
今年の繁忙期は「スピードの速い」仲介会社が売上を伸ばしているような印象だ。
この「スピードの速さ」は、「ユーザーの見極めをどれほど速く行うか」という意味である。
実際、賃貸営業では問い合わせをしてくるユーザーの心理を正確に把握することは、極めて重要な要素である。
物件を問い合わせる理由はユーザーによって異なり、単なる興味本位で問い合わせをする者もいれば、すでにその物件に決める意向が強い者もいる。
問い合わせ内容や物件の種類からユーザーの検討具合を推測し、それに応じた営業手法を取ることが、成約率を向上させる鍵となる。
繁忙期に優秀な営業メンバーが実践している「問い合わせした物件の顧客の検討具合で営業手法を変える方法」とは?
問い合わせ時の熱量を見極める重要性
ユーザーの問い合わせ時の温度感、すなわち「どれほど本気で物件を探しているのか」を正確に見極めることで、適切な対応が可能となる。
問い合わせをしてきたからといって、必ずしも契約意欲が高いわけではない。
情報収集段階の者、比較検討中の者、またはすでに決定段階に入っている者など、問い合わせユーザーの状況はさまざまだ。
そのため、初動の対応時点でどの段階にいるのかを見極めることが営業成功のポイントとなる。
ユーザーの検討状況ごとの営業アプローチ
ユーザーの問い合わせ物件に対する検討状況を把握し、それに応じた営業手法を取る必要がある。
以下、それぞれの状況に応じた具体的な対応策について述べる。
1. ヒアリングを強化する
問い合わせ時点で、なぜその物件に興味を持ったのか、どのような条件で探しているのかを正確に把握することが求められる。
ヒアリングが不十分であると、ユーザーの本当のニーズを把握できず、的外れな提案をしてしまう可能性がある。
例えば、「駅から近い物件を探している」というユーザーがいた場合、物件の周辺環境や利便性に重点を置いた情報提供を行うことで、より具体的な提案が可能となる。
また、ユーザーが問い合わせた物件以外にも適した物件がある場合、その選択肢を提示することで、より幅広い提案が可能となる。
ただし、あまりにも多くの選択肢を提示すると逆に迷わせてしまうため、ヒアリングを通じて的確な提案を行うことが求められる。
2. 検討確度の高いユーザーへの対応
すでに「この物件に決めたい」と考えているユーザーに対しては、迅速かつ的確な対応が求められる。
この段階のユーザーに対しては、テストクロージングを実施し、物件に対する懸念点を払拭することが重要である。
テストクロージングとは、契約を前提とした質問を行い、ユーザーの不安要素を明確にし、それを解消していく手法である。
例えば、「この物件の設備や周辺環境は満足されていますか?」といった具体的な質問を投げかけることで、ユーザーの気になる点を引き出し、適切なフォローを行うことができる。
また、検討確度の高いユーザーは、契約に対するスピード感を求めていることが多いため、物件の内覧の手配を迅速に行うことが重要である。
特に人気のある物件は競争率が高く、他の候補者に先を越される可能性があるため、積極的にクロージングを行うことも有効である。
3. 検討確度の低いユーザーへの対応
一方で、「まだいろいろと検討したい」と考えているユーザーに対しては、すぐに契約を迫るのではなく、適切なフォローを行うことが求められる。
この段階のユーザーに対しては、改めて他の物件を提案することで、選択肢を広げることが重要である。
例えば、問い合わせた物件が予算オーバーであった場合、「同じエリアで予算に合う物件」をいくつか紹介することで、ユーザーの関心を引き続き維持することができる。
また、希望条件が定まっていない場合には、「今の市場の相場感」や「人気のあるエリアの動向」などの情報を提供することで、ユーザーの検討材料を増やし、徐々に成約に向けた流れを作ることができる。
加えて、検討期間が長引くユーザーに対しては、定期的なフォローを行うことが重要である。メールや電話を活用し、最新の物件情報を提供することで、ユーザーの意欲を維持しながら、最終的な成約へとつなげるアプローチが求められる。
賃貸物件の問い合わせをするユーザーは、それぞれ異なる検討段階にあるため、一律の対応ではなく、状況に応じた営業手法を取ることが必要である。まず、初動の
ヒアリングを強化し、ユーザーの検討状況を正確に把握することが重要である。そのうえで、
● 検討確度の低いユーザーには、適切な情報提供とフォローを行いながら、契約意欲を高める
といったアプローチを取ることで、成約率の向上が期待できる。
営業の成功は、ユーザーの心理を的確に読み取り、適切な対応を取ることにかかっている。
問い合わせがあった段階で、いかにユーザーのニーズを見極め、最適な提案ができるかが、成約へとつなげるためのカギとなる。
繁忙期も残り僅かである。是非、実践してみてほしい。
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