使用貸借と賃貸借で異なる退去請求方法

賃貸中の物件のなかには、オーナーの身内や関係者が居住する物件もあり、賃貸借ではなく「使用貸借」によるものもあります。

物件の売却など「使用貸借」のままでは不都合な場合もあり、使用貸借中の入居者に退去請求しなければならない事情が生じることもあります。

使用貸借は賃貸借と異なり、入居者の居住権に違いがあります。そのため貸主・借主の人間関係や、使用貸借の契約内容により退去請求の方法が変わってきます。

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使用貸借の居住権

使用貸借は “無償” で物を貸し借りすることをいい、不動産の使用貸借では借地借家法の適用は受けず、借主の権利は賃貸借より弱くなるとされています。

しかし使用貸借はきちんとした書面による契約をすることは少なく、契約期間さえも決まっていない非常にあいまいな状態で使用されていることが多いといえます。

使用貸借に関する法律上の定めについては民法597条にて『期間満了により契約は終了する』としています。つまり貸借期間をあらかじめ決めているときは、期間満了により契約は終了し退去請求ができるのですが、期間を定めていない場合が問題となります。

ここでは期間の定めがない使用貸借について、3つのケースを想定し契約終了と退去請求の方法を検討してみます。

使用貸借物件を売却するので借家人を退去させたい

使用貸借の物件に借家人が居住しているケースでは、借地借家法が適用されないことは既に述べたとおりです。

また所有者が変わった場合の借家人の対抗力は、賃貸借では認められていますが使用貸借では認められていません。そのため新所有者からの退去要求には対抗できないとされています。

しかしながら裁判例においては、所有者の権利濫用を認め、退去にさいしては「立退料」の支払いを求めるケースがあります。

所有権移転後に退去交渉が難航し、新所有者から契約不適合による契約解除を訴えられることも予想され、売買契約前には借家人との間で退去についての話合いが必要になってきます。

また状況によって使用貸借から賃貸借への切替えも提案でき、売主である貸主の売却理由などを含めて、借家人との誠意ある交渉が大切です。

使用借家人が亡くなったので同居人を退去させたい

使用貸借は借家人の死亡により契約が終了すると、民法597条3項では定めています。しかし死亡した借家人と同居人の関係が夫婦や親子などの場合、必ずしも民法の規定どおりにならないケースもあります。

貸主としては民法にしたがい退去請求はしなければなりません。もしもなにもしないでおくと「黙示の承諾」とみなされ、借家権の相続が認められる可能性があるのです。

管理会社は使用貸借に供している物件がある場合、オーナーに契約書の存在を確かめておく必要があります。目的や期間を定めた契約なのか、定めのない契約なのかにより、契約終了に関する貸主の選択肢が変わってきます。

目的や期間が定められた使用貸借契約であれば、期間の満了により契約は終了します。そのため借主死亡の場合でも期間満了により契約は終了するといえるのです。

目的や期間が定められていない契約の場合は、いつでも貸主からの契約終了は可能とされているのが民法の定めです。借主が死亡した場合であっても同様に、貸主の解除権はあると考えられます。

使用貸借の目的は明示されていたが期間が定められていない場合は、目的を果たすのに足りる期間が経過したときは貸主から解除可能であり、これも借主が死亡した場合でも解除権はあると解釈できます。

以上みたように借主が死亡した場合、同居人が借家権の相続を主張したとしても、期間の到来や目的の達成により契約解除は可能と考えられます。また目的と期間が明示されていない場合は、いつでも解除できるとの定めにより、これも可能と考えられるのです。

ただしケースバイケースで使用貸借による借家権を認めた事例もあるので、借家人死亡後の同居人の退去は簡単ではないことを、認識しておかなければなりません。

賃貸物件を相続し新しいオーナーが使用借家人を退去させたい

賃貸物件を相続により取得したオーナーにとっては、物件のなかにいる使用貸借の借家人に対し、退去請求ができるのか大きな問題といえます。

使用貸借は借家人の死亡により契約が終了する定めはありますが、貸主の死亡による契約終了は規定していません。そのため賃貸物件を相続した人は貸主の地位も承継し、借主はひきつづき使用貸借契約にもとづき使用が可能となります。

この点は物件の売買により所有権が変更されるのと異なり、貸主の地位が承継され使用貸借契約が継続することに注意しなければなりません。

使用貸借契約の注意点

使用貸借は貸主と借主が親族間など、特別な関係であることにより生まれる契約です。賃料は無償であり戸建住宅や区分マンションなどの場合には、借主が固定資産税や管理費を負担するケースもありますが、家賃の負担はありません。

前述したように貸主と借主が変更することなく、契約が終了する場合にはなんの問題もありませんが、どちらかが亡くなり貸主の所有権が移転すると問題が生じる可能性があります。

使用貸借契約時に注意したいことは次のポイントです。

1. 契約は書面でおこなう
2. 目的と期間を明記する
3. 借主死亡の場合の契約終了について明記する
4. 貸主変更の場合の契約終了について明記する

オーナーから使用貸借に使用したいとの希望がでてきた場合は、以上の4つのポイントを説明し、将来問題がおきることのないよう対応する必要があります。

まとめ

使用貸借は宅地建物取引業法や借地借家法の適用がない、個人間での契約にもとづいておこなわれるものです。

家族や親族間で契約されることが多く、人間関係が良好なときは問題が生じません、しかしなにかの事情でトラブルが発生すると非常にやっかいなものになりがちです。

管理物件のなかに使用貸借の住戸が存在することは、管理業務をおこなっていくうえで不都合な面が生じることもあり、オーナーの関係者といえども管理会社の管理下におかれることが望ましいでしょう。

そのためには、使用貸借契約締結時から管理会社が積極的に関わることが必要です。

また期間の定めのない使用貸借は、契約終了および退去がむずかしいケースもあることを、認識しておかなければなりません。

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