4月入社の新人営業はどうなった?

この原稿を書いているのは6月23日。

4月1日に入社した住宅会社の営業社員を見渡すと、すでに3棟の契約を上げた営業もいれば、残念ながら退社したケースもちらほら耳にします。

今回のコラムは、私が知っている22年度の新卒住宅営業の中で、受注をすでに上げているケースを取り上げてみます。

「たまたま運が良かっただけ」は参考にならないので、本人の努力と実力で数字を上げた事例を2つご紹介します。

是非参考にしていただき、一棟でも多くの受注をあげるよう日々の営業に邁進してください。

3棟の新築受注をしたJ君の営業手法

4月1日に入社したJ君は5月に1棟、6月に2棟の受注に成功しました。

私は彼とズーム面談をして、この3棟についての経緯を詳しく聞いたのです。

そこでわかったのですが、この3棟にはいわゆるラッキー受注は皆無で、全てが真っ当な方法で受注したものだったのでした。

センターハウス名簿への総電話

「やってみるもんだな」

私も心の中では正直このように思ってしまいました。

総合住宅展示場に出店している方はお分かりだと思いますが、いわゆるセンターハウス名簿というものが存在します。

総合住宅展示場ではたくさんのメーカーが軒を並べていますが、 一般的にお客さんは好みの住宅展示場に入り、営業マンの求めに応じてアンケートを記入します。

しかし最近はこのやり方が大きく変わってきました。

各メーカーの展示場に入ってアンケートを書くのではなく、総合住宅展示場にある事務所のようなところで、事前受付をお客さんにお願いする形態が多くなってきたのです。

すると、センターハウスで住所氏名を書いたものの、接点のなかった会社の営業マンが多数発生します。

しかし、接点のなかった営業マンでも、 センターハウスで入手したお客さんにアプローチするのは基本的に自由なのです。

新入社員は基本的に展示場の接客をなかなかやらせてもらえないケースが多いので、新規の名簿をとるのが非常に困難な状態に陥ってます。

そんな新入社員が目を付けるというか、上司から指示されるのが「センターハウス名簿にアプローチせよ!」ということなのです。

これは地道ですよ。

一度でも接客して面識があるならば良いのですが、お客さんからすれば展示場で会ったこともないメーカーの営業マンから突然電話があり「〇〇ハウスと申しますが一度お会いしませんか?」こんな感じでやってくるのです。

もちろん簡単にアポイントはなどは取れません。

ですから、ひたすら数をこなし、分母を増やす作戦に打って出るしかないわけですが、J君はこれまで撮った3棟の契約をすべてこの手法でやりきったのです。

荷電総数2,877回

私には到底真似が出来ませんが、J君がこの3ヶ月にかけた電話総数は2,877回でした。

回数もすごいのですが、それを記録していたJ君の几帳面さにも驚かされました。

もちろんこの2,877回は半分以上が不在になります。

不在というか携帯電話にかけていますので、おそらくは気づいたけど出なかったというのが実態だと思われます。

しかし、現実問題として2,877回の電話をかけて3ヶ月で新築住宅を3棟受注したのです。

しかも、 契約が取れた3件のお客さんは、電話をしたら1回で出てくれて建築計画を正直に話してくれたとのこと。

ですから、小手先の営業トークを切り出すこともなく、普通にお願いしたらあっさりアポイントが取れたそうです。

しかも3件のうち2件は競合会社なしです。

私が社長であれば、新卒が入ってくれば全員にこれを励行させることでしょう。

ただ、精神的にはかなりきつい仕事だと思うので、その辺りの心のケアは欠かせませんがね。

女性営業のHさんは3ヶ月で2棟の受注

先ほどのJ君とは別の会社なのですが、女性営業で2棟を受注した営業がいます。

彼女とはつい先日Zoomで話をしたので、その時の様子をご紹介しましょう。

Hさんの会社は来場が比較的多いことに加えて、配属された展示場にはHさんを含めて3人しかいないお店です。

このような事情もあり、先輩二人だけでは接客を捌けきれないという事情があったのは事実でしょう。

しかし、Hさんの話を聞いていくと「なるほどね・・・」と感心する部分がありました。

私 「Hさんはどんな工夫した営業したの?」
H さん「自分ではよくわからないのですが、おそらくはプレゼンテーションを工夫した結果ではないかと思ってます」
私 「プレゼンテーションってどういう内容なの?」
H さん「お客さんにどんな細かいことを聞かれてもそれに対する資料を的確に出せるように準備をしたのです」

後は私がご説明いたしましょう。

例えばお客さんとHさんとの間で、犬の話になったと仮定します。

家を建てたらゴールデンゴールデンレトリバーを飼いたいんだよね・・・とお客さんが話を始めたとすれば、ゴールデンレトリバーの写真はもちろんのこと、大型犬を飼うにあたっての注意ポイントや、ゴールデンレトリバーがかかりやすい疾病症など、データやグラフがiPadの中に全て入っているのです。

犬の話をすれば散歩の話になるかもしれません。

その話の延長で、散歩から帰った時の足洗い場の話になるかもしれないでしょう。

話がこのように展開すると、Hさんはすかさず立水栓の写真を何枚も見せながら話をし出すのです。

このように、お客さんとの会話がどのような内容に発展しても、その話に沿った写真、データ、アンケート、自治体が出す補助金などなど、とにかく全ての資料を溜め込んでいます。

前述したプレゼンテーションに工夫したとは、このようなことを指しているのです。

Hさんと会ったのは新入社員が全員集まってのロールプレイング研修でした。

研修の前にHさんからはこの話を聞いていたので、研修の席では、私がお客さん役をやり、Hさんに営業マン役をやってもらいました。

そして、私は取り留めもない雑談をHさんにどんどんと振っていったのです。

ところが、話がどんなにズレようが、明後日の方向に飛んでいこうが、その話を補完するような写真をすぐにiPadから見つけ出して私の前に提示するわけです。

なんでもそうですが、口だけで説明するのと、画像や映像を使って説明するのではその説得力には天と地の差が発生します。

ロールプレイングという席ではありますが、彼女の話を聞くと非常に説得力があって分かりやすかったのは事実。

このことが、曲がりなりにも新卒で2棟の受注をすでに取ったことの一助になったのは間違いないでしょう。

「お客さんからも褒めてもらいました」

これはHさんの言葉です。

2棟目のお客さんらしいのですが、契約直前にご主人と奥さん両方からHさんが繰り出すiPadの資料の豊富さと的確さに対して「あなたの説明はものすごくわかりやすいね」「口だけじゃ分からないけどもうこうして写真をいっぱい見せられると納得するもん」と褒められたというのです。

この話と私がロープレで実際に受けた印象を加味すると、彼女のやり方は正攻法の一つだと断言できるのではないでしょうか。

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