持ち家志向と賃貸志向どちらが多いか住宅意識を考察する

総務省の統計調査「住宅・土地統計調査」では、30歳代~50歳代で賃貸住宅を志向する傾向が大きくなっていることがわかりました。
持ち家志向が多いと考えられていた日本ですが、変化が生じているようです。
ここではこのような傾向から将来の賃貸需要の変化と、共有する側に生じる変化について考察してみます。
さらに今後、望まれる住宅供給システムについてもその姿を予想します。

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持ち家か賃貸か

「持ち家か賃貸か」というタイトルは住宅金融公庫の住宅ローン制度が開始され、マイホームという概念が定着して以来、機会があるごとに語られるテーマです。
35年間の長期返済が可能であり、賃貸住宅の家賃とほぼ同様の返済額で購入できる中古住宅やローコスト住宅が商品化され、持ち家比率が6割を超える状態を維持してきています。

一方賃貸住宅の場合の維持管理責任は賃貸人にあり、住宅設備の耐用年数に応じた交換や、定期的なメンテナンス工事と突発的な故障なども、賃貸人の負担で修繕され賃借人の負担はありません。
生涯における住居費を計算すると家賃設定額によっては、賃貸のほうが低コストになるケースも多くあります。
「持ち家か賃貸か」はそれぞれの人生における価値観や、夢や目標といったモチベーションに係わる要素にもなり得るものです。

持ち家志向と賃貸志向の現状

では現在の持ち家志向と賃貸志向の状況について確認してみましょう。
まず客観的なデータから現状を把握し、つづいてその背景について考えてみます。

データからみる持ち家志向と賃貸志向

住宅ローンの金利がほぼゼロに近い今日では、圧倒的に持ち家志向が強いのではと思われますが、下のグラフは1988年と2018年における「住宅・土地統計調査」のデータから、持ち家に暮らす世帯主と借家に暮らす世帯主の比率を表したものです。

持ち家,賃貸,どちらが多い

出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」

全体の比率では30年間の経過によってもあまり変化はありません。
しかし年代別に見ていくと30代~50代では借家の比率が上昇しています。
とくに30代は64%と半分を大きく超えており、30年間では約1.3倍の上昇となりました。
次に新設着工戸数の推移を確認してみます。

持ち家,賃貸,どちらが多い

出典:国土交通省「新設住宅着工戸数の推移」

1999年からのデータですが、着工戸数の借家比率は「住宅・土地統計調査」のデータによる全体借家比率とほぼ同じ水準であり、30歳代の賃貸志向の上昇は注目すべきポイントと考えられます。

30歳代の賃貸志向が上昇する理由

賃貸を選択する理由には住居コストの低さもありますが、「職住接近」のために利便性を優先し都心のマンションを賃借する暮らし方が多いことも理由のひとつと考えられます。
高額なマンションはセキュリティの高さや、充実した共用施設が大きな魅力であり、都心からすこし離れた郊外での持ち家を選択するよりも豊かな生活を送れるメリットがあるのでしょう。
また賃貸であれば住み替えも容易であり、ライフスタイルの変化や働き方の変化などにも、柔軟に対応できるフレキシビリティを優先する考え方もあるでしょう。
ほかには生涯未婚率の上昇により、持ち家を志向する積極的理由が少なくなったことも考えられます。

このような理由からは、今後10年経過すると40歳代の賃貸志向も上昇することが当然であり、全体的な持ち家と賃貸の比率が将来的に変化することも予想されるのです。
もうひとつ要因として考えられるのは、終身雇用制度が崩壊し雇用環境が流動化していることもあげられます。
非正規雇用が増加し持ち家を志向しても住宅ローンが組めないなど、制度的に賃貸を志向せざるを得ないケースも増えているのでしょう。

賃貸志向に対応した住宅供給政策

日本の住宅政策をふり返ると次のような俯瞰が成り立ちます。

・1919年 都市部において社会問題化した住宅難の対応として賃貸住宅の充実を図る施策がおこなわれた
・1921年 住宅組合法の制定により持ち家政策を開始
・1924年 関東大震災により生じた住宅不足に対応するため同潤会の活動が賃貸・持ち家でも実施
・1941年 住宅営団法・貸家組合法の制定により、太平洋戦争中の住宅不足に対応する賃貸住宅の充実
・1950年 戦後の住宅不足に対応するため住宅金融公庫法が制定
・1951年 公営住宅法により公営賃貸住宅の充実を図る
・1955年 日本住宅公団法により公営賃貸と公営分譲住宅の事業開始
・1956年 民間初の分譲マンション竣工
・1991年 借地借家法制定
・2004年 日本住宅公団が独立行政法人都市再生機構に変更
・2007年 住宅金融公庫が住宅金融支援機構に変更、住宅ローンのメインプレーヤーが民間金融機関の住宅ローンになる

およそ100年間の歴史で前半は「官」主導でおこなわれた住宅政策は、後半は「民」が高度経済成長の環境下において、住宅産業を発展させて今日までつづいたことがわかります。

民間主導の住宅供給システム

成熟経済期を迎えている日本が住宅政策において、かつてのように財政出動による住宅供給増は図ることはむずかしくなっています。
およそ60年といわれるマンションの建替えサイクルは、民間資金によらざるを得ません。
賃貸住宅を供給する資本は法人・個人の事業者に期待するのですが、空室率の増加や競合物件の増大により賃貸事業の環境はますます厳しくなることが予想されます。

賃貸物件の供給は投資の一面があります。
投資にはリスクがつきものであり、事業者や投資家のリスク分散としてポートフォリオの効果が注目されます。
不動産証券化がはじまり小口投資が可能になりました。そのため個人投資家レベルでのポートフォリオは割合簡単に組めるようになりました。

また投資事業における役割分担が今後求められます。
所有と経営を分離する考え方は不動産事業でも有効な方法であり、経営を担うアセットマネジメントは重要なものになっていくでしょう。
今後の賃貸業界を考えた場合、賃貸業を担う法人・個人に加えて、小口投資家の集団とアセットマネジメントを担うプロ集団とが、一体となって賃貸住宅を供給していくシステムが成立し成長するのではと予想できるのです。

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まとめ

住宅政策は国の政策としても重要なテーマであり、令和3年3月19日閣議決定された「住生活基本計画」において、社会環境の変化の視点にもとづいた目標の1つとして、子育て世帯等が安心して居住できる「賃貸住宅市場の整備」を掲げています。
また空き家を賃貸住宅として活用し、地方・郊外・複数地域での居住を推進することも掲げています。
賃貸住宅に対する政策的なウェイトは大きくなると予想されますが、民間資金の活用が柱になると考えられ、賃貸市場におけるさまざまな工夫やチャレンジが望まれるようになるでしょう。

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