【不動産会社向け】IT重説とは?メリット・やり方をまとめて解説
  • IT重説ってなに?
  • IT重説のメリット・デメリットは?
  • IT重説をするうえで何か準備するものは?

不動産契約を行う上でかかせないのが重要事項説明。

従来では対面で宅建士でしたが、今ではIT重説が主流となりつつあります。

本記事ではIT重説とは何か?から、メリット・デメリット、やり方までわかりやすく解説いたします。

【不動産会社向け】IT重説とは?

IT重説とは、不動産契約における重要事項説明をパソコンのテレビ会議機能やスマホのテレビ電話を用いて行うことを指します。

国土交通省のIT重説実施マニュアルでは以下のように定義されています。

IT重説とは、テレビ会議等のITを活用して行う重要事項説明を言います。IT重 説では、パソコンやテレビ、タブレット等の端末の画像を利用して、対面と同様に説明 を受け、あるいは質問を行える環境が必要となります。 国土交通省における宅建業法の解釈及び運用の考え方を示している、「宅地建物取引 業法の解釈・運用の考え方」(平成 13 年 1 月 6 日国総動発第 3 号 令和 3 年 3 月改定、 以下「不動産業課長通知」という。)では、IT重説を対面による宅建業法第 35 条の 重要事項説明と同様に取り扱うものとしています。 この不動産業課長通知では、対面の重要事項説明と同様とみなすための4つの要件を 定めています

-IT重説実施マニュアル

賃貸仲介取引においては平成29年(2017年)よりIT重説の運用が開始され、2021年4月より売買仲介の取引でもIT重説が本格運用されました。

開始年度
賃貸仲介取引 2017年10から
売買仲介取引 2021年4月から

もともと2015年より国土交通省の指導のもと、賃貸・売買ともにIT重説の社会実験が行われておりました。

賃貸契約では1000件以上の検証結果が得られ、運用上問題なしと判断され2017年10月よりスタート。

売買契約はIT重説の検証結果が少なく、同時期にスタートはできなかったものの、コロナ禍で急速にIT重説の検証が行われ2021年にスタートしています。

IT重説のメリット

不動産事業者にとってIT重説には大きなメリットがあります。

  1. 重要事項説明を対面で行わなくてもよい
  2. 録画して見直すことが可能

IT重説のメリットはなんといっても重要事項説明を対面で行わなくてよいという点です。

これまでは宅地建物取引士が対面で行わなければいけなかった重説を、ビデオ通話で行うことができるため、お客様のもとに行く手間、お客様にとっては遠方から来店いただく負担がなくなり、双方にとって大きなメリットがあります。

また店舗の営業時間外に実施することができたり、前後のスケジュールを気にする必要もありません。

消費者の84.9%が”店舗に訪問する必要がない点が便利”と回答

国土交通省が実施した「IT重説を受けた方のアンケート調査」によると、IT重説が便利であると感じた理由として84.9%の方が”店舗に訪問する必要がない点”と上げています。

IT重説実施直後のアンケート結果|国土交通省

不動産会社はもちろんですが、お客様の負担の軽減を考えると大きなメリットがあるといえるでしょう。

また、IT重説を導入するメリットとして、録画することができるという点が挙げられます。

通常の対面では、録画することはありません。(お客様によっては録音しているケースもあります。)

IT重説であれば、重説を実施している内容を録画することができるので、のちのちのトラブル防止などに繋げることができます。

※録画機能の有無はIT重説時に使用するシステムによって異なるので、しっかりと機能を確認したうえでどのシステムを導入するのか決定しましょう。

IT重説のデメリット

一方でIT重説にはデメリットもあります。

  1. 顧客によってはスムーズに説明できない可能性がある
  2. 機器トラブル・通信障害など予期せぬトラブルの発生
  3. 顧客の理解度がわかりにくい

顧客によってはスムーズに説明できない可能性がある

IT重説は場所を選ばずに実施することができますが、相手のITリテラシーや場所によってはスムーズに重説が行われないケースもあります。

例えば、「相手が外出先で騒音がはいってしまった」「操作方法がわからずにもたついてしまった」など。

テレビ電話といえども、契約を行う上で重説は非常に大切なフローです。

相手方にもしっかりとした環境と、テレビ電話への理解をしてもらう必要があります。

機器トラブル・通信障害など予期せぬトラブルの発生

実際にIT重説を受けた方の中で一割強が機器トラブルが発生したとの報告がされています。

特に多かったものが下記のトラブルです。

音声が聞こえない 56.3%
画面が映らない 25.4%
インターネットが繋がらない 17.5%
端末が利用できない 3.2%
その他 47.6

その他の機器トラブル
・当社のパソコン設定に問題があり、先方の音声が最初聞こえていなかった。
・こちらの音声が聞き取りにくかったため、イヤホンで対応してもらった。
・画面が動かなかったため、場所を移動して行った。(室内から車内に)
・相手のネット回線スピードが遅く画像がスムーズにつながらなかった。
・宅建取引主任者証がぼやけてしまった。・カメラの操作に慣れていなかったため、開始に時間がかかってしまった。

IT重説実施直後のアンケート結果|国土交通省

機器トラブルは必ず発生します。

事前に機器トラブルのシミュレーションをする必要があるでしょう。

顧客の理解度がわかりにくい

IT重説はビデオカメラ越しにお客様と対話を行いますが、対面したときと比較すると、お客様への理解度が把握しにくいです。

対面の場合は、相手の表情などを見て、説明を厚くしたりなどすることができますが、ビデオ通話の場合は、相手の反応がイマイチわかりにくいため、淡々と説明を進めてしまうデメリットがあります。

また通信環境によってはタイムラグが発生し、相手にとっては質問しにくいケースもあります。

IT重説を行う際には、こうしたお客様の反応をしっかりと見て、不便のないように事前に説明、必要に応じてレクチャーする必要があるでしょう。

IT重説実施直後のアンケート結果|国土交通省

IT重説の準備をしよう

IT重説を利用するためにはまずは、下記の3つを必ず準備する必要があります。

  1. ビデオ通話ができる機器の準備(双方向のコミュニケーションが可能なもの)
  2. 通信環境の準備(インターネット)
  3. 書類一式を送付

まずビデオ通話ができるシステムを用意する必要があります。(必ず双方向のコミュニケーションが可能なものを選びましょう。)

ビデオ通話のシステムはZOOM、Skypeなど無料で利用できるものでも問題ありませんが、温室や解像度、機能を考えると不動産業界に特化したWEB会議システムがおすすめです。

不動産会社に特化したWEB会議システムであれば、IT重説に必要な機能だけでなく、顧客管理・オンライン内見など、日常業務を効率化できる機能が付帯されています。

▼当サイトおすすめ▼

  1. いえらぶCLOUD
  2. ノマドクラウド

また通信環境は非常に大切です。お客様側の通信が不安なことは仕方ないですが、契約を預かる事業者側はしっかりとした通信環境を準備しておきましょう。

※ビデオ通話ができるシステムはWEB会議システム・アプリなど、種類がたくさんあります。事前に利用するビデオ通話システムが利用できるかお客様に確認するのがベターです。

あとはIT重説に備えて契約書類一式を送付する必要があります。

【当日】IT重説やり方

準備が整ったらいよいよビデオカメラを用いたIT重説を行います。

IT重説を行う場合の流れは以下の通りです。

  1. ビデオ通話のリンク発行しお客様に共有
    ※システムによって異なる
  2. 時間になったらログインする
  3. 重要事項説明書を行う。※書類が届いていること前提
  4. お客様に書類を返送してもらう
  5. 契約締結(カギの引き渡し)
IT重説を利用する際の注意点
  • ビデオ通話のリンクは事前に当日ではなく、早い段階で共有しましょう
  • 宅地建物取引士証はわかりやすく提示する必要あり
  • ビデオ会議をしている相手が契約者本人であるか確認しましょう。
  • 書類一式はIT重説を行う前に送付しておきましょう。

取引士証の提示から確認の流れ

IT重説を実施するうえで一番のポイントは取引士証の提示です。

国土交通省のマニュアルによると下記のような流れで実施するとの記載があります。

流れ 取引士側 説明の相手方
取引士がカメラに自分の取引士証をかざす
説明の相手方が画面上の取引士証を確認する
取引士は、説明の相手方に取引士の顔と取引士証の写真が同じであることを確認してもらう。
例)この取引士証の写真と私の顔が同じ人物であることの確認をお願いいたします。
取引士の顔と、取引士証の写真を比べて、同一人物である旨を確認し、確認した旨を伝える。
例)はい、確認いたしました。
取引士は、説明の相手方に取引士証に記載されている取引士の名前登録番号などを読み上げてもらう。
例)取引士証に書いてある私の使命と登録番号を声を出して読み上げてください、
説明の相手方は、取引士の記載を読み上げて確認ができた旨を伝える。
例)名前は・・・登録番号は・・・です。
取引士は、説明の相手方が読み上げる内容が正しいことを確認する。
取引士は、説明の相手方に対して、取引士証を確認した旨を答えてもらう。
例)それでは最後に、取引士証を確認した旨を声に出してお伝えください。
説明の相手方は、取引士証を確認した旨を回答する。
例)はい。・・・さんの取引士証を確認します。

取引士証をしっかりと先方に確認してもらう必要があります。

【最後に】IT重説の実施マニュアル

最後になりますが、国土交通省が交付している「ITを活用した重要事項説明 実施マニュアル」のリンクを記載しておきます。

IT重説の相談窓口もございますので、トラブルを未然に防ぐためや円滑に契約を行う際にご活用ください。

▼国土交通省▼

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000046.html

まとめ

不動産会社だけでなく、お客様にもメリットの大きいIT重説。

これからさらにIT重説が浸透していきます。

今のうちから、IT重説に対応してお客様へ負担のない取り組みを行っていきましょう。

最後になりますが、下記のページでこれから電子契約・IT重説を行う方向けのサービスをまとめています。

興味のある方は合わせてご覧ください。

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