【購入者目線で考える不動産購入取引】一般媒介契約のタイミングの謎

不動産購入の際、契約日に一般媒介契約を行うのをよく見かけます。

しかし、それは本当に正しいのでしょうか?

一般媒介契約の適切なタイミングについて、購入者目線で検討したいと思います。

この記事では

・【違和感】一般媒介契約をかわすタイミング
・顧客が安心できる取引を
・媒介契約の種類のおさらい

について書きたいと思います。

【違和感】一般媒介契約をかわすタイミング

3種類の契約があると上記で述べましたが、物件購入に関する契約の際に一般的に行われているのが「一般媒介契約」です。

ではその契約、みなさんはどのタイミングで行っているでしょうか?

パソコン,電卓,人

媒介契約とは、宅地建物の売買や交換の媒介(仲介)に関する依頼者と不動産会社との契約です。

媒介契約は、購入希望者が不動産会社に依頼する業務の仕様(どのようなサービスを受けるか)や仲介手数料などを契約で明確にすることで、仲介業務に関するトラブルを未然に防ぐことができます。

そこで仲介の依頼を受けた不動産会社には、媒介契約の契約関係を明確化するための、一定事項を記載した書面の作成と依頼者への交付が法的(宅地建物取引業法第34条の2)に義務づけられています。

媒介契約の締結は、その後の仲介業務の入口となる重要なステップですので、内容をきちんと理解しておく必要があります。

引用:夢が広がる不動産ネットワーク ハトマークサイト
https://www.hatomarksite.com/fj/buy/trader03.html?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_term=&utm_campaign=DAS&yclid=YSS.1000259679.EAIaIQobChMIrtGI9tWR-QIVscFMAh0Y-ggcEAAYBSAAEgIi3_D_BwE

顧客向けの解説サイトでは、媒介契約について上記のように記載されています。

つまり本来の流れであれば、

一般媒介契約 ⇒ 物件案内 ⇒ 物件契約

と話が進むはずです。

しかしいざ仲介業者に問い合わせたら、物件案内へと話はどんどん進んでいく…

そして物件契約時に媒介契約の書類が出てきて、そのまま流れでサインすることに。

もちろん仲介に関する大事なお金の説明もその場で行われることになります。

顧客としては、「そんな話は聞いていない」となるのも当然で、トラブルへと発展しかねません。

実際に揉めるケースの例としては、

・不動産仲介の場合は物件価格の3%+6万円を仲介会社に払わなければならないことを物件契約時に伝えられる
・日本の多くの不動産仲介会社では、物件探しから、ローン組み、契約締結に至るまでのプロセスやタスク、それぞれにかかる費用が明確ではない

このような場合が多いのが現状です。

一概には言えませんが、不動産業界での現状は

物件案内 ⇒ 一般媒介契約&物件契約

となってしまっています。

私はこの現状に非常に違和感を覚えます。

上記引用の説明の通り、媒介契約は ”購入希望者が不動産会社に依頼する業務の仕様(どのようなサービスを受けるか)や仲介手数料などを契約で明確にすることで、仲介業務に関するトラブルを未然に防ぐことができる” そのような契約のはずなのに、契約することでトラブルになるのでは本末転倒です。

顧客が安心できる取引を

宅建業法34条の2
(媒介契約)
第34条の2  宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

媒介契約についての法律を見てみると、上記のように記載されています。

媒介契約は諾成・不要式の契約なので、口頭により成立します。したがってあくまで媒介契約の成立の問題とは別に、書面化が必要という法律です。

しかし顧客は物件契約時に本来先に聞くはずの「どんなサービスを受けられるか」「仲介手数料」などの話を後から聞いて、納得できるでしょうか。

不動産仲介業者からすると、そこまで手が回らない、という実情もよく分かります。

その時間があれば、もう一件紹介したい、営業したい、その気持ちも分かります。

そして業界内では、一般媒介契約と物件契約を同じタイミングで出すことが当たり前になってしまっている。

さらには本来のあるべき順序に気が付いていない営業パーソンもいます。

不動産,取引,人

それでも、最後に契約を決めるのは顧客です。

顧客は物件の条件だけで契約を決めるばかりではありません。いくら条件がよくても、仲介業者への不信感から契約不成立になることも十分あり得ることでしょう。

契約して終わりではなく、その後の手続きなども含め信頼できる仲介業者に頼みたいというのが、顧客の気持ちではないでしょうか。

折角、物件案内も丁寧に行い物件契約にまで至ったのに、媒介契約の書面がないだけでトラブルに発展するのは、非常にもったいないことです。

物件契約に至るまでの長い時間や手間と、媒介契約の書面を提示・説明する時間や手間とを天秤にかけても、先に媒介契約を行うべきなのは明らかです。

媒介契約の種類のおさらい

ここまで一般媒介契約の違和感について記載してきましたが、最後に媒介契約の種類についての情報をまとめたいと思います。

日々の業務の中では当たり前のことすぎて、あまり意識していない方も少なくないかもしれませんが、国土交通大臣は不動産会社が不動産の売却の依頼を受けるときの定めとして、依頼者とのあいだで媒介契約を結ぶことを義務づけています。

また、この媒介契約には3種類の形態があり、それぞれについて依頼者と不動産会社の関係を明示しています。

その3種類の契約形態とは

・一般媒介契約
・専任媒介
・専属専任媒介

以上の3つです。

それぞれの特徴は

【一般媒介契約】

・依頼者は複数の不動産会社と同時に契約することが可能。
・不動産会社は成約に向けて積極的に努力することが求められる。
・依頼者自身が発見した購入者(親戚・友人・知人など)に売却する場合は、不動産会社を仲介人とする必要はない。
・一般媒介契約の契約期間に定めはありませんが、行政指導に従い3カ月程度が一般的。(更新可能)

という特徴があります。

また、不動産会社からすれば売却の依頼を受けた物件をレインズに登録する義務がないので、不動産業界の闇とされる「囲い込み」がもっともやりやすく、仲介手数料が2倍になる「両手仲介」の機会が増します。

そのため、一般媒介契約を歓迎する不動産会社も多くあります。

一方依頼するお客様の立場から見れば、複数社に同時に依頼ができるので競って販売活動をしてくれるように思えるかもしれません。

しかし個人の方が複数の不動産会社と対応するのは至難の業であり、せいぜい3、4社が限界ではないでしょうか。

結局、多くの不動産会社で一斉に販売活動を行うことにはつながりません。

【専任媒介契約】

・依頼者が契約できるのはひとつの不動産会社だけで、同時に複数の不動産会社とは契約が不可能。
・不動産会社は成約に向けて積極的に努力することが求められ、さらに、依頼を受けた物件情報を7日以内に国土交通大臣が指定する不動産流通機構(レインズ)に登録し、また、販売活動の状況についても、14日に一回以上の頻度で依頼者に報告することが義務づけられている。
・依頼者自身が発見した購入者(親戚・友人・知人など)に売却する場合は、不動産会社を仲介人とする必要はない。
・契約期間は最長で3カ月。(更新可能)

また、不動産会社には、7日以内にレインズに物件情報を登録する義務と、依頼者に対して販売状況14日に一度のペースで報告する義務が課せられます。依頼者にとっても、不動産会社1社が他の不動産会社を取りまとめてくれるので負担も少なく、双方の権利と義務がバランス良く取れた媒介形態です。

そのため不動産の売却を考える8割くらいの方が利用しています。

【専属専任媒介契約】

・依頼者が契約できるのはひとつの不動産会社だけで、同時に複数の不動産会社とは契約不可能。また、依頼者が自ら購入者を見つけ、直接、契約を売却をおこなうことも制限される。
・不動産会社は成約に向けて積極的に努力することが求められ、さらに、依頼を受けた物件情報を5日以内に国土交通大臣が指定する不動産流通機構(レインズ)に登録し、また、販売活動の状況についても、7日に一回以上の頻度で依頼者に報告することが義務づけられている。
・依頼者自身が発見した購入者(親戚・友人・知人など)に売却する場合でも、不動産会社を仲介人とする必要がある。
・専属専任媒介契約の契約期間は最長で3カ月。(更新可能)

この専属専任媒介契約は不動産バブル期が残した遺物ともいえる契約形態です。

一億総不動産屋と呼ばれたバブル期は、いったん不動産会社に売却を依頼したとしても、途中で依頼者が親戚や友人・知人とのあいだで売買の話をまとめてしまうことも少なくありませんでした。

そのような頃に、媒介の依頼を受けた物件にはなんとしてもしがみ付こうとして考えられた媒介形態です。

今となっては、ここまで依頼者をがんじがらめにする契約は必要ではありません。

3つの契約形態の違いをまとめたものを確認してみましょう。
REDS不動産流通システム,媒介契約の種類とその違い
引用:REDS不動産流通システム 「媒介契約の種類とその違い」
https://www.reds.co.jp/system/term/agreement/

端的にいうと、一般媒介契約は依頼者が複数の不動産会社と同時に契約することができ、専任媒介契約・専属専任媒介契約はひとつの不動産会社との契約のみに限られます。

3種類の媒介契約の特徴を比較すると、最も縛りが厳しい契約が専属専任媒介契約で、反対に最も縛りが緩いのが一般媒介契約なのだということがわかります。

まとめ

インターネット上では「騙されない不動産業者の選び方」といったまとめサイトが沢山あります。

それだけ顧客にとって不動産探しは、不安がついて回るもの。

業界の慣習として行っていたことでも、顧客とのトラブルに繋がってしまうことで口コミなどで会社の評判が悪くなることにも繋がりかねません。

自社で慣習になっていることを顧客目線で見直し、信頼してもらえる企業を目指すことは長い目でみるととても重要なことなのではないでしょうか。

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