不動産会社の最適な新人研修のカリキュラムとは?

4月のこの時期は多くの会社で新人研修が実施されている。

当然、不動産業界も言わずもがなだ。

ちなみに私自身、この時期は各社様の社外講師として呼ばれることも多い。

面白いもので、各社の研修内容のオーダーは様々だ。

具体的な業務の研修オーダーもあれば、ビジネス全般に必要なスキル知識取得の研修のオーダーなどもある。

外部から各社の研修内容を見ると、各社によって新人研修の内容は様々である。

数日の座学で終わる研修もあれば、3ヶ月みっちりと研修を実施している企業もある。

そこで今回は、成長している不動産会社が実践している新人研修の内容を紹介したい。

既に新人研修をスタートしている企業も多いかと思うが、今後の為に是非参考にして頂きたい。

座学と実務研修のバランス

多くの不動産会社では座学研修を終えたのち、実務研修でそれぞれの部署の業務を経験し本配属を行う。

その期間は1〜3ケ月程度だろうか。

新人育成が上手くいっている不動産会社は、座学の研修に割く時間が圧倒的に多いように感じる。

座学の割合は7割程度、実務研修が3割程度の印象だ。

逆に座学研修が少なく実務研修をメインで行っている不動産会社の新人のかたは、全体的に成長するまで時間を要している傾向が強い。

なるべく早く戦力化させるために実務を優先したいとは思うが、ぐっと堪えて座学の時間を確保しても良いかもしれない。

座学研修の内容とは?

新人研修を上手く行っていっている不動産会社が実施している座学研修の内容は大きく3つのパートに分けられる。

1.不動産業界の理解と不動産の基礎的な知識
2.自社のサービスと業務内容
3.ビジネスマナー、基礎的なビジネス知識

まず1つ目の「不動産業界の理解と不動産の基礎的な知識」では、業界全体の縮図や不動産業務全体の基礎的な内容を理解する。

自社と関係のない事業でもその事業を理解することで、自社の事業を俯瞰的に理解することが目的だ。

たとえば、仲介業をメインとしている不動産会社でも、買取再販業や管理業などの業務内容を理解する。

ここで得られた知識が将来の商談などでボディブローのように効いてくる。

またこの研修時には、資格取得の重要性も説いておいたほうが良いだろう。

2つ目の自社サービスと業務内容では自社の事業内容の理解と収益構造、そして細かい業務内容をレクチャーする。

座学の時間配分としては、このパートに多くの時間を割く企業が多いようだ。

各業務の細かいポイントを理解し自分の配属以外の部署の業務を理解することで、仕事の理解を早く進めることが目的だ。

また、ここでは各部署の責任者が講師を担当する企業が多い。

実務的な研修と同時に、各部署の上司の顔を覚える絶好の機会となる。

最後のビジネスマナー、基礎的なビジネス知識では、社会人としての基礎的な知識や行動を教えるだけではなく少し応用的なビジネススキルを教えることが多い。

例にあげるとすると以下のような研修を実施している。

・ビジネスマナー研修
・ロジカルシンキング研修
・財務研修(財務3表の読み方)
・基礎的なマーケティング研修
・コンプライナンス研修

自社で行うことが難しい場合は、外部講師を利用しても良いだろう。

こうした内容の研修は、実際に業務を開始した場合になかなか受講する機会は少ない。

また個人的にも、このような内容の研修を新人時代に受講していた不動産会社のメンバーのポテンシャルは、受講していない不動産会社の新人よりもかなり高いように感じる。

実務研修の注意点とは?

各社によって実務研修は様々だ。

OJT方式で先輩社員と同行させるケースもあれば、ジョブローテーションを行い短期間で多くの部署を経験させるケースもある。

やり方は様々だが、新人育成が上手くいっている不動産会社では「日報」の報告と確認を徹底して行っていることが共通点としてあげられる。

毎日の業務をしっかりと日報として報告させるのだが、その際に

・日常の業務内容
・行動内容
・成果
・所見

を項目ごとにしっかりと報告させる。

またその日報を人事研修担当と上司がしっかりとチェックする。

この日報の提出により、日常の報告業務の習慣化を図る。

会社としては、各新人メンバーの心理状態を把握することもできる。

キャリア面談

新人研修の最終には人事担当、もしくは上司と今後のキャリアや方向性についての面談を行う。

実際、新人研修を経験して、理想と現実のギャップを感じる新人も一定数いるだろう。

その際に、そのギャップを埋めないまま本配属になった場合に、中長期的に会社との溝が生まれてしまう。

改めてしっかりと新人研修の最後にはキャリア面談を行うことが重要だ。

以上が新人育成が上手くいっている不動産会社の新人研修の内容だ。

なかなか全てを実行するのは大変かもしれないが、是非今後の新人研修にぜひ参考にして頂ければ幸いだ。

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