飯田グループホールディングスの全体の売上と利益
直近3期および2021期上半期の売上高と営業利益は以下のとおりです。
売上収益および営業利益はすでに前年通期の50%を超えており、前年同期比も110%を超え順調といえそうです。
2021-1Qリポートで懸念された利益率の落ち込みは、2Qではもち直し8.9%に上昇しました。
新型コロナウィルスの影響による政策的な在庫処分は1Qで完了したようです。
飯田グループホールディングスのセグメントごとの売上
セグメントは
・マンション分譲事業
・請負工事事業
・その他事業
となっていますが、戸建分譲事業が売上の9割を占めており、他のデータは省略し戸建分譲事業の売上と売上総利益を確認してみます。
全体の売上と利益とほぼ同様の動きになっていることが確認できます。
飯田グループホールディングスの短期的な戦略
2021-1Qリポートで指摘した財務基盤の強化は2Qで反映されました。
下図はB/S(貸借対照表)における3指標の推移をみたものです。
棚卸資産が減少し現金・預金が増加さらに流動負債も減少し、新型コロナウィルス感染症の影響による経営環境の変化に対する準備はすすんでいるようです。
ただし新規物件の仕掛けにブレーキがかかっているようで、在庫数は2Qも大きく減少しました。
新型コロナに関する影響は、2021年1月発出された2回目の緊急事態宣言により、さらに継続することが考えられ今後の舵取りが気になります。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material_for_fiscal_ym/89113/00.pdf
飯田グループホールディングスの長期的な戦略
長期的な戦略についても2021-1Qリポートで指摘したように、セグメント「その他」の推移を確認しておく必要がありそうです。
売上・利益とも順調に伸びていますが、2Q累計で売上全体の2.5%と影響はまだ小さく、引きつづき注目しなければならないポイントでしょう。
長期的戦略としてもうひとつ注目したいのが、2020年4月にリリースした一建設の「リースバックプラス」です。
普通借家契約と定期借家契約の2パターンが用意されており、顧客の資金ニーズに合わせて選べる特徴があります。
将来的な新築需要の減少に対し、ストックビジネスへの進出を企画しているものでしょう。
一建設は年間1万棟の引渡実績があり累積16万棟の既存客がいます。
将来のリースバック見込み客としても期待でき、脱新築依存としての可能性があり長期的に注目すべき事業セグメントといえるようです。
*参考文献
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3291/ir_material_for_fiscal_ym/89113/00.pdf
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000055958.html
飯田グループホールディングスの最近のトピックス
2021年1月1日、一建設は長野営業所注文住宅課を開設しました。
本リポートでは飯田グループの注文住宅事業に着目してみます。
注文住宅は「請負工事事業」セグメントです。
2020期売上比率では4.6%の構成比であり、子会社別の業績では一建設が約7割(2019期)を占めています。
グループ全体の販売棟数実績は次のようであり、順調に伸びていることがうかがえます。
・2019期 3,759棟 (前期比111.9%)
・2020期 4,025棟 (前期比107.1%)
前述のとおり一建設は「リースバックプラス」事業を開始しており、顧客となり得る可能性は分譲客よりも注文客のほうが、可能性が高くなることは自然のことでしょう。
ストックビジネスへのシフトは一建設が主要なプレーヤーとなっていきそうです。