何年前からの話か覚えていませんが、道路族なる言葉が世の中に出てきました。
自分の敷地内で活動するのではなく、地域共有の財産である道を独占するような形で暴れ回る無法者、という悪い印象で捉えられているのが一般的でしょう。
無法者は流石に言い過ぎですが、迷惑を被ってる近隣住民からすれば、このような感覚を持つのもある意味当然だと思います。
朝から晩まで道路で大騒ぎをしたり、夜になると 家族どころか友人まで呼んできて大声をあげながらバーベキューをしたり、子供がサッカーボールやキャッチボールなどをして、そのボールが敷地内に入ってきて場合によってはガラスを割ったりするようなこともあるわけです。
もちろんこれは程度問題ではありますし、周囲に気をつけながら遊んでいても、神経質な住人がたまたまいることによって厄介者扱いをされてるケースもあるとは思います。
しかし、新築住宅を提供する会社の人間は、このような問題が存在することは知っておかなくてはなりません。
道路族の定義とは
Wikipediaで道路族を調べてみると次のような解説がされていました。
やはり、基本的には近所の厄介者というニュアンスでWikipediaでも紹介されておりました。
頻繁に聞く言葉ではありませんが、夕方のニュースで特集されたのを私は見たことがありますし、現実としてこれが大きな問題となってるのは事実だと思います。
「近所に変な人がいたら困りますものね」
工務店、ハウスメーカー、パワービルダー、設計事務所の皆さんは、建物に関してお客様から要望を聞き取りそれをプランニングして提案するのが仕事です。
提案したプランを気に入っていただければ、 建築請負契約をして工事に取り掛かります。
しかし、展示場などにやってくるお客さんの70%~80%は土地も合わせて探しているのが実態です。
建物のプロである皆さんですが、土地を紹介したり近隣環境の話もお客さんとせざるを得ないのです。
冒頭に書きました「近所に変な人がいたら困りますものね」ある奥さんから私が投げかけられた実際の言葉です。
その時は自社分譲地を扱っていなかったので、当時存在していた住宅供給公社が提供する56区画の分譲地をお客さんに紹介した時に、奥さんから実際に言われた台詞だったのです。
分譲地ですから、自分が購入した土地の周囲にどんな住人が来るかはまったく予測できません。
仮に我々住宅業者がその情報を知っていたとしても、今のご時世にそれをペラペラとしゃべるわけにはいかないでしょう。
“ご近所さんガチャ”の深刻さを理解しよう
私は勝手にこのように名付けていますが、土地を購入する方にとっては一生の問題にも関わらず、ご近所さんガチャのリスクにさらされているのです。
笑い事では済まされませんよね。
数千万円の借金を負いながら、隣に訳のわからない迷惑住民が住んでいたら目の前が真っ暗になります。
このように考えると、新築担当の営業マンとして、道路族という言葉すら知らないというのは問題な気がします。
お客さんも知らなければいいのですが、この言葉をお客さんが知っていた場合、住宅会社の営業マンであれば当然これを知っているだろうと思って接してくる可能性が高いのです。
道路族なる言葉を知っていれば、近隣にどんな住民が住んでいるかが極めて大事なことであるということを、目の前の営業マンは認識していると伝わるのです。
分譲地における顧客と営業マンとのトラブル事例
又聞きではありますが、北陸地方のある社長から聞いた実話をご紹介いたしましょう。
この社長の友人である方が経営する、分譲住宅を得意にする会社の話です。
全部で10区画ほどあった分譲地らしいのですが、順調に販売が進み残り1区画だけが余った状態になっていました。
会社としてはラストスパートになりますので、若干価格を下げてなんとか売り切ろうと営業マンに発破をかけていたとのこと。
この状況で見込み客がついたのですが、この見込み客から担当営業マンに対してこのような質問が入ったそうです。
これに対して入社2年目の若手営業マンが、事細かに近隣住民の情報を伝えてしまいました。
このお客さんは周囲に変な人がいないと判断し、該当区画を購入してめでたく完売となったわけですが、3ヶ月ほどした後に大問題が発生しました。
「何ペラペラ話してるんだよ!!」
ある日この会社に突然のクレーム電話が入りました。
電話の主は、最後の分譲地を買ったお客さんの隣人。
ご主人からの電話だったのですが、憤懣やる方ないと言うか尋常じゃない口調で怒鳴り込んできたそうです。
トラブルの原因を話しましょう。
最後の余った分譲地を何とかして売りたいと思うのは営業マンの心情です。
ところが隣人情報を教えてくれるのが購入の条件としたお客さんに対して、家族構成や勤務先などの内容はまだしも、どうやらご主人の年収をばらしてしまったらしいのです。
勤務先や家族構成などを事前に漏洩するのも問題なのですが、これらの内容は居住を開始して会話を交わすようになれば、いずれ分かるようなことでしょう。
ですから、激怒したご主人もこのことについては、気分は良くないもののそこまで激昂する内容だとは捉えていませんでした。
しかし、大まかな金額とはいえ、年収をばらしてしまったことが、怒りの沸点に達する直接の原因となったようです。
これは論外ですよね。
おそらくは担当営業マンも、年収をこっそり教えたことをこのお客さんが隣人の旦那に喋ると思っていなかったのでしょう。
しかし、何気ない会話の中でポロッと事の経緯を話してしまったようで、これをきっかけに会社とはもちろんですが、隣人との関係も急激に冷え込んだとのこと。
このようなことが実際には起こるので、皆さんも十二分に気をつけてください。
近隣づきあいの感覚が昔とは大きく変わっている
前述の話は道路族の問題からそれてしまいましたが、近隣トラブルという意味からご紹介させていただきました。
最後に話を戻しましょう。
私は昭和40年生まれです。
名古屋市内で小学生時代を過ごしましたが、夕方になると年代の違う小学生の遊び友達が道路に集まり、ボールを使って様々な遊びをしていました。
キャッチボールは大勢で遊べないので、6~7人が同時に遊べるようなことをしながら、とにかく日が暮れるまでみんなでボールを投げあい、そして記憶はありませんが大声もあげていたのでしょう。
もちろん、快く思っていなかった人がいたのも事実です。
私が住んでいたオンボロアパートの隣に一軒家が建っていたのですが、そこのおじいちゃんが腕組みをしてボールを投げ合う私たちを鬼の形相で見ていたの覚えています(笑)
ボール遊びをしていると、どうしてもそれが近隣の庭などに飛び込んでしまうことがあるわけですよね。
このおじいちゃんはそれを監視していたのだと思いますが、そういう意味では子供の頃、私も道路族だったかもしれません。
しかし、その当時と今を比べると社会の許容度は全く違います。
公園でのボール投げも禁止、サッカーボールを蹴ってはだめ、マンションなどの共有地にもボール遊び禁止などの貼り紙がされてる時代です。
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