「今月も、アパートの空室が2部屋埋まらなかった。」
「昨日も大家さんから、空室状況の問い合わせがあった…」
不動産管理会社のみなさん、今月もお仕事お疲れ様です。
みなさんの悩みを少しでも軽くしたいと思い、この記事を書きました。
今回の記事を読むことで得られるメリットは、次のとおりです。
・外国籍の入居者を受け入れる際に、気を付けるべきポイントがわかる
・生活習慣が異なる外国籍の入居者とのトラブルを未然に防ぐことができる
大家さんの空室の悩みを解決し、外国籍の入居者とのトラブルを回避するコツをわかりやすく解説します。
「毎日、一生懸命にお仕事をしている」あなたのお役に立てれば幸いです。
1.礼金・更新料等、日本固有のルールを説明する
日本固有の賃貸借のルールとして、外国籍の方が理解しにくいものを3点あげます。
・礼金
・更新料
・敷金
1-1 礼金
外国では、入居時に敷金を支払いますが、「礼金」を必要とする国はほとんどありません。
大家さんにお礼の意味をこめて支払う礼金、外国籍の方は不思議に思うでしょう。
賃貸借契約時に十分に説明する、もしくは大家さんと相談の上、「礼金なし」で対応してもらいましょう。
1-2 更新料
「更新料」も礼金と同様に、日本固有のルールです。
外国籍の方は「契約を延長して家賃を払い続けるのだから、それとは別に更新料も支払うのはおかしい」と不満に思うでしょう。
こちらも礼金と同様に、賃貸借契約時に十分な説明を要します。
さらに大家さんから同意を得られれば、「更新料なし」の条件にしてもよいでしょう。
最近の傾向として、そもそも「礼金」「更新料」をもらわない大家さんも増えています。
その場合には、特に問題は生じません。
1-3 敷金
外国でも日本と同様、「敷金」を入居時に支払います。
しかし、退去時の敷金の返還方法が異なるのです。
日本では、退去時にクリーニング代などを敷金から差し引き、残りを入居者に返還します。
外国では、退去時に敷金が全額、返還されるのが通常です。
トラブルを避けるためにも、「敷金は、退去時にクリーニング代などを差し引いた残りが返還される」という日本固有のルールを説明しておきましょう。
☞トラブルを避けるポイント
礼金・更新料:外国にはないルールなので、賃貸借契約時に十分説明する
もしくは、大家さんの同意を得て「礼金なし」「更新料なし」にする
敷 金 :残金の返還方法について、日本固有のルールを丁寧に説明する
2.保証人がつけられる入居者に限定する
保証人には、同郷の外国人ではなく、「日本人」になってもらいましょう。
入居審査にも有利ですし、大家さんも管理会社のみなさんも安心でしょう。
2-1 保証人をどのように探すのか?
労働者の場合、勤務先に相談してもらい、上司や人事部の担当者にお願いしてもらいましょう。
留学生の場合は、学校の教師や事務の担当者にお願いするのが一般的です。
2-2 保証人が見つからない場合
保証人が見つからない場合には、保証会社を利用しましょう。
外国人専門の家賃保証会社を2つあげておきます。
・株式会社グローバルトラストネットワークス https://www.gtn.co.jp/
・ジャパンハウジングトラスト株式会社 http://jhtrust.co.jp/
☞トラブルを避けるポイント
保証人には、「日本人」になってもらう
保証人が見つからない場合には、外国人専門の家賃保証会社を利用する
3.原状回復義務についてしっかり説明する
次に問題となるのが、退去時の対応です。
外国籍の入居者は、日本人よりもお部屋の使い方に問題のある方が多いように思います。
また、日本では「原状回復」や「損傷」の程度を非常に厳しくチェックします。
少しの汚れや傷でもクロスの全面を貼り替えたりします。
この両者のお部屋の使い方に関する認識の違いが、大きなトラブルに発展する原因となっています。
将来のトラブルを防ぐためにも、退去時の「原状回復義務」についての説明は十分に行いましょう。
☞トラブルを避けるポイント
賃貸借契約時に、原状回復義務の説明をしっかりと行う
4.禁止行為を通常よりも徹底する
外国籍の方に入居してもらう場合には、禁止行為の説明を徹底することも重要です。
賃貸借契約書の「禁止行為」の項目を増やすことも考えておきましょう。
外国籍の方に見られるトラブルは次のとおり。
・母国語で大声で話す
・深夜複数の知人を部屋に入れ、騒ぐ
・ゴミ出しのルールを守らない
・退去時に、私物やゴミを大量に放置する
・1名での契約のはずが、いつの間にか同居人と住んでいる
参考までに、過去の私の体験談を記しておきます。
中国からの留学生が、1Kのアパートから契約満了後に退去
外国籍の入居者は、私自身初めての担当でした
留学生が退去した後のお部屋を見て、“あぜん” ……
お部屋のクロスがボロボロなのは、ある程度覚悟していましたが、
「ゴミなのか私物なのか」よくわからない残置物が、大量に放置されていました
連絡先に電話をしても、日本語があまり通じずに、最終的な解決に1週間かかりました…
「禁止行為」については、「備えあればうれいなし」の発想が必要です。
あとで面倒なことにならないためにも、しっかりと対策を立てておきましょう。
☞トラブルを避けるポイント
「禁止行為」について、賃貸借契約時に十分説明する
必要であれば「禁止行為」について、項目を追加して設定する
共用部分で大声で会話してはならない
退去時に、ゴミや私物を放置してはならない
5.生活習慣の違いによるトラブルを未然に防ぐ
外国籍の方を入居者として迎える場合、彼らの生活習慣も考慮しなければなりません。
例えば、次のようなことが考えられます。
・料理の際、使用した油をそのままシンクへ流してしまう
靴のままお部屋で生活すれば、フローリングの破損等につながりますし、退去後のハウスクリーニング代もかかり、トラブルが生じかねません。
また、油を直接シンクへ流せば、排水管の劣化や詰まりの原因になります。
これらのトラブルを防ぐためにも、先ほど述べた「禁止行為」に記載して、注意をうながすことも必要です。
さらにトラブルを未然に防止するため、国土交通省が作成している「あんしん賃貸支援事業と外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」という冊子を利用するのもおすすめです。
このガイドラインは、以下の6か国語で作成されています。
・英語
・韓国語
・中国語
・スペイン語
・ポルトガル語
主な内容は次のとおりです。
・外国籍の方に対する受付、接し方、身元確認の方法等
・注意すべきことQ&A
・各自治体のサポートシステムの紹介
・入居申込書・重要事項説明書・賃貸住宅標準契約書等のひな型(6か国語すべて有り)
全130ページ。カラーで非常に見やすくなっています。
国土交通省のホームページからダウンロードできるので、管理会社のみなさんもぜひ一度目を通してみてください。
余談ですが、外国籍の方とのコミュニケーションには、ソースネクスト社の自動翻訳機「ポケトーク」があると助かります。
賃貸借契約時の説明や、入居後のトラブル解決時に役立つと思います。
☞トラブルを避けるポイント
・「あんしん賃貸支援事業と外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」の利用
上記のことを実践し、トラブルを未然に防ぎましょう
6.まとめ
「空室に悩んでいる大家さんの力になりたい。」
「ただ、トラブルが生じるような入居者はお部屋に入れたくない。」
このような悩みを抱えている、不動産管理会社のみなさん…、
外国籍の方々に入居してもらうことが、解決策の一つになります。
ただ、何ら対策をせずに外国籍の方々を迎えるとトラブルが発生し、結局は、大家さんに迷惑をかけ、不動産管理会社のみなさんも大変な思いをするだけです。
そういったトラブルを未然に防ぐ方法を、今回は記事にしてみました。
あなたの参考になればうれしいです。