
不動産業界でご活躍のあなた、こんにちは。
株式会社レコの梶本幸治です。
今回は「営業幹部(課長・店長クラス)の管理職研修では、どのようなメニューを用意すればよいでしょうか?」というお悩みを取り上げます。
組織というのは誰が抜けても回る仕組みにする必要があるため、管理職への研修は重要です。
管理職研修を後回しにしている会社ほど、市況が変わった瞬間に組織が崩れるものですからね。
営業課長や店長クラスといえば、営業担当者を率いて最前線で戦う指揮官ですから、このクラスの幹部が育ってくれると会社としても助かります。
不動産売買仲介会社を例にとって、このクラスの人物像を考えると次のようになるでしょう。
高卒なら18歳、大卒なら22歳で不動産業界に入り、営業現場で8年前後の実務経験を積んだ後、26歳から30歳くらいで現場を任されることになり、自分自身もプレイングマネージャーとして年間6,000万円程度の仲介手数料を稼ぎながらも、部下である営業担当者を指導する若きリーダー。
すごくカッコいいですね。
新築分譲、中古一戸建て、土地、区分マンション、収益物件など、物件種別に関わらず扱える取引経験を積み、商圏内の相場にも精通し、不動産関連の法律や税金についても基本的な知識を持つ若きリーダーに率いられた営業部隊は、さぞ業績を上げてくれることでしょう。
まあ、理想的な営業課長像や店長像はこんな感じでしょうが、現実は少し異なります。
皆さんご存知の通り、今の不動産市況は1990年頃からのバブル崩壊や、2008年頃のリーマンショックの後遺症から完全に立ち直り、ここ10年は多くの不動産価格指標で上昇傾向が続いています。
つまり、ここ10年以内に不動産業界に入って来られた方、特に都心部を商圏とされている方は、「価格が上がっている不動産市場しか知らない」営業が増えています。
これ自体は別に良いことでも悪いことでもないのですが、このような市場にあっては、業績トップをひた走ってきた営業担当者といえども、次のような方が増えており、この点が問題なのです。
●タワーマンションを外国人に購入してもらい、1件の両手成約で600万円以上の手数料を稼ぐ営業担当者。
●相場も成約事例も物件査定の方法を知らず、単にAI査定書を提出するだけで売主様への報告を済ませている営業担当者。
こんなやり方でも年間6,000万円~1億円くらいの業績を上げている営業担当者はたくさんいらっしゃいます。
まあ、現場の営業時代は業績さえ上がれば何でも良いのでしょうが、このように市場に恵まれて業績を上げた方が、それを自分の実力だと勘違いしたまま営業課長職や店長職に就くと、大変なことになると私は思っています。
つまり、このように良い時代しか知らない方が課長職・店長職に就いている場合は、不動産マーケティングの基本を研修で学んでいただく必要があるでしょう。
しかし、「良い時代しか知らない」のは彼ら彼女らの問題ではなく、仕事で成果を出していることは間違いないのですから、その功績を否定するような研修は厳に慎むべきです。
従って、20代後半から30代半ばの若手管理職研修では、感情論や精神論を廃して、淡々と基本的な不動産マーケティング手法やマネジメント手法を学んでもらうようにされてはいかがでしょうか。
例えば、次のような内容です。
・商談時の発話割合習得やヒアリング能力向上を目的とする営業ロープレ研修。
・人口20万~50万人程度を商圏とした場合の仕入れ手法(チラシ・DM・紹介)研修。
・不動産ポータルサイト反響からの成約率を10~15%で安定させるための買付営業研修。
・部下の営業成績低迷者に怒鳴り散らさないためのアンガーマネジメント研修。
など。
ここ10年ほど、不動産の市況は悪くはありませんでした。
むしろ、恵まれすぎていたと言っていいかも知れません。
値段は上がり、お客様は動き、下手を打たなければ業績は積み上がってきました。
しかし、それが「不動産営業の力」なのかと問われると、少しだけクエスチョンマークがついてしまうでしょう。
市況が反転した瞬間、店舗の業績が止まり、課長や店長が「部下を叱る」以外の打ち手を持たなかった場合を想像すると、背中に寒いものを感じます。
このような状況を勘案すると結局のところ、営業幹部の研修に必要な事は基本の見直しだと私は思います。
市況が良いうちに管理職を鍛える重要性を今、あなたの会社でも真剣に考えてみて下さい。
今後、同じ課題に直面する会社は確実に増えるでしょう。
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株式会社レコ
不動産業専門コンサルタント
梶本幸治
本稿は、株式会社レコ 梶本幸治が不動産売買業の集客・営業・仕入・買付・教育戦略などについて独自の思想と実務経験に基づき執筆した著作です。
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