以前の記事に引き続き、PMに必要な不動産投資知識について記載していきます。
今回は主に以下の2点についてです。
- 不動産投資の目的
- 不動産投資を活用した節税
それでは順番に見ていきましょう。
不動産投資の目的
以下不動産投資をされる方や興味を持たれている方に、どんなパターンがあるのか記載します。
目的やその方の状況によって保有する物件の条件は異なりますので、把握して対応の際の一助にしていただければ。
資産形成
本業以外でも柱となるような収益源を作っていきたい、というパターンです。
勤め人の方で、より豊かな人生設計や、将来への備え、引退して悠々自適な生活を営むためなどの目的で資産を新たに作っていくという目的です。
基本的にはキャッシュフローのとれる利回りの高い物件を融資比率を高めで取得してキャッシュを作っていくことが目的になります。
年収1,000万円前後~の方が多く、物件は中古アパートや中古マンションなどがメイン。
資産運用
今ある資産を有効活用してさらに大きくしていきたいというのが主な目的です。
現金として保有するよりも他の金融商品含めてきちんと運用して維持拡大を目指します。
キャッシュフローがある程度取れつつも、次で説明する節税効果も加味して現金を含めた資産価値を大きくしていくことが目的となります。
年収2,000万円を超えるような外資系金融マンや上場会社役員、士業や勤務医の方などが多く、物件は中古アパートや中古一棟マンションが多くなります。
所得税対策
勤め人の方で年収が高く、所得税率が高い方がその対策として不動産を購入します。
後述しますが、キャッシュフローは残しつつ会計上で赤字を作り、本業の給与所得と相殺して所得税額と所得税率を下げることが目的です。
年収2,000万円~の高額所得の勤め人の方が多く、物件は築古の木造・鉄骨アパート、一棟マンションなどがメイン。
相続税対策
ご高齢の方などで手元の資産を可能な限りいい条件で相続したいという目的です。
現金や有価証券で保有している資産を、不動産に変えることで相続税評価額を下げて相続税自体を少なくすることが目的です。
実際の取引価格と相続税評価額の差が大きいほど効果は大きくなります。
5,000万円を超える資産をお持ちの方が対象で、物件はRC一棟マンション、区分マンション、テナントビルなど。
不動産投資を活用した節税
ここからは、上述した不動産を活用した所得税対策と相続税対策について記載していきます。
オーナー様によってはきちんとこの内容を把握しているかどうかで物件を任さられるか判定している方もいますので、ご注意ください。
所得税対策
外資コンサルや外資系金融マン、上場企業役員や士業、勤務医の方など、高額所得の勤め人(年収が2,000万円強など)で所得税率が高い方が対象になります。
木造や鉄骨の法定耐用年数を超えるような築古の物件にて、減価償却費を使って会計上の費用を大きく計上します。
そうすると会計上は大幅な赤字になり、これを給与所得と損益通算(給与のプラスと不動産収入のマイナスを相殺すること)することで、課税される所得の金額を圧縮できて所得税が少なくなります。
さらに、給与の額が所得税率の上がる前後のラインの方は翌年以降の所得税率を下げることができます。
厳密に言うとここまでは所得税の繰り延べ(先延ばしのこと)に過ぎず、節税効果は当該不動産の売却時に確定します。
なぜなら、減価償却費として費用計上した分物件の資産価値が少なくなっていき、売却時には費用計上した分だけ利益が出て課税されてしまうからです。
(譲渡税)この譲渡税率は購入から5年以内の売却なら約40%、5年超なら約20%となります。
そのため、最終的には所得税率と譲渡税率の差分が節税となるため、所得税率が高い方ほど節税効果があり、所得税率が20%までの方は厳密には節税効果はほとんどないと言えます。
文章だとイメージわきにくいと思いますので、物件価格4,000万円の木造築30年アパートを例にシミュレーションしてみます。(説明のため計算は相当単純化しています。)
シミュレーション例:物件価格4,000万円の木造築30年アパート
物件:
築30年、木造アパート、物件購入価格4,000万円、年間賃料収入400万円
売却価格4,000万円
所有者:
年間所得5,000万円(税率50%)
※説明のため計算は単純化しています。厳密には保有している不動産収入があるため、節税効果はもう少し限定的になります。
こちらの例だと毎月400万円の所得税の繰り延べがあり手元にキャッシュを残しつつ、売却時に800万円の譲渡税を払いますが、不動産を保有していなければ払っていた所得税2,000万円に比べるとかなり圧縮されていることがわかるかと思います。
これが不動産を活用した所得税の圧縮効果です。
以上、不動産投資の目的と節税について説明をしてきました。
少々難しい内容もありましたが、投資オーナーにとっては重要かつぜひ押さえてほしいポイントになります。
それでは今回はこのあたりで以上とさせていただきます。