売主様の売却理由が相続の場合、不動産価格査定時に気をつけるべき事はありますか?|不動産仲介営業お悩み相談室

不動産業界でご活躍のあなた、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。

今回は「売主様の売却理由が相続の場合、不動産価格査定時に気をつけるべき事はありますか?」というお悩みを取り上げます。

不動産一括査定サイトからのお問い合わせの中にも「相続」を売却理由とするご相談が沢山ありますよね。

不動産営業担当者として相続案件を受託できるか否かは、非常に重要な問題です。

今回のコラムでは売主様の売却理由が相続の場合、不動産価格査定などの売却提案時に気をつけるべき事を何点かお示ししたいと考えます。

【気をつけるべき点①】 相続発生時期と相続登記時期、売却相談時期の間隔。

不動産営業担当者に「売主の売却理由はなんですか?」と尋ねると単純に「相続です」と答えられる方が大半です。

では例えば、平成29年に相続が発生(前所有者が死亡)し、平成30年に相続登記を行い、令和5年に不動産一括査定サイトから査定依頼があった案件があったとします、そのような場合は下記の疑問を感じて頂きたいのです。

  • 平成29年に亡くなった後、相続登記が一年後の平成30年になったのは何故か?
  • 平成30年に相続登記が完了した後、売却相談が令和5年になったのは何故か?

このような点を売主様から詳細にヒアリングする事により、売主様が今回、相続物件を売却しようと思い立つに至った引き金(トリガー)を知る事が出来ます。

このトリガーを把握する事こそが、売却提案を行う際の最も重要な事柄です。

【気をつけるべき点②】 相続登記未了の売却相談。

相続登記未了の場合、今回の相談者が本当に相続人なのか、他に法定相続人は何人いるのかが不明です。

このような状態では売却提案を行う事は困難です。

相談者が「私が単独で相続します」や「私が全法定相続人の代表です」などとおっしゃっても鵜呑みにしてはいけません。

この場合、あなたの会社で日頃お願いしている司法書士に相続登記を依頼するよう、相談者に勧めて下さい。

相続登記の司法書士さえ紹介できれば、実際に売りに出てくる時にはあなたの会社に媒介依頼される可能性が高くなります。

すぐに売却する予定が無い売主様であっても「売却しないでも結構ですが、相続登記は済ませておかれた方が良いですよ」と提案しましょう。

相続登記未了の売却相談では、相続登記の司法書士を紹介出来るか否か鍵になります。

【気をつけるべき点③】 相続後、兄弟姉妹が共有となった物件の売却相談。

ここまでは不動産一括査定サイトからの反響を主に想定してきましたが、相続を原因とする売却相談といえば登記受付帳(相続DM)反響も主な反響源です。

この登記受付帳を基に相続DMを送付する場合で相続後、共有状態になっている物件へアプローチする時は必ず、共有者全員へDMを送付して下さい。

例えば共有者のお名前が「田中太郎・田中次郎・田中花子」であった場合、おそらく長男であろう田中太郎様にのみDMを送る不動産会社を散見します。

このような送付方法では案件が前に進みかけてもその不動産会社は「兄貴が連れてきた不動産屋さん」との印象を他の共有者に持たれてしまい得策ではございません。

相続後、兄弟姉妹が共有となった物件の売却相談では、共有者の一部にのみ肩入れしているとの印象を持たれない工夫が必要です。

【気をつけるべき点④】 登記原因に「推定」などの文言が入っている場合。

登記簿(全部事項証明書)の相続登記の登記原因に次のように原因日付が表記されている場合は注意が必要です。

「推定令和〇年〇月〇日相続」

通常は「令和〇年〇月〇日相続」と前所有者が死亡した日を記載しますが、ここは戸籍の記載どおりとするのが原則です。

従って、前所有者が孤独死などで亡くなり正確な死亡年月日が分からない場合は、このような登記原因日付で記載される事があります。

営業の実務上で考えますとこのような登記が為されている物件は、心理的瑕疵に注意を払う必要が生じますので気をつけて下さい。

売主様の売却理由が相続の場合、不動産価格査定などの売却提案時に気をつけるべき事の主なものをご紹介させて頂きました。

あなたが相続案件を取り扱われる際の参考になさって下さい。

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