラで撮影してもらいながら質問をしてもらえば良いのです。
それに答える形式であれば日常の延長ですから、なんら難しくはないでしょう。
「結構簡単だし面白いね」
これがAさんの率直な感想でした。
まず初めにお伝えしたいのは、YouTubeで動画を上げる手筈は思った以上に簡単なことです。
誰かに教えてもらわなくても、ネットで手順を説明した動画はいくらでもありますので、お暇な時にでも見てください。
Aさんには私が直接やり方を教えましたが、一連の流れはすぐに飲み込んでくれましたので、今後は私が動画を撮影して編集し、それを実際にアップするのはAさんが全てやることになっています。
何よりも「結構面白いね」と言ってもらったのが、私にとっても励みになりましたし、今後ある程度続けていけば必ず成果が出ると、私は確信しました。
まとめ
あれやこれやと書いてきましたが、一人親方の大工さんでも一念発起してSNSによる発信を始めてほしいのです。
今回はYouTubeをたまたま題材に出しましたが、インスタグラムでもツイッターでもfacebookでも構いません。
とにかく自らをアピールすることを始めてください。
ただ私がお勧めしたいのは、動画によって会社や社長自身のことがダイレクトに伝わるYouTubeです。
一度覚えてしまえば操作は簡単ですので、食わず嫌いをやめてチャレンジしてみませんか。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。