新卒住宅営業社員に対する教育方法の第2弾です。
前回は第1弾でしたが(新卒の住宅営業社員をどのように教育したらいいのか思案している経営者の方へのアドバイス ・・・1)今回は切り口を変えての第2弾です。
内容はかなりコテコテの話だと思ってください。
しかし、コテコテなのですが営業の基本であり、実際にも成果が上がる手法だと初めに私が断言しておきます。
②度胸がつく
③取りこぼした潜在客を掬い上げられる
本文で取り上げることを実行させると、主にこの三つの効果が上がるとお考えください。
コテコテと書きましたが、私は根性営業が大嫌いでしたし、現在実施している研修などでもこの種の話には全く触れません。
このような人間であっても「このぐらいのコテコテなことは行った方がいいだろうな」と思う内容です。
駅前で大声を張り上げ自分の名前を叫べ!というような話ではありませんのでご安心下さい(笑)
新入社員は時間を持て余している
こういう会社もあるでしょう。
プログラムをしっかり決めて教育をしているのであればそうなると思います。
また、いわゆるマイスター制度を取り入れて先輩にベタ付きさせているのであれば忙しいかもしれません。
私がここで暇を持て余していると指摘しているのは、主に住宅展示場を所有し、営業社員が概ね10人以上いるような住宅会社を念頭においています。
営業マン10名のある会社の話をしましょう
九州にある地元工務店Zホーム。
Zホームは展示場を複数持っています。
各展示場には営業所長がおりその下に部下がいる組織ですが、会社は2020年度に新卒営業マンを2名入社させました。
別々の展示場に配属されたA君とB君。
4月1日に入社して配属されたのですが、教育に関しては各営業所長におまかせ。
現場の営業所長が体系的な新卒営業マンの育成プログラムを持って実行するというケースはほぼありません。
Zホームも同じで、所長がそれぞれの判断でなんとなく指導をしてるというのが実態だったのです。
“なんとなく指導”ですから、いわゆる雑務をやらせたり、イベント時にはぬいぐるみを着させたり、駐車場の誘導をさせたりという塩梅です。
もちろんどんな会社であっても、新卒社員はこのような雑務を与えられます。
しかし、展示場への来場者が減っている中、新卒社員には新規のお客さんの接客機会はなかなか回ってきません。
やる仕事がない
このような状況では追客活動の件数もほとんどありませんし、追客の件数が少なければ商談の土俵に乗ってプラン提案をしたり見積もりを出したりというケースも激減するわけです。
こう考えるとわかると思うのですが、朝9時に出社して毎日夜の8時くらいまでの勤務時間の中で実際に行う仕事というのはそんなにあると思えないのです。
コロナ前であれば、朝9時から夕方の5時まで外へ出て訪問活動をする、というやり方もありました。
しかしコロナ禍ではこの活動も著しく制限されているのが実情です。
外に出る機会が少なくなれば後は事務所にいるしかありません。
しかし前述したように事務所の中でやる仕事があるとは思えないのです。
新卒社員に聞いてみると「暇です」と答えます(笑)
Zホームではないのですが、私は様々な会社の新卒研修を毎年必ず請け負います。
2022年度に新卒教育を受けた会社では、Zoomによる研修を行うのに加えて、営業マンの個人面談も頻繁に行いました。
個人面談ですから、私と営業マンの差しの話し合いとなります。
上司が見ていませんので本音を聞き出す上では絶好の機会に。
新 卒「1件だけです」
森 「毎日何時ぐらいに帰ってるの?」
新 卒「なんだかんだと言って8時ぐらいになりますね」
森 「ぶっちゃけ暇でしょ?」
新 卒「・・・はい、暇です(笑)」
具体的なプログラムがあるか、もしくは余程意識が高くて自分で仕事を見つけてきて勉強しているなら別ですが、そんなにやることがないというのが実態だと思います。
ですから、新卒者に対する面談で私がこう聞くと、多くがこのように返事をします。
ここからが本題です
新卒者の教育プランは色々あるかと思います。
その中の一つとお断りさせて頂きますが、先輩社員が放棄した顧客リストや、放棄したとは言わないまでも、半年、1年と接触をしていないお客さんのリストを思い切って新卒者に担当させるのです。
先輩社員たちはどうしても目の前のランクの高いお客さんに目が行きます。
展示場などで接客をして「この人はすぐにやらないだろう」と判断するとアプローチすることもなく、その案件はパソコンの中に埋もれることに。
どのみち日の目を見ない案件ならば、新鮮な気持ちを持った新入社員に任せてコンタクトを取らせたほうが会社にとってもメリットがありますし、新卒社員にとってもメリットがあります。
①話をする訓練になる
新卒や若手研修を長らくやっている私は体験的に確信しているのですが、若い人たちは不慣れな事もあってお客さんと会話をなかなかスムーズに出来ない傾向があります。
ある住宅会社の新卒研修を、5年ほど前に行いました。
7人の若者が対象だったのですが、そのうち1人の男性営業マンがいわゆるムードメーカー。
休憩時間には他の仲間を笑わせたり、私に対しても気兼ねなく話しかけて声も大きくニコニコとした好青年でした。
ところが、学生時代の仲間内では話も達者で人気者だった彼ですが、営業の現場では全く合点が違ったのです。
仲間同士での馬鹿話は得意であっても、その能力がビジネス上で生きるとは限らない典型的な事例です。
あくまでも我々は家の話をしなくてはいけません。
家の話で盛り上がり、たとえ話が脱線したとしても、気がついたら家の話に戻っているという話術が必要なのです。
家とは全く関係ないバカ話をするのはできても、そこから家の話になると、いきなり四角四面のつまらない話し方になってしまうのです。
これを鍛えるにはとにかく現場でお客さんと家の話をする機会を1回でも多く持つことでしょう。
先輩が放棄したお客さんカードを訪問させることには、このような効果が見込めるのです。
②度胸がつく
これは説明不要かもしれませんが、度胸がつくという少し精神論的な話になります。
仲間内ではリーダーシップをとるような人物でも、名簿を基にお客さんのお宅に出かけ、全く面識のない人と話をするのとでは勝手が違います。
クラスの人気者タイプであろうが、口数少なく休憩時間も一人でひっそりと本を読んでるようなタイプであろうが、度胸をつけるという意味では全く同じです。
③取りこぼした潜在客を掬い上げられる
一番の肝はこれです。
古い話になりますが私の体験談をお話ししましょう。
積水ハウスに入社した後に先輩が放棄した名簿を300枚程度もらいました。
それをもとに来る日も来る日も訪問活動をしていたのですが、訪問活動3日目にこんなことが起こったのです。
ご主人「いいところに来るね~(笑)」
これは実話ですよ(笑)
新卒だからできたことなのですが、先輩からもらったリストの中に15年前に接触してそれっきりという自営業のお客様がいました。
上司の指示通りに動いていた私は、何の疑問も持たずにこのお客さんのお宅へノーアポで訪問したのです。
たまたまご主人がご在宅だったのですが、いきなりこんな会話になりなんと契約に至りました。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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