不動産業界のTOP企業をIRを基に研究し、業界の方向性を探っていく「不動産企業研究」。
第一回目の今回は、市川海老蔵のCMでおなじみ建売戸建日本NO1の飯田グループホールディングスについて調べてみようと思います。
- 飯田ホールディングスの成り立ち
- 飯田ホールディングの売上げ・利益
- 新型コロナウイルスの影響
- 飯田ホールディングの長期的な戦略
飯田グループホールディングス基本情報
会社名:飯田グループホールディングス株式会社
本社住所:東京都武蔵野市西久保一丁目2番11号
代表者:西河 洋一
設立:2013年11月1日
従業員数「連結」:9,693名(2020年3月31日現在)
飯田グループホールディングス成り立ち
現在の飯田グループホールディングスは一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの共同持株会社として2013年11月に設立した比較的新しい会社です。
ただ、前身は創業者の飯田一男氏が設立した「飯田建設工業有限会社」。
1967年に設立されているので、前身含めると60年以上の歴史があります。
この時期は1964年の東京オリンピック特需などにより、住宅着工数が8年で2倍以上に増加していました。
この波に乗り、飯田建設工業はうなぎのぼりに業績を上げていました。
その後、1973年に「飯田建設工業株式会社」へ組織変更を行い、1976年日本住托産業(現在の東栄住宅)買収、1977年飯田産業設立、1981年伏見建設工業(現在のアーネストワン)設立、1985年タクトホーム買収、1995年アイディホーム設立、2002年ファーストウッド設立、と積極的に拡大してきました。
その後、冒頭で記載した6社により、共同持株会社「現在の飯田グループホールディングス」を設立し、現在に至ります。
現在では、26社と大規模なグループとなっています。※連結対象子会社
※参考文献
http://www.monotsukuri.net/iida_study/iida01.pdf
飯田グループホールディングスの気になる売上・利益は?
売上は前年同四半期で増収
直近の四半期業績は下記の通りです。
グラフを見てわかる通り毎年4Qに売上が大幅に上がっています。
決算期の押し込みが想定されます。
また、飯田グループホールディングスは売上を
・マンション分譲事業
・請負工事事業
・その他事業
にセグメントしています。
売上の約9割を成す戸建分譲事業についてもほぼ同じ動きになっています。
なお、気になる部分としてはコロナショックによる業績への影響。
売上だけ見ると1Q21は前四半期と比較すると増加しています。
ただ、次の営業利益のグラフを見るとコロナショックの影響が見えてきます。
新型コロナウイルスの影響で利益率を下げ在庫を減らす
通常7%前後あった営業利益率が4Q20から1Q21にかけて、4%台とぐっと下がっているのが分かります。
戸建分譲事業の売上総利益率も同様の動きです。
決算報告でも在庫を減らし現金を蓄える主旨の記述があるため、利益度外視で在庫一掃を図っているのが読み取れます。
また、今回の決算書から新たに在庫状況に関する報告も記載されていました。
2019年12月をピークに在庫の圧縮をしているのが分かります。
コロナショックにより今後の見通しが不明な状況のため、現預金を確保する方向にかじを取っているようです。
現場からのうわさも含めですが、現在土地の仕入れも控えている状況とのこと。
まだB/S(貸借対照表)の有形固定資産には動きは見られませんが、第2四半期で動きがある可能性が高いです。注視してみていこうと思います。
飯田グループホールディングスの長期的な動きは?
コロナショックへの短期的な対策は見えてきました。
ただ、将来的に新築戸建需要が減っていくと言われている中、長期的にどのような対策をとっているのでしょうか?
毎四半期の決算書では大きく
・海外進出
・既成約顧客のリフォームなどのリピート獲得
を、伸ばしていくと書いてあります。
事業セグメントとしては「その他」に該当する部分ですが、実際どうなっているか見てみましょう。
全体を補うほどではないですが、ここ3年でしっかり売上を伸ばしていることが分かります。
気になる自社販売体制はどうなの?
なお、我々不動産仲介からすると一番気になるのは、【「「すまいーだ」「ホームトレードセンター」を活用した自社販売体制の構築】の業績。
残念ながら詳細の業績はありませんでしたが、以前の決算時に30%を自社販売にするという目標を立てていました。(2017年時点では約3%)
これが本当に達成すると、約126億円分の仲介手数料が無くなるということ。
※2020年3月期通期で約1兆4000億の売上の30%×3%で計算
飯田グループホールディングスの戸建をメインに事業を行っている仲介会社が数十社倒産する規模です。
まだ軌道には乗っていないようですが、今後注視したほうがいい部分ではあります。
まとめ
・B/S上ではまだ反映されていないので次回決算を注視
・新築需要減の対策は着実に伸びている
今回は建売戸建日本No1の飯田グループホールディングスについてまとめてみました。
飯田の戸建をメインに仲介を行っている不動産仲介会社も多いため、動向は是非注視していただければと思います。
今後も、不動産仲介業に関する不動産企業の決算書をまとめていこうと思います。
是非楽しみにしていてください。