レオパレス21の全体の売上と利益
直近3期および2021期3Qの売上高と営業利益は以下のとおりです。
売上高は前年同期比約203億円のマイナス、営業利益は前同期比プラス約62億円の結果でした。
計画比ではそれぞれマイナスとなっており、2021期計画の修正を余儀なくされています。
四半期ごとの売上高は3Qで落ち込みがありますが、営業利益がわずかずつ上昇しています。
要因は借上げ賃料の見直しと人員削減によるコスト低減策によるものです。
借上げ賃料の見直しについては、相場賃料との乖離がある物件に関してオーナーとの交渉により適正化を図っているとしていますが、交渉の進捗状態などは不明です。
レオパレス21のセグメントごとの売上
セグメントは2021期より賃貸事業に1本化していますが、2020期までとの比較として2021期3Q時点でのセグメント内訳を掲載します。
レオパレス21の短期的な戦略
短期的な視点でまず注目したいのが、2021年3月期の業績予想修正です。
2020年6月発表の2021期業績予想を次のとおり修正しました。
・営業利益:△98億円→△346億円
前回リポートのとおり2020年11月2日付けで約572億円を資金調達し、2021期3Qでは債務超過を脱しました。
業績予想の修正は、新型コロナによる企業での異動抑制が影響しており、法人契約の伸び悩みが原因です。
また入居率低迷の主たる原因であった「施工不備問題」の解消は、2021年1月末時点で工事完了率21.9%となっており、不備の解消がすべて終わるのは2024年末としています。
2021年1月末時点での入居率は78.16%であり、修正計画の前提となっている3月末時点の入居率84.5%の達成に注目したいところです。
下図は全国平均と首都圏・近畿圏の入居率推移ですが、4Qで上昇し計画達成すると前年比微増となります。
※参考文献
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/2021/3Q/kessan_faq.pdf
https://www.leopalace21.co.jp/ir/library/pdf/2021/3Q/daisan_ppt.pdf
レオパレス21の長期的な戦略
レオパレス21の当面抱える課題は「施工不備物件の改修」であり、全棟の改修が完了し入居率が2018期の94%水準まで回復するまでは、先行き不透明感は否めません。
現在の代表取締役社長宮尾文也氏に交代してまもなく2年となりますが、社内の構造改革がどの程度進んでいるのか注目したいところです。
また新型コロナの影響は、企業の異動や新規採用の制限に加え、入居比率の高かった外国人留学生の減少という形で、同社にとっては入居率改善をさらに遅らせる原因ともなっています。
2021年5月には2022期の計画が発表されると思われ、どのような戦略を描くのか注目です。
レオパレス21の最近のトピックス
2021年2月2日、不要品の買取査定サービス「おいくら」を運営する株式会社マーケットエンタープライズと業務提携し、レオパレス21入居者と店舗来店者を対象とした、特典付き不要品買取促進サービスに乗りだすこととしました。
「おいくら」は全国に約1,000店舗のリサイクルショップを展開する、全国でも最大級のリユースプラットフォームです。
レオパレス21約57万室の入居者による需要も期待でき、資源リサイクルが適切におこなわれる環境づくりに寄与したいとしています。
※参考文献
https://www.leopalace21.co.jp/news/2021/0202_3231.html