ここ数年採用難が続いており、頭を悩まされている経営者・責任者の方も多いのではないでしょうか。
また、採用難でなくとも1人でも多く優秀な社員に入社して貰いたい、もしくは現在の社員にできるだけ心地よく働いてほしいと思うのは当然ですよね。
不動産営業の人事で頭を悩ませることの1つに、給与体系があります。
今回は、この給与体系について固定報酬型と成果報酬型それぞれの特徴等ご紹介した上で、固定報酬型から成果報酬型に切り替える際の注意点をお伝えします。
固定報酬型と成果報酬型
まずは固定報酬型と成果報酬型の特徴をお伝えします。
固定報酬型は、基本給と成果給の内、基本給の部分を手厚くする給与体系で、例えば、固定給を25~35万円程度とし、成績に応じて賞与時に請負金額の1%等を支給するといったタイプが当てはまります。
メリットは例え調子を崩しても、固定給×12カ月分の給料は得られるという安心感を得られることです。
デメリットとしては、営業が頑張って成績を挙げても、成績を挙げていない社員とあまり給料が変わらないという不満を持ちやすいことが挙げられるでしょう。
一方、成果報酬型は基本給と成果給の内、成果給を手厚くする給与体系で、例えば、固定給を15~20万円程度に設定し、成績に応じて毎月の給料に会社入金額の3%等を支給するといったタイプが当てはまります。
メリットは頑張れば高額な給料を得られるということです。
デメリットとしては、成績が悪いと給料が大きく減ってしまうため、安定しないのに加え、生活費に困る社員も出る可能性があるということです。
成果報酬型導入で成績アップ?
成果報酬型はすでに働いている社員の方のモチベーションアップにつながると共に、採用時に「モデル年収」等と高額の年収を提示できるため、採用への効果も期待できます。
例えば、先ほどの例で言うと、固定報酬型だと月に100万円の仲介手数料を受け取った場合、(25万円×12カ月)+(100万円×10%×12カ月)=420万円ですが、同じ条件で成果報酬型だと(15万円×12カ月)+(100万円×30%×12カ月)=540万円になります。
仮に、これが仲介手数料300万円になれば固定報酬型だと660万円、成果報酬型だと1,260万円となります。
モデル年収として「年収1,000万円以上も可能」等と打ち出せるのは大きなインパクトがあるでしょう。
これまで固定報酬型で運営されてきた企業様の中には、すでに働いている社員の成績アップのため、採用力アップのため成果報酬型の導入を考えたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
成果報酬型を導入すれば、これまで成果を挙げてきた社員は同じ成果を挙げるだけで給料がアップしますし、一方で成果を挙げていない社員は「成果を挙げないと給料が下がる」という恐怖と「自分もスターになりたい」といったモチベーションから思いもよらないパワーを発揮することも期待できるでしょう。
会社としても、成果を挙げた分給料を支払っているのですから、文句はないはずです。
成果報酬型導入の注意点
一方で、固定報酬型から成果報酬型へ切り替える動機が「会社全体として成績が上がっていない状況を打破したい」といったものである時は注意が必要です。
下手をすると、全員の成績がさらに下がり、それによって給料も下がり、全体のモチベーションが下がることになりかねません。
実際に、筆者の知人の会社でも成果報酬型を導入することで営業社員の奮起をはかったものの、思うように成績が伸びなかった事例があります。
この知人の会社の事例を見てみると、要因として以下の2点が考えられました。
・成果を挙げられる人がいなかった
それぞれについて詳しく見てみましょう。
固定報酬型の従業員が多かった
これまで固定報酬型の給与体系が長かった会社では、そもそも固定報酬型の会社を選んで入社した社員も多いでしょう。
給料が高いことに強いモチベーションを持つのではなく、安定した給料を得たいという社員が多ければ成果報酬型を導入してもあまり効果は出ません。
成果を挙げられる人がいなかった
そもそも、高い成果を挙げる実力を持った人がいなければいくら給料が高くなっても成果は挙がりません。
商品力や広告力など、会社の実力が足りていない可能性もあります。
こうしたことから、固定報酬型から成果報酬型に切り替えるのであれば、会社全体の成績が上り調子の時にするか、段階的に変えていくか、どちらかのタイミングで行うことをおすすめします。
なお、固定報酬型にもチームプレイを活かしやすいといったメリットがある点も忘れてはいけません。
まとめ
採用難等の社会的背景を踏まえ、固定報酬型から成果報酬型へ切り替える効果や注意点をお伝えしました。
今回は、成果報酬型=成績が挙がりやすいと書いていますが、固定報酬型の方が成果を挙げやすい方もいらっしゃるでしょう。
給与体系の変更を検討される際は、注意点でお伝えしたような状況に陥らないよう、会社の状況をよく見ながら取り組んでいかれるとよいでしょう。