ユーザーにストレスを感じることなく重要事項説明を行う際の注意ポイント 【住宅賃貸契約編】

最近は、多くの賃貸仲介会社がオンラインで重要事項説明を実施するようになった。

その浸透のスピードたるや、この数年で一気に加速した印象だ。

たしかにユーザーからすると物件の内見などはまだしも、事務的な手続きはオンライン動画などで済ませても問題ないと感じるユーザーが多いだろう。

普通に生きていくなかで住民票などの必要書類と印鑑をカバンに入れて、貴重な休日にどこかの事務所に赴く機会は最近では殆ど無くなっている。

そういう意味でもオンラインでの契約手続き(重要事項説明)に対して、浸透しない理由を探すことはとても難しい。

さて、重要事項説明では当然取引士が「記載しなければならないこと」を明確に記し、「伝えなければならないこと」をしっかり伝えなれければいけない。

これは宅建業法で規定されているし、少しネットで調べるとすぐにその記載内容等を把握することができる。

今回この記事ではこうした重説の記載内容の紹介ではなく、その内容を「わかりやすくユーザーに伝える方法」について紹介してみたい。

勿論、重要事項説明書を単純に端から端まで文字通り読み上げることで事務的には事足りるが、せっかくならばユーザーに「わかりやすく」「親切」に伝えた方が良い。

この伝え方によってユーザーが抱く不動産会社の印象は、プラスにもマイナスにもなるのだ。

重要事項説明を行う際の注意ポイント 【住宅賃貸契約編】

最初に所有時間と目的を話す。

まず重要事項説明の冒頭時間で、それが「どれぐらいの時間を要するのか」の事前説明、そして、「重要事項とは、部屋を契約する際に確認しなければいけない重要な事項」だという本来の目的を伝える。

一般的には重要事項説明書は、現在であれば20分程度が平均的な時間だろうか。

所有時間と意義をユーザーが理解するだけで、彼らの心理的ハードルは大きく下がる。

登記簿の存在を知らないユーザーが多いので、登記簿の仕組み自体を簡単に説明する

重説を読み進めていくと「登記簿に記載された事項」、またそれに付随する「抵当権、根抵当権に関する事項」の説明箇所にぶつかる。

いわゆる競売時の所有権移転登記の際の退去要請の件である。

そもそも若い単身ユーザーは登記簿というものの存在すら知らないユーザーが圧倒的に多い。

その時点で、抵当権云々の話をされても全く意味が理解できないだろう。

「日本の土地、建物は、法務局にある登記簿で管理されています。その登記簿を調べれば、誰の土地か建物か調べることができます」というように、そもそもの原則的な話を事前に伝えたほうが理解されやすい。

法令上の制限

賃貸借契約の重要事項説明で法令上の制限について伝える際に「どのような制限があるか」をベースに伝えた方が良い。

実際、この法令上の制限を細かく読み解くと「所有権の移転などの不動産取引の行為を行う際に、法令上指定されているエリアに取引物件が該当する場合に、関係各所の承認が必要な場合ある」ということがわかる。

当然、ほぼ賃貸借契約には関係がない話である。

まずわかりやすく「不動産の取引において法令上の制限があり、取引に各所の承認が必要なケースがありますが、あまり今回の賃貸借契約には関係がないかもしれません」と伝えてユーザーに安心して頂いた方が良いだろう。

災害系は纏めて伝える

造成宅地防災区域、土砂災害警戒区域、津波防災警戒区域などはまとめて伝える。
「災害に関しては、全て警戒区域外ですので、ご安心ください」(勿論、全て警戒区域外の場合)と伝える。

またその流れで「水害ハザードマップの有無」を伝える。
とある地域によっては、多くのエリアが洪水の危険性「有り」となっているエリアもある。(実際、東京がそうである。)

ユーザーの不安を煽ってしまわないように、添付されたハザードマップを画面に投影しながら説明する。

そして「避難勧告等が報道された場合は、速やかに避難ください」と伝える。

ただ、そのまま「洪水は、有りです」とドライに伝えると、ユーザーは不安になるだけだ。

期間内解約の重要性を伝える

期間内解約の通知義務がいつからなのか。

つまり1ヶ月前解約なのか、2ヶ月前解約なのか。

この内容は、「重要なので覚えておいてください」と伝える。

実際、ユーザーからの能動的なアクションに結びつく条項はこの期間内解約ぐらいである。

しっかりと記憶に留めてもらうように伝えることが重要だ。

貸主からの契約解除事項は、「よほどのことを借主が起こした場合のみ」と伝える。

勿論、事前に確認が必要であるが、貸主からの即時契約解約事項は、よほど借主が滞納や、信頼関係を崩した意外は適用されない。

このあたりも伝えておく必要があるだろう。

「賃料滞納や、周りの方にご迷惑をかけた場合に、大家さんから即時解約されることがあります」と付け加えたほうが良いだろう。

特約事項は、細かく確認する

重要事項説明は当然記載事項が決まっているので、特段その内容でイレギュラーなことは起こらない。

しかしそのかわり、「特約事項」には、さまざまな特徴的な内容が記載されている。

この特約事項や特記事項は、「しつこいぐらい」確認しなければならない。(管理会社が重説作成し、仲介会社がその書式を使用するケース)

もし不明点が発生した場合は、管理会社に確認を行う。

興味深いもので、こちら側が「?」の未解決な状態のままでユーザー対応をしようとすると、ほぼ間違いなくユーザーはその「?」の箇所を指摘する。

耐震診断や石綿使用調査

こちらも賃貸物件では、ほとんどが未調査の物件になるだろう。

当該物件が新耐震基準か否かを伝えることと、そして実際のところ、新耐震の場合は調査の必要性がない旨を伝える。

いっぽう旧耐震、かつ未診断の場合もその旨を伝えておく。

当たり前の話だが、このあたりも重要事項説明書の記載内容だけをただ棒読みに読むと、ユーザーは不安になるだけなのだ。

早口にならないように注意する。

よく見られるが、契約数をこなしていくとどうしても契約手続きがおざなりなり、読み上げる内容に対して早口になりがちになる。

これは、ユーザーからすれば非常に心象が悪い。

たしかに退屈な内容かもしれないが、「便宜的に実施している」と捉えられるのと、「しっかりと誠意をもって実施している」と捉えられるのとでは大きな違いだ。

重要事項説明や契約手続きをしっかり対応することは、仲介業務の義務である。

しかし、なによりもその際の不動産会社の契約対応をユーザーはしっかりと見ている。

細かいフォローや親切な対応は、ユーザーにその企業のイメージを定義付ける。

重要事項説明もただ読み上げるだけではなく、「わかりやすく」「丁寧に」対応しなければならない。

今、いちど自社の契約手続きの状況を見直してみても良いかもしれない。

ちなみに上記のように重説を丁寧に行うように実施、改善した不動産会社では、入居後のクレームがかなり減ったそうだ。

それにより生産性も大きく上がったとのことである。

意外とこうした細かいところに業務効率化のヒントは隠れているのかもしれない。

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