飯田グループホールディングスの全体の売上と利益
直近3期の売上収益と営業利益は以下のとおりです。
分譲戸建住宅が堅調であり営業利益は過去最高益に達しました。
四半期ごとの業績は例年4Qに大きく伸びがあるのですが、今期は新型コロナの影響による仕掛け減少と2Qでの販売促進の結果により、4Qの売上収益は3Qよりマイナスとなっています。
営業利益は逆に4Qで上昇し、利益率は今期のなかでは最高の四半期となりました。
飯田グループホールディングスのセグメントごとの売上
事業別のセグメントは以下のとおりとなっています。
・マンション分譲事業
・請負工事事業
・その他事業
セグメント別では戸建分譲事業が主要事業であることに変わりありませんが、その他として分類される「リースバックプラス事業は」2021年2月15日より、ハウスコム株式会社との業務提携がはじまり今後の成長が期待されます。
飯田グループホールディングスの短期的な戦略
2021期は堅調に推移し2022期も継続した戦略となりそうです。
2022期の売上収益は、0.9%アップの1兆4,700億円の予想、営業利益は5.6%アップの1,280億円の計画です。
数量ベースでは分譲戸建販売棟数47,000棟とし、マンション販売戸数は1,750戸を見込んでいます。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material_for_fiscal_ym/100060/00.pdf
飯田グループホールディングスの長期的な戦略
中期的な経営戦略としてコア事業の競争力を強化する方針です。
・メンテナンス体制を確立しメンテ・リフォームのビジネスモデル化を図る
・資材調達体制強化のため資材調達子会社を統合する
・「すまいーだ」「ホームトレードセンター」を活用し販売体制を再構築する
・需給バランスをエリアごとに考慮し土地仕入と販売戦略を立案し実施する
・AIによる販売価格予測モデルを実装しDXを推進した業務改革を行う
以上の方針をかかげていますが、とくに注目したいのは「AIによる販売価格予測モデル」です。
中古戸建・マンションではすでに価格査定にAIの活用が図られていますが、新築戸建は土地仕入価格+建設工事原価によりコストが算出され、設定粗利益率から販売価格を決定するプロセスが一般的です。
リノベーション中古住宅などでも付加価値の高い物件が増加しており、積上げ価格と市場価格とには乖離が生まれることもあります。
この現象は新築分譲住宅でも起こり得ることで、今後のトレンドとして市場価格を優先する価格決定プロセスに移行する可能性もあります。
現在も強力なプライスリーダーと位置づけられる飯田グループですが、ますますその影響力を強くするとも考えられます。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material_for_fiscal_ym/100060/00.pdf
飯田グループホールディングスの最近のトピックス
長期戦略で触れた「戸建分譲住宅の全棟を住宅性能評価で最高等級」は、これまで最高等級は以下の3分野を取得義務としていました。
・劣化の低減:劣化対策等級
・温熱環境・エネルギー消費量:断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級
これに以下の分野・項目を加え、すべての項目でも取得する方針としたものです。
・維持管理・更新への配慮:維持管理対策等級
・空気環境:ホルムアルデヒド対策
ローコスト住宅は性能面での信頼性に不安をもたれることが多く、飯田グループは住宅性能表示制度にいち早く対応し成長戦略として位置づけていました。
今後はすべての項目で最高等級を取得、性能面においても住宅業界を牽引する存在となりそうです。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material_for_fiscal_ym/100060/00.pdf