第3弾(https://f-mikata.jp/mori-103/)に引き続き新卒社員の教育について書いていきましょう。
今日のテーマはイベントの自主企画です。
会社にもよりますが、具体的な折衝案件の少ない新入社員は、やることがなく暇であるということが往々にしてあります。
折衝自体が少ないですからこれは当然のことですし、雑務があるとはいえ、それも知れている分量だと私は思います。
こんな状況では、4月に入社した新入社員も、契約が上がらないままあっという間に1年が経過してしまうことでしょう。
皆さんも若い時に叱責された経験はありませんか。
言っていることは分かるのですが、実際に動いてみると何をどう創り出して良いのかというのは非常に難しい問題なのです。
4月ではまだ早すぎますが、ゴールデンウィークが終わり5月もしくは6月になったら、イベントの企画運営を新入社員に任せてはいかがでしょうか。
もちろん事前に上司がチェックするわけですが、低経費で会社が迷惑を被るような危険性さえなければ、どんどん任せてやらせてしまえば良いのです。
東北地方に本社を構えるFホームの事例をご紹介します
2019年の話になります。
東北地方のある県庁所在地に本社を構えるFホームは、この年新卒の営業マンを3人採用しました。
前年の9月からこの会社にお邪魔していたのですが、私が関わるようになってからの初の新卒社員でした。
6月の頭だったと記憶していますが、この3人に対して私はイベントを企画し実行するように指令を出しました。
「なんでもいいから3人で一緒に考えて」
私が出した条件は基本的にこれだけ。
ただ経費がべらぼうにかかっては問題なので、なるべく低経費でやるようにとだけは付け加えておきました。
最初は社長も不安だったのですが「大して戦力になってるわけじゃありませんし、普段も特に何かしてるというわけでもないですから」と説得して企画はスタート。
検討期間を2週間設け、その後に企画内容を発表してもらったのです。
出てきた案は何の変哲もない新築現場見学会(笑)
2週間後に彼らからプレゼンテーションを受けましたが、結果的にはごく一般的な現場見学会でした。
でも、これでいいのです。
ひょっとしたら、我々が想像できないような面白い企画を作ってくるのかな?とも期待をしましたが、さすがにそれは買いかぶりすぎでした。
企画案は特に目新しい内容でもなかったのですが、ひとつだけ目を引いたのが来場者に対するプレゼントでした。
新卒君「展示場などに来られる方はその多くが土地も探しておられる方だということだと思います。従いまして土地を探している人であれば興味を持つようなお土産を持ち帰ってもらおうと考えた次第です」
森 「で、これは一体どんなものなの?」
この後彼から色々レクチャーを受けたのですが、この資料がなかなか秀逸でした。
人口30万人程度である〇〇市で開催する現場見学会だったのですが、おそらくは〇〇市で土地を探している方が多く来場されると彼らは予想しました。
その資料というのは、〇〇市の地図が細かくエリアごとに分かれていて色分けされていました。
各ブロックに住んでいる方の年齢層が一目でわかるようなものだったのです。
ある地域は50代以上の人が多め、その隣の地区は30代の人が比較的多いなどという資料でした。
これは確かに興味深いと私も思いましたね。
例えば50代のお客さんであれば「周辺が20代30代の人達ばかりの地域もちょっとなんだなぁ・・・」と考えるかもしれません。
そして実際にもこの資料は大好評でした。
ちなみにこの資料はネットにはないものです。
3人のうち1人が大学時代に研究した資料を基に作成したのです。
つまり他社では絶対に真似ができない興味深い来場者プレゼントを新入社員が作ったのです。
当日の集客は?
肝心の集客状況ですが、新規のお客様が土日2日間で6組いらっしゃいました。
管理客が4組。
そして興味深かったのがこれ以外のお客さんです。
近所の方が3組見えましたのですが、それ以外に来場された方がなんと一級建築士の方だったのです。
その先生は現場見学会の受付テントで「私は一級建築士事務所を経営してるものでして、家を建てる予定は全くないのですが見学させてもらってもよろしいですか」と申告。
もちろんアンケートさえ記入していただければ全く問題ないので、そのまま見学していただきました。
ところが、帰り際にお渡ししたこの来場者プレゼントを受け取った時に「これですか、実はこのプレゼントに関心がありまして、どんなものなんだろうな・・・と思ったんですよ」
これは推測ですが、この先生は建物を見に来たのではなく、来場者プレゼントをもらいに来たというのが正解ではないでしょうか。
つまり、新卒君が捻り出したこのプレゼントは、なかなか人の目を引く面白いものだったということなのです。
見込み客は自分で探す癖をつけさせる
展示場がある会社は要注意
コンサルティング先でいつも私は社長に進言することがあります。
展示場を持ってる会社は、営業マンが総じて待ちの営業になってしまうと忠告をします。
当然といえば当然でしょう。
展示場はそのためにあるからです。
ですから、土日祭日になると営業マンは展示場に朝から待機し、ひたすらお客さん来場のチャイムが鳴るのを待ち続けます。
そして、チャイムが鳴ると順番に接客に出て「いいお客さんに当たらないかな・・・」と念じながら接客をします。
この状況で展示場への来場がぱったりとなくなったとしましょうか。
そうなると営業マンは困るわけですから、本来であれば自らお客さんを探しに行かなくてはいけません。
しかし、普段から待ちの営業に慣れていると、自ら進んで動くことは決してないのです。
自主性が必ず生まれる
Fホームに入社した3人の新卒営業社員に、自主的なイベントを企画させ、それを実行させました。
その結果、翌月も早速新たな企画を考えて、即実行にうつしたのです。
もちろんこれも低予算が条件で、後は知恵を絞っていかに集客をして接客し、契約に持っていくかを自分たちで考えさせました。
もし私が初回のイベントを実施するよう指示しなければ、まず間違いなくこのような動きを彼らが取ることはなかったはずです。
そもそも、入社2、3ヶ月の新入社員が、現場見学会などの企画を立案しようなどという発想は絶対に浮かばないのです。
ところが、初回だけリードしてあげて指示をすれば、若い彼らであっても次の2点を身につけてくれるのです。
②自分達だけで企画しても構わない
新卒が入社間もない段階でこのような意識を持てば、会社にとっては極めて大きな収穫と言えます。
ですから私はコンサルティング先で新入社員が入ってくると、このように指示を出して実行させます。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。