不動産売買仲介会社の特徴を謳う際、「地域性」や「ネットワーク力」など、どうしてもエリアと人の特性に着目したことでしか訴求方法の確立が難しかったように思います。
テクノロジーが進歩した最近ではデータや統計など、「AI」「RPA」を前にした謳い文句を繰り返しているのではないでしょうか。
あとは売却時の値引きをしない代わりにホームステージングや瑕疵保証など、売却に紐づくサービスを手厚くしてきているのもこの10年くらいの状況です。
実際のところは、不動産事業者の規模によって、付帯サービスやアフターサービスなどが提供できる、できないは変わってきますが、今回の記事では自社サービスにオリジナリティがない時に試してみる価値のある手法を3つご紹介したいと思います。
別事業との組み合わせ
これは売却と賃貸の抱き合わせといった提案ができれば理想的だと思います。
例えば、都心部のマンションであれば、「売却」を検討するときに「賃貸」を同時検討するケースは増えてきています。事業間のシナジーを生み出せば、どちらかの事業で入口を作って将来的に大きく育つ見込み顧客を作ることができます。
日本の不動産業界では売却と賃貸は別々の企業で行っている場合が大半です。
1つの企業の中に両方の事業を抱えている企業は大手の仲介業者の中には存在しますが、事業部を跨いで顧客の情報共有や提案に繋げられているところはほとんど無いのが現状です。
中小規模の不動産会社で売却と賃貸両方の提案ができるようになれば、かなり大きなアドバンテージになるはずです。
金融との組み合わせ
不動産はなんといっても金融商品です。
よって、金融サービスに力が入れられると、優位性が高まります。
例えば「購入」の場合は
・仮物件でもよいので物件の事前審査を早めに行う
・銀行の組み合わせでローン実行の可能性を高める
上記のようなファイナンシャルプランナー的な動きが取れるかどうか、金融機関や住宅ローン会社と作れるかどうか、といった観点は意外と不動産領域において可能性があると思っています。
これらをサービスに落とし込むためには、きちんと資金調達をサポートするコンサルティング要素のスキルが求められるので容易ではありませんが、お客様のローン組みに関して銀行だけに任せず不動産会社が主導で動くことができれば確実に提案の幅が広がり、成約にも大きく影響してきます。
物件を売りたいと思ったら、まずお客様がその物件を買える分のお金の準備までしっかりと不動産会社側でサポートすることがでいるかどうかは非常に重要な観点です。
住宅ローン会社や金融機関のローン商品の中身による部分は大きいので、十分な情報収集は必要ですが、考えられる道筋としては
・不動産会社が資金調達をサポートする進め方を銀行と一緒にできるのかというベースを作っていく
このようなサービスデザインを描けるかどうかが大きなポイントになってくるかと思います。
クラウドファンディングで自社商品をつくる
世間一般的にクラウドファンディングの仕組みが定着しており、不動産業界においてもクラウドファンディングを提供する事業者は増えてきています。
ちなみに不動産投資クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家様から資金を集め、集めた資金をもとに不動産運用を行い、運用益や売買差益を投資家様に分配する仕組みです。
平たくいうと不動産の共同購入ですね。
保証会社がクラウドファンディングの仕組みを提供するケースも増えてきており、物件の仕入れ力があれば、クラウドファンディングで小粒の顧客獲得をして将来的に顧客転換するというやり方もあります。
事業構築のノウハウではありますが、自社のアセットの組み合わせや、外部アセットの組み合わせにより、独自性を作っていくことは可能です。
単純に不動産の仲介業で横流しをするだけではなく、クラウドファンディングのような金融的な仕組みを自社商品として取り入れていくことで、自分たちの会社にしかないオリジナル商品を作っていくということです。
特に中規模な不動産会社において、より自社顧客を増やしたいと考えている場合、このクラウドファンディングという仕組みを利用してみるのは良い手段だと思います。
クラウドファンディングを活用するメリットは、将来的に不動産購入をしてくれる可能性のある顧客に対して、アクションしやすいような小口案件で接点を持つことはできるという点です。
クラウドファンディングを通して接点を作り、見込み顧客として囲い込み、他の物件の紹介に繋げるといった戦略が立てられます。
まとめ
以上、自社サービスにオリジナリティがない時に試すべき手法として
・金融との組み合わせ
・クラウドファンディングで自社商品をつくる
この3つをご紹介しました。
まずは自社のアセットをきちんと把握した上で、今後どのような方向性で事業を伸ばしていきたいかを定め、今回ご紹介した手法で取り入れられそうなものはないか、ぜひ検討してみてください!